「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーディオ二題

2015年11月11日 | オーディオ談義

オーディオ関連で、このところ2点ほど気付いたことがあったので忘れないようにメモしておこう。まずは、

☆ インターステージトランスの効用

         

今から90年前というと気の遠くなるような年数だが、1920年代に製造された71A真空管は出力は1ワットにも満たないものの、音の素直さに非常に見るべきものがあって日頃から愛用している。

左側のアンプが最初に購入した「71Aシングルアンプ」で、キット価格では178千円の定価のところをオークションで半値ほどで購入した。初めての71Aアンプだったが、大いに気に入ったのでいつものように予備が欲しくなりまたまたオークションで同じタイプのアンプがあったので落札。仮に前者をAタイプ、後者をBタイプとしておこう。

ところが、Bタイプが1年もしないうちに故障したのでやむなく馴染みのGさんに修理を依頼。その際、Aタイプと同じでは面白くないのでいろいろと変更してもらうことにした。

まず信号回路の途中でコンデンサーを使うかわりに、名門「UTC」のインターシテージトランスを挿入してもらい、同時にドライバー管を「6SN7GT」(アメリカ)から「MHL4」(イギリス)に変更。これをB2タイプとしよう。

日頃はB2タイプを愛用しているのだが、1週間ほど前に久しぶりにAタイプを引っ張り出してテレビの音を聴いてみたところ、伸び伸びとした音で明らかにトランスを挿入していないことによる「おおらかさ」があるように感じられた。これに比べるとB2タイプは例えて言えば枠の中に閉じ込められた中で管理されているような音の印象を受ける。

「インターステージトランス」を挿入するのも良し悪しかなあと、半信半疑ながら今度は本格的にSACDを聴いてみたところ、Aタイプはたちどころに馬脚を露わした。音の元気はいいものの、奥行き感、たとえば歌手の声や楽器の前後の位置関係がまるで平面的に聴こえる。

比較して初めて分かるレベルだが「こりゃ、アカン」(笑)。

インターステージトランスの効用を改めて見直したが、ただし、これは我が家だけのシステム環境における現象かもしれない。この世にアンプの達人は数知れず、門外漢が口を挟むのは現象面だけに留めておくことにしよう。

☆ 真空管「E180CC」

先日、何気なく真空管のオークションを覗いていたら「E180CC」が出品されていた。たしか、我が家にもあるはずだがと探してみたらフィリップス製(1ペア)とフランス製の「7062」(3ペア)が出てきた。

特性を調べるために、「E180CC」でググってみると、なんと、我がブログ(21014.12.20付け)の記事が先頭に出ていた。実力の割には随分出世したものだ(笑)。

以下、その記事をかいつまんで紹介してみると、

E180CC PHILIPS MINIWATT 2本組 真空管(落札日:2014.12.7)

             

たまたまオークションで見かけた「E180CC」という真空管。

「オランダ フィリップス」ブランドに大いに魅かれるものがあったので、真空管の薀蓄(うんちく)にかけてはおそらく右に出る人はいないKさん(福岡)とGさん(福岡)に訊ねてみた。

「オランダ フィリップスのE180CCという真空管がオークションに出品されてますが、使ったことがありますか?」

お二方とも口を揃えて「いいえ~、これまで使ったことがありません。E80CCなら名管として知ってますが。」

さっそくネットで調べてみるとE180CCは「μ(ミュー)=46」だった。μとはその真空管の持つ特性のうちでも非常に大切な「増幅率」のことである。

たとえば、
「電圧増幅管」として代表的なものは「12AX7」「12AU7」といったところだが、そのμを例示してみると次のとおり。

12AX7(μ=100)、12AT7(60) 12AZ7(60) 12AY7(44) 12AV7(41) 12AU7(17) 12BH7(16.5)といったところで、最も汎用されている「12AU7」のμはかなり低い。

これらの真空管を思い切ってほかの真空管に差し換えることで音質が随分良くなることがあるのでこのところズッポリ嵌っている。一番重宝しているのが「E80CC」(μ=28)で我が家のアンプに使っている「12AU7」はすべて差し換えている。ただし、我が家のシステム環境ではという条件付きなので他家では当然ハズレもあるだろう。その辺は保証の限りではない(笑)。

ちなみに、この真空管の「増幅率」(μ)の違いによりアンプの音色が激変する。しかも出力管と違ってミニチュア管なので価格の方も比較的安価に済むので非常にありがたい。

とはいえ、真空管の基本特性の諸元はいろいろあって、単なる「μ」だけで使用判断するのは危険なのは分かっている。

「差し換えてノイズさえ出なければ良し」という具合だから随分荒っぽい話ではある。出力管も含めて他の部品に与える影響を無視しているのだから専門家の観点からはきっとタブーに違いない。ま「虎穴に入らずんば虎児を得ず」というところで許してもらおう。
 

さて、話は戻って「E180CC」だが、「μ=46」という値はそれほど大きくもなく小さくもなく随分使いやすそうである。まあ、「冒険してみるか」というわけで落札。入札は我が1件だけだった。誰にとってもあまり馴染みのない未知の球なのだろう。

すぐに丁寧に梱包されたE180CCが我が家に到着した。ピンの根元辺りをじっくり拝見したが、あまり変色しておらず中古には違いないが程度は良さそうである。以下、~省略~

まあ、こういった調子。

さっそく昨日(10日)、その「180CC」をプリアンプに使ってみた。

         

このほど、終段にマッチングトランス(UTC)を挿入してもらって、飛躍的に音が良くなったプリアンプだが、これまで挿し込んでいた「E80CC」(ヴァルボ)を外して、「E180CC」を挿し込んだ。

好き好きかなあ~。音の密度では「E80CC」に軍配が上がり、周波数レンジの広さでは「E180CC」の方が上。むしろ、出力管71Aアンプの非力なパワーをカバーするうえでは、増幅率が高い「E180CC」の方が適しているのかもしれない。

いずれにしても、「E80CC」の代役が充分勤まることが分かってひと安心。無駄な買い物ではなかった(笑)。
 


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