ときどき、”オッ”と気をそそられる写真というのがある。
クラシック専門番組「クラシカジャパン」(CS放送)の8月号の表紙がそれだった。
裏にパトリツィア・コパチンスカヤとあり1977年モルドヴァ生まれというから、当年とって37歳?パッと見た瞬間に20歳前後だと思った(笑)。初めて聞く名前だが「美しき次世代アーティストたち」とあるから、新進気鋭のヴァイオリストなのだろう。
モルドヴァといえば聞きなれない国名でいったいどこだろうとググってみたら、ルーマニアとウクライナの間に位置する国だった。旧ロシア領というから画像でもおよそお分かりのとおり、さぞや透きとおるような白い肌の持ち主なのだろう。
ピアノと並んで楽器の中で双璧とされるヴァイオリンはその優雅な曲線美から女性が持つと絵になる楽器だと思っていたが、この写真を観て改めて納得。
猛暑のなか、一服の清涼剤として目の保養にされてはいかが(笑)。
問題は腕前の方だが、初回放送は8月10日(日)21時とあるから録画してじっくりと鑑賞させてもらうことにしよう。
さて、過去の女流ヴァイオリニストといえば、いの一番にくるのが「ジネット・ヌヴー」だ。1950年代前後に活躍したヴァイオリニストだが惜しくも飛行機事故で亡くなった。彼女の「ブラームスのヴァイオリン協奏曲」(イッセルシュテット指揮:ライブ))は絶品で、録音は悪いが大の愛聴盤。
以前、オーディオ仲間のAさん宅で聴かせてもらっていたところ、感動のあまり涙が溢れ出て困ったことがあった。人前で涙を流すのはみっともないからねえ(笑)。
もともと大のヴァイオリン好きだがブラームスのヴァイオリン協奏曲は特別で随分と収集したものだった。
現在手元にあるのは、シェリング、オイストラフ、マルツィ、ハイフェッツ、グリュミオー、ヴィトー、オークレール、コーガン、比較的新しいところでムター、レーピン、ハーンで次から次に聴きまくったが、結局ヌヴーを上回る演奏はなかった。
これからどれほどのアーチストが出てこようと、あの熱狂的な1948年3月5日(於ハンブルク)の運命の一夜の再現は不可能である。
聴衆を前にしてその場限りを命として燃え尽きる燃焼型のアーチスト(腕の方も超一流)が時代とともに消えて居なくなってしまったのは実に淋しい限り。