前回からの続きです。
昨日(19日)のブログ「我が家の三種の神器」を読んだ仲間からさっそく次のようなメールが入った。
「ブログ拝見しました。オールナス管アンプ良いですね!どんな音がするのか聴いてみたいです。しかし出力管が一番小振りと言うのも面白いですね(笑)。」
そうなんですよねえ。自分も思わず笑ってしまいました。しかし、我が家に限っては「small is beantiful」なんです~。
以下、おいおい、その理由を語ってみよう。
クルマでほんの10分ほどの所にお住いのYさんが我が家に試聴にお見えになったのは先週の16日(土)のことだった。この日のテーマは真空管の聴き比べなのでスピーカーを「AXIOM80」一本に絞った。極めてセンシティブなので、たちどころに真空管の音の差を明らかにしてくれるのがその理由。
はじめにYさんが一番のお好みのアンプから試聴に入った。
トランス結合タイプのアンプだがドライバー管はレイセオンの「71A」、出力管は「371」(トリタン仕様)、整流管はカニンガムの「380」(ナス管)という定番で初めに聴いていただいた。Yさんがお見えになるたびに聴かせているので熟知してある音である。
ひとしきり経って、今度は出力管を我が家の三種の神器のうちの「171」(以下、「最初期版」)へ、整流管をSPARTONの「480」(ナス管)に交換。
Yさん曰く「やっぱり違いますねえ。まるで別物です。この音になると我が家のトランジスターアンプでは出せない音です。」と、手ごたえを十分感じていただいた。
次にアンプを交換。どちらかといえばこれまで無視されてきたアンプである。
このアンプは昨年、Gさん(福岡)に頼んで、UTCのインターステージトランスを挿入してもらったものでシャーシの中に内蔵されている。そのおかげで音の奥行き感が一変したのには驚いた。ドライバー管はムラードの「ML4」(MHL4、AC/HLも使用可)、出力管は「171」(トリタン仕様)、整流管はカニンガムの「380」。
これらの球をすべて差し替えた。
オスラムのメッシュプレート型のML4、ほかの球は例によって「最初期版」と「480」というベストメンバー。
冒頭のメールにあったように、ドライバー管(一番左側)が出力管(真ん中)よりも大きいところが何とも面白い。
この音を聴かれたYさん、ウ~ンと唸られた。「両方のアンプの違いですが、前者がややお化粧をしている印象を受けました。その一方、こちらのアンプの方がありのままに原音を忠実に再生してくれている感じです。私はこちららのアンプの方が好みです。」
メッシュプレート型の「ML4」の威力は凄まじい。たったこれだけ差し替えるだけでアンプの評価が一変するのだから真空管アンプの奥の深さは計り知れない。ちなみに、お値段の方は6:1もの違いがあってこちらの方が断然安い(笑)。
そして、今度は18日(月)にお見えになったHさん(大分市)。
これは問答形式でいってみよう。ただし、以下の内容は「我が家のシステム環境では」という条件付きの話なのでどうか誤解無きように。
〇 「真空管を変えたくらいで音の違いなんてよく分からないという声をよく聞きますが、スピーカーがAXIOM80だからこんなに違いが分かるんですかね?」
「前段機器やアンプの性能も無視できませんが、やはりスピーカーの違いが一番大きいでしょうね。」
〇 「出力が1ワットにも満たないアンプでこの音とは驚きです。大きな真空管やトランスは必要ないのですか?」
「アンプはパワーだけでは測れないところがありますよ。なぜ私が小さな出力管やトランスをあえて使うかというと音のスピードなんです。音声信号に対する応答性の速さ、これがポイントです。WE300BやPX25などの球もときどき使いますが、どうしてもスピードの面で聴き劣りします。スピード感のない音で聴いているとすぐに飽きがきますからね。なぜ私たちが古典管を血眼になって探し回るのか、これでお分かりいただけたでしょう。」
そういうわけで、我が家のポリシーは「small is beautiful」なのである。
最後に、自分の心はいま次の選択肢のうちどちらを選ぶかで大きく揺れ動いている。
☆ 普段聴くときは並みの真空管を使用し、お盆と正月とお客さんが見えたときだけ「三種の神器」に差し替え「どうです、いい音でしょう」と自慢する。
☆ 普段聴くときは「三種の神器」を使用する。お客さんが見えたときは並みの真空管に差し替える。「血(お金)と汗と涙」を流して折角手に入れたこんな「いい音」を簡単に赤の他人に聴かせてたまるか!
さ~て、どちらにしようか(笑)。