前々回からの続きです。
スーパーツィーターが我が家にやってきてからおよそ3週間、何とかその魅力を引き出そうとあれこれやってみるのだが一歩前進かと思えば二歩後退したりと、なかなか手を焼いているのが実状だ~(笑)。
とうとうシリーズ前2回のアンプ対策を諦めて今度は方向転換してネットワーク側から攻めてみることにした。
読者の中には「ネットワーク」と聞いただけで思わず身を引きたくなる方がいるかもしれないが(笑)、な~に慣れてみると簡単そのものである。
パワーアンプとスピーカーを結ぶSPコードの間ににそれなりの道具を挿し込めばいいだけの話で、現在使用しているのはパイオニアの「DNー6」2ウェイ仕様のネットワーク。
この機器の仕様はクロスオーヴァー(以下「クロス」)が4000ヘルツ(12db/oct)となっている。つまり低音域と高音域の境界を周波数4000ヘルツで分けてそれぞれ別のSPユニットで鳴らすというやり方である。
その一方、スーパーツィーターの方は(カタログ仕様では)5000ヘルツ(12db/oct)以上から使用できるようになっているものの、12万ヘルツまで伸びているツィーターなのでせいぜい7000ヘルツ以上で使うのが妥当なところのような気がする。実際4000ヘルツもの周波数を入れるとどうも音が濁る、歪っぽくなる、そういう感じがした。
実は真空管オーディオのベテランのお二人さん(関西)からもメールで同じ趣旨のアドバイスをいただいた。
「スーパーツィーターは本来1万ヘルツ以上で味付けに使うものかと思います。例えば、1~0.5μFのマイカコンデンサーを直列に入れて、現行のツィーターと並列にして味付けしてみてはいかがでしょうか?」
そうなんですよねえ、これが王道なんでしょう!
このご提案はたいへんありがたく大切にとっておくことにして、実はその前にどうしても実験したいことがあった。
<実験活用その1>
4か月くらい前に購入したYL音響の3ウェイ用ネットワークを使う。
この高音域のクロスが9000ヘルツだ!この部分だけ流用させてもらうことにしよう、すると低音域はどうする?このYL音響製は低音域のハイカットが1100ヘルツなので使えない。
そこで窮余の一策としてSPコードをコイルに接続して周波数をハイカットするしかないが、これまた以前購入していたムンドルフの「ゼロ抵抗コイル」(0.15mh:ミリヘンリー)がある!これが<実験活用その2>。
数年前、わざわざ3か月かけてドイツから取り寄せてもらったコイルの決定版である。ず~っと大切に保管してきたが、まさかここで出番がやってくるとは夢にも思わなかった。
ここからやや専門的な話になるが、どうか最後まで付き合ってほしい(笑)。
「クロスオーヴァーネットワーク早見表」によると、スピーカーのインピーダンスが8Ωのときに、0.15mhではクロス8500ヘルツ前後(6db/oct)になる。
しかし、このスピーカーのインピーダンスというのがいい加減で、音声信号によって変化するし、信号を入れないときの実測値では概ね6~7Ω前後に収まるのが大半である。つまり、この辺の数値は大ざっぱに構えて神経質になる必要はない。
この場合、せいぜいクロス7000ヘルツ前後と勝手に仮定すると、スロープ特性は7000~14000ヘルツにかけて6db減衰することになる。
その一方、高音域のクロス9000ヘルツ(12db/oct)のスロープ特性となると9000~4500ヘルツにかけて12db減衰することになる。すると、9000ヘルツを境にして両者のスロープの重なり具合が丁度いい頃合いになりそうだ。
ほんとうに大雑把だが(苦笑)、ネットワークの設定はまず杓子定規にはいかないのが常識なので実際に試聴してみて違和感を感じなければそれでいいと思っている。
そして、実はこれを2ウェイマルチ方式でやってみたいのだ!
つまり、低音域と高音域のユニットをそれぞれ別のアンプで鳴らす方式。
低音域(~7000ヘルツ:6db/oct)
プリアンプ1号機 → パワーアンプ「71APP」 → コイルの挿入(7000ヘルツでハイカット) → スピーカー「フィリップス」(口径30センチ:アルニコ型)
高音域(9000ヘルツ~ :12db/oct )
プリアンプ1号機 → パワーアンプ「171シングル) → YL音響ネットワークの挿入(9000ヘルツでローカット) → スピーカー「リボン型スーパーツィーター」
というわけで、いそいそと結線して胸を弾ませながら鳴らしてみた。ところが・・・。
以下続く。