前々回のブログで不要になったSPユニット「SLE-20W」(5ペア)の引き取り先を募集したところ、幸いにもこのブログの愛読者と仰るKさん(広島県)が手を挙げてくれた。
いくら「格安で譲る」と当方が勝手に記載したところで、Kさんにとってはそうではないかもしれないので(笑)、購入したときの価格やオークションでの取引相場などの情報を腹蔵なくオープンにしたうえで細かい条件の詰めを行ったところ無事商談成立。Kさん、どうもありがとうございました!
愛用したユニットなので、さらなる活躍を祈りつつ昨日(14日)に滞りなく発送した。
残るユニットはオーディオ仲間を通じてオークションに出す予定だが、スタートの価格設定はこのときの5割増し程度にする積もり。しかし、売れ行きが悪かったら徐々に下げていくことにしよう(笑)。
さて、ここから前々回のブログの続きに。
新兵器としてこのたび導入したマッキントッシュ(以下、「マッキン」)のプリアンプ「C28」についてだが、マッキンには真空管式の「C22」という名プリアンプがあり今でもオークションではバカ高い値がしている。例によって復刻版も出ているが、回路も微妙に違うそうだし〇〇製の部品が使ってあるので「?」だが、実際に使ったことがないので音質については何とも言えない。
この「C22」の後継機種に当たるのが、この「C28」だが、残念なことにこれはトランジスター式。トランジスターの音はあまり好みではないが、実際にオーディオ仲間のお宅で聴かせてもらったら真空管に近い暖かみを感じた。
そこでパワーアンプならともかく、プリアンプならトランジスターでも許せるかという気になったし、何よりもトーンコントロールの機能が設けられており、少し目盛を回しただけで劇的に効くのが大いに気に入った。
実は、先日のブログで記載したように「AXIOM80」(オリジナル)を愛用しているマニアが、中低音域が物足りないのでレコードのRIAA回路のように独自の補正回路を作って上首尾だったとあったので、この「C28」を導入してトーンコントロールで中低音域をブーストしてやろうというのが偽らざるホンネ。このやり方は邪道かもしれないが・・・。
ただし、その結果は狙い通りで今のところ概ね満足で当分の間、真空管式のプリと併用していく積もり。
さて、こうしてみると自分の身の回りにある機器は音の入り口のCDシステムを除いて、アンプやスピーカーなどすべて古い年代のものばかり。けっして食わず嫌いというわけでもないのだが最新の機器は音質的にどうも肌合いがしっくりこない。
レンジが広がるのは基本的に歓迎なのだが、その一方「音に力感がなくて薄く感じる」ケースも多々あるように感じられる。
これは感覚的な問題に帰するのだろうが、とにかく周波数帯域の幅は“そこそこ”でいいから密度が濃く聴こえる音の方が好きである。同年代のオーディオ仲間も一様に同じ感想を洩らされるのでこれは自分だけの現象ではないようだ。
先般紹介した「クラシックの核心」(片山 杜秀著)の13頁に「音楽というのは記憶と刷り込み」という記述があって、小さい頃に音楽を聴いたときの環境による印象が大人になっても持続するとあったが、まったくその通りで「音だって記憶と刷り込み」なので幼い頃に親しんだ当時のラジオや電蓄の音がいまだに耳に焼き付いているせいかもしれない。
「三つ子の魂百までも」で瑞々しい感覚の時の思い出は無意識のうちにずっと根を張りながら育っていく。
したがって広帯域の音で育った世代とは基本的なギャップがあるように感じられて仕方がないが、もちろん自分の方が時代遅れなので誤解なきように(笑)。
とにかく、このマッキンの「C28」を導入した直後に我が家に1か月ぶりにお見えになったオーディオ仲間のKさん(福岡)が「これまででAXIOM80が一番いい音で鳴っているようですよ」と仰ったのでひと安心。
当日はKさんが秘蔵されている珍しい「71A真空管」と「2A3真空管」を沢山持ってこられて、それぞれ専用のアンプで差し換えしながら長時間の試聴だったが、「この球だけは絶対に非公開にしてくださいね」と念を押された球に限って、さらにいい音がするのには驚いた(笑)。
真空管アンプも出力管の銘柄や整流管との相性次第でクルクル音が変わるし改めて奥の深さを堪能したが、真空管の魅力は1920~1940年代製造のものに尽きるようで“ほとほと”感心した!