前々回からの続きです。
このところ散々楽しませてくれたオーディオ実験もいよいよ最終局面に入った。
今回の実験材料は「テクニクスのツィーター」と「OTLアンプ」で、まとめていってみよう。両方ともオーディオ仲間のMさん(大分市)が持参されたものだが、まずは「テクニクスのツィーター」から。
歳を取ればとるほど低音域とは違って高音域の方が聴こえづらくなるのは周知の事実である。
これは医学的にも証明されており、加齢によって音の高音域振動を感じ取る耳の入り口の繊毛が磨滅するためらしい。
したがって、自分の場合なんかどうせ周波数の1万ヘルツ以上はろくに聴こえないはずだからツィーター(高音専用のユニット)の性能なんてどうでもいいはずなのに、むしろ逆に若い頃よりもさらにこだわる傾向があることを自覚している。
これが失われ、去っていくものへの未練というものだろうか(笑)。
これを象徴するかのように我が家には続々とツィーターが集積しており、その振動板の区分にしてもダイヤフラム式、コーン型、リボン型など様々である。
それぞれに使い道があって、たとえばつい最近オークションで手に入れたデッカのリボン型は、8000Hz(12db/oct)でハイカットしたフィリップスのユニット(アルニコ型)に、オイルコンデンサーで9000Hz(6db/oct)でローカットして載せているが、トライアングルなどが鳴らすチリリ~ンという音の余韻の響きの美しさは筆舌に尽くしがたいほどで、こういう音はリボン型の独壇場だろう。
次に、コーン型については4000ヘルツ(12db/oct)でローカットして「AXIOM150マークⅡ」をカバーしており、音のつながりの自然さやハーモニーの美しさには目を見張るものがある。
最後にダイヤフラム型はテクニクス製のもので3000ヘルツ(12db/oct)でローカットしてJBLのD130ユニットとのコンビで力感あふれる音を出してくれている。
以上、ハイカットとかローカットとか専門用語にはサッパリついていけないという方にはまことに申し訳ない(笑)。
画像にあるのが、JBL「D130」ユニット(ウェストミンスター内蔵)の上をカバーしているテクニクス製の「EAS-25HH22」というツィーターで周波数帯域が「1000~25000ヘルツ」という優れもの。
このツィーターは例によってMさん(大分市)からお借りしている状態だが、是非譲っていただこうと腹積もりしていたところ、何とまあ、Mさんは同じものをもう1ペア所有されており、それを持参されたのだ!
性能は証明済みなので、これはもうたまらんとばかりすぐに実験(笑)。
デッカのリボン型ツィーターとの一騎打ちとなったが、両者それぞれにいいところがあって迷いに迷った。
リボン型の繊細さは捨て難いし、ダイヤフラム型の力感と押しの強さも気に入ったが、如何せん我が家の主なソースはクラシックである。ジャズを聴くのならテクニクスにするんだがなあ~と、泣く泣く返却することにした。
次の実験は「OTL」アンプだ。
おどろおどろしい大型真空管「6C-33C」が4本という迫力満点のアンプ。構造上、スピーカーとの間にマッチングトランスを必要としている。右側の黒いトランスがそれ。
以前のブログでも記載したが「OTLアンプ」(Output Trans Less)とは出力トランスを使わないアンプのことで、我が家で一度聴いてみたいと、無理を言ってMさんから持参してもらった。
その恰好からしてJBL「D130」(ウェストミンスター内蔵)から凄い低音が出てくることを期待したのだが、意外にもやさしい音が出たので驚いた。
「見かけに似合わず繊細な音を出しますねえ!」と、Mさんに申し上げた。
実を言うと「D130」に繊細な音を期待しておらず、ひたすら求めているのは「音の勢い」なので、この音ならむしろ「AXIOM80」や「AXIOM150マークⅡ」などのフルレンジの方が相性がいいかもしれない。
こちらの方の実験もぜひやりたかったが、この日は夕闇押し迫る中、とうとう時間切れ~。
簡単にお返しするのは勿体ないので「しばらく預からせてもらいたいのですが~」と、恐るおそる切り出したところ「はい、いいですよ。気の済むまで聴いてみてください。」とご快諾。
これで腰を据えて実験できる。しめしめ~(笑)。