「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

心頭滅却すれば火もまた涼し

2016年08月09日 | オーディオ談義

連日35度を越える猛暑に「暑い、暑い、こう暑いとオーディオどころではない」と、言いたいところだが、織田信長の焼打ちに遭ったお寺の高僧が唱えたように「心頭滅却すれば火もまた涼し」。心の持ちよう次第で猛暑も何とかなる。

           

前回のブログで紹介した「リボン型スーパーツィーター」(以下、「リボン型」)を導入してから1週間余経ったが、この間、暑さを忘れる程に夢中になったのでその経過を記してみよう。

このリボン型を据えつけて初めて音出しをしたときの印象は「澄み切った青空のように、どこまでも広がる爽快感」の一言に尽きる。まるでオーディオルームの天井を取っ払ったかのような気持ちがして、我が家でも他家でもこれまで聴いたことがないような音。

並々ならぬ素性の良さを感じて思わず舞い上がったが、初めてのスピーカー・ユニットをポンと置いてうまく鳴ってくれるほどオーディオは甘くない(笑)。

難点を言えば中低音用ユニットとのマッチングがイマイチかなあ。どうしてもリボン型の存在感が目立ち過ぎるのだ。

「いい音はスピーカーの存在を忘れさせてくれる」

これが50年近くやってきた自分なりのささやかなオーディオ哲学だが、とりわけツィーターの存在は生かし過ぎても、殺し過ぎてもまずい。さっそく対策を講じてみた。まず、

☆ 音圧のレベル合わせ

周波数4000ヘルツ以下を担当しているフィリップスのユニットはカタログデータがないので詳細は分からないが長年のカンで音圧レベルは「96db」ぐらいだと踏んでいる。一方、この「リボン型」は「98db」なので少しオーバー気味。そこで手元にあった同じパイオニアのアッテネーターを噛ませて音圧調整を試みた。

ところが何ともまあ冴えない音になってしまい、あの独特の輝きと艶がすっかり失われてしまったのだ。これはいけませぬ。急いでアッテネーターを外した。あまりにも(リボン型が)デリケート過ぎてちょっとしたことにも反応してしまうようだ。「シンプル イズ ベスト」で、少々リボン型がヤカマシイぐらいでもアッテネーターが無い方がまだマシ。

直接的な働き掛けによる音圧のレベル合わせはアッサリ諦めて今度はアンプ側から攻めることにした。

さあ、ここからがとても一筋縄ではいかなかった。

我が家には現在活用できる真空管アンプが6台ある。そのうち「PX25シングル」アンプは「AXIOM80」との「黄金の組み合わせ」なので絶対に外すわけにはいかないので、残る5台のアンプによる相性探しとなった。

どうせ実験用のシステムなので気楽なものである。

☆ アンプ転がし

第一弾 WE300Bシングルアンプ(1950年代製オールド)

まず最初に登場するのは半年以上ご無沙汰だった「WE300Bシングルアンプ」。球が相当古くておそらくオシャカ寸前だろうと思うので勿体なくて使う気になれないアンプだが、新しいスーパーツィーターに対面ともなると乾坤一擲の出番となった。

            

しばらく慣らし運転をしないと即断は禁物とばかり、2時間ほど鳴らし込んでみたがこれはこれで悪くはないものの、どうも手放しでOKというわけにはいかない。高音域の抜けはいいんだけどカットオフ周波数の4000ヘルツ以下の音がやや薄味気味かなあ。

このアンプは一次増幅管が「12AU7」、二次増幅管が「AC/HL」だが、いろいろ真空管を交換して可能性を探ってみた。

まず二次増幅管を「AC/HL」から「MHL4」へ変更。ミュー(増幅率)を30前後から20前後に落とし、その代わり一次増幅管の「12AU7」(ミュー=17)を「E80CC」(ミュー=27)へと差し換え。

そして、この「E80CC」について4種類の球転がし。

        

左から「シーメンス」、「タングスラム」、「フィリップス」、「ヴァルボ」。いずれも業界では名が通ったブランドである。

この中では「ヴァルボ」がベストというか一番相性が良かった。「フィリップス」も高音域の爽快感は「ヴァルボ」を凌ぐものがあるが中低音域の力感がもうちょっと欲しくなる。その点ヴァルボは全体的なバランスがよく取れている。やっぱりお値段がよく知っている(笑)。

こうやって書くとほんの数行程度だが時間にするとおよそ4日あまりかかった。まさに「光陰矢のごとし」(笑)。

ちなみに、現在オークションで「E80CF」という型番のフィリップス製が出品されている。(オランダ)フィリップスとあれば見逃す手はないので「北国の真空管博士」に「E80CC」との互換性をお訊ねしたところ、次のようなメールが返ってきた。

「ヨーロッパスタイルの球の番号について解説します。
 

たとえばE80CCは、E=6.3Vヒーター、80=単純な番号、C=三極管、C=三極管。  

上記のルールからE80CCは6.3Vヒーターの双三極管であることがわかります。 
 
一方、E80CFの場合は、E=6.3Vヒーター、80=単純な番号、C=三極管、F=五極管 
 
E80CFは6.3Vヒーターの三極管と五極管の複合管です。

つまりE80CCやE180CCと互換性はありません。E80CFの主な用途はテレビの高周波管です。」

さすがは博士、良く判りました!いつもご丁寧な解説をいただきありがとうございます~。

これでWE300Bアンプはひとまず落ち着いた。まあ、こんなところだろう。自己採点では75点。意外に辛い(笑)。

次はいよいよ「71Aプッシュプルアンプ」の登場だ。「71A」真空管の素直で透明感のある音質がスーパーツィーターをどう調理してくれるんだろうか。胸がワクワクする。

真空管アンプ弄りはどうしてこうも楽しいんだろう(笑)。
 

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