「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

ピンチはチャンス!

2014年07月22日 | オーディオ談義

前回のブログでここ1週間ほどお客さんが我が家へお見えにならないことを記載していたところ、さっそく土曜日(19日)の午後、大分市にお住いのMさんとNさんがご来訪された。

新しい組み合わせの「AXIOM80」+「AXIOM301」を聴いていただいたところ、どうやら好評のようでまずは合格点。

まあ、システムの所有者に対して面と向かって「悪い音です」とはなかなか言えないものだが(笑)。

ところが、「好事魔多し」でJBLシステムを聴いているときにトラブル発生。

つい、お客さんの前でいい格好をしようと低音域のボリュームを上げたところ左チャンネルからビリツキ音が出た。それも強い音声信号が入ったときだけの現象で、普通の音量のときはいっさいそういう兆候はない。

気になるなあ!

はじめのうちはユニットの故障かと思ったが、どうやらユニットのエッジが強く振れる時だけ何かに触っている印象を受けた。実は思い当たる節がある。JBLのD130ユニット(口径38センチ)をタンノイのエンクロージャー(ウェストミンスター)にマウントするときにユニットのネジ穴が合わないものだから、補助バッフルをつけてマウントしたのだが、どうやらそこに無理があったようだ。

しかし、それもこれも遠因はつい最近導入したマッキントッシュのプリアンプ「C28」のトーン・コントロールの威力にあるのは間違いない。うれしい悲鳴ではある。

とにかく、お客さんたちが帰られてから沈思黙考することおよそ1時間、JBLに未練はあるものの大きな音が出るたびにヒヤヒヤするようでは音楽鑑賞どころではない。「やっぱりタンノイのエンクロージャーにはタンノイのユニットしか合わないかなあ~」と、ここは涙を呑んでウーファーを思い切って入れ替えることにした。

しかし前向きに考えると「ピンチはチャンス」という言葉があるように、機器の故障が結果的にうまくいったことは数知れない(笑)。思い立ったが吉日とばかりに、翌日(20日)の早朝からおよそ1日がかりの仕事になると覚悟を決めて改造に取りかかった。

まずは押し入れの奥深く直しこんでいたタンノイの「HPD385」ユニットをネジ類を含めて引っ張り出した。

         

改めて見るのに、図体の割にはかなり貧弱なマグネット部分である。むしろ「AXIOM301」(口径30センチ)の方が大きいくらいで、はたして大丈夫かいな?このユニットは同軸の2ウェイ仕様だが、今回は低音域部分しか使わず、中高音域は既存のJBLの「375」+「075」のコンビに担当させる予定。

はたしてタンノイとJBLの組み合わせでうまく鳴るのかなあ(笑)!

それもこれも「375」の魅力が圧倒的なのでとても捨て去る気にはなれないのが一番の理由だが、実際にやってみなければ分からないのがオーディオの常。自分は「理論3割、“経験とカン”7割」のタイプで明らかに感覚派(?)の部類に属している。

とにかく実行あるのみというわけで、いよいよウェストミンスターの裏蓋(ネジ16本)を開けてご開帳。

ウェストミンスターを使い出して20年余りになり、もう数えきれないほどこの裏蓋を開けてきたが、その一方、タンノイをいたずらに神聖視してまったく手をつけようとしないマニアが何と多いことだろう(笑)。

           

エンクロージャーの内部を裏側から移した映像である。ギンギラギンのD130の4か所の取りつけネジを外して無事取り出し、その代わりに「HPD385」を取りつけた。

           

さすがに純正だけあって、既存の4つのネジ穴にユニットの穴が寸分の狂いもなくピタリと収まる。

使う予定のない中高音域については万一のときの予備としてケーブル(橙と黒の撚り合わせ)だけはハンダ付けして伸ばしておき、いつでも使えるようにしておいた。いわば保険をかけたつもりで、375との繋がりが悪ければこれを使わざるを得ない。

タンノイ社の木工の工作精度はさすがで、中蓋が寸分の狂いもなくピタリと収まるのはいいが、据えつけるまでが一苦労。こればかりは体験者じゃないと分からないに違いない。

丁度お昼時になったころに両チャンネルともに取りつけ完了。ここまでで3時間ほどかかった。道具が散乱している中でとりあえず結線して低音域だけ音を鳴らしてみたところ両チャンネルから無事、音が出たので万歳!どうやら作業はうまくいったようだ。

午後からは、裏蓋を閉じてエンクロージャーの上に「375」ユニットなどの重量級を抱え上げての結線作業。14時ごろにようやく作業完了で思ったよりは早かった。

                

ちなみに、システムの概要を後日のために記載しておくと、

低音域(~200ヘルツ)    ユニット「HPD385」、 アンプ(プリ マッキンのC28、パワー VV52Bシングル)

中音域(400~7千ヘルツ) ユニット「JBL375」、アンプ(プリ 真空管式、 パワー「刻印付き2A3」シングル)

高音域(7千ヘルツ~)    ユニット「JBL075」、アンプ(アッテネーター利用、パワー「71A」ナス管シングル)

ホンネを言うとタンノイとJBLの組み合わせに半信半疑だったのだが、実際に出てきた音を聴いてビックリ仰天!

これまで聴いたことがないような豪快な低音がでてきた。しかもボワ~ンとした低音ではなく、ものすごく制動力が利いていてまさに威風堂々という形容がふさわしい音。

この秘密は何といってもネットワークにある。通常のタンノイの大型システムはクロスオーバーが1000ヘルツ仕様になっているが、自分の鳴らし方が悪いのかもしれないがこれまでの経験では明らかにローエンドまで音が伸びない。

そこで、お気に入りの「375」を生かすためもあって、思い切りよく「HPD385」のハイカットをおよそ200ヘルツ(6.8mhのコイル、6db/oct)にしているのでそれが大いに貢献している。

なお、200ヘルツといってもえらく低いようだがあくまでも理論上の近似値であり、現実的には聴感上の問題として対処すべきでけっして神経質に考える必要はない。これまでコイルやコンデンサーなどを散々駆使してきたので「いい加減さ」がおおよそ分かる。

タンノイを使っている方は多いようだが、現状に満足している人は別として、限界を感じたり飽きてきた方は一度ネットワークをいじってみてはいかがだろう。

はたしてメーカー指定にこだわるか、それともこだわらないか、「to be or not to be、that is question」(シェイクスピア)である(笑)。

折しも昨日(21日)の午後、近くにご用事があったとかで湯布院のAさんがブラリと我が家にお立ち寄りになった。

「昨日、JBLからタンノイのユニットに入れ替えたばかりです。まあ、聴いてみてくださいな。」と、自信満々で試聴に臨んだ(笑)。

「これは私好みの音ですね。しっかりしたピラミッド型の音で、明らかにオートグラフよりも上を行くスケール感です。まるで地響きが伝わってくるような低音ですよ。375との繋がりも申し分ありません。改造後のたった1日でこれだけの音が出せるんですからネットワークをいじるマニアだけに与えられた特権ですね。」と最大級の賛辞をいただいた。

今回の改造でタンノイの新しい可能性に目を開かれた思いがしたが、改めてこの大型エンクロ-ジャーの底力に心から敬服した。

オーディオはつまるところ「目方勝負」の面があることはマニアならお分かりの通りだが、1本当たり100キロを超える重量はけっして伊達ではなかった。こうなればもっと早く「HPD385」にしておけばよかったなあ。

文字どおり「ピンチはチャンス」だった(笑)。

それにしても、「375」と「075」(ステンレスホーン付き)がそれぞれ重さが12キロ程度、そしてウッドホーンの重さもバカにならないがそれらを1個づつウェストミンスターの天板から降ろしたり、載せたりでもう大変だった。翌日は腕と腰が痛くてダウン寸前。

もう、ホトホト疲れた!
これから、こういう作業のときは必ず援軍を頼むことにしよう。 


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