去る2月2日(土)のNHK・BSプレミアムで「幻の肉筆画~アメリカに眠る画狂老人の魂~」が放映されていた。
「画狂老人」とは周知のとおり江戸時代の浮世絵師「葛飾北斎」が自称していた名前である。描くことが好きでたまらなかった北斎にあやかるのはまことに恐れ多いが、さしずめ自分は「音狂老人」ではなかろうかと思ってしまった(笑)。
もう毎日が楽しくて、オーディオってどうしてこうも面白いんだろう。
今回はその「音狂老人」の独り言といこう。
周知のとおり、音声信号の流れに沿っていくつもの機器の組み合わせが必要とされるオーディオシステムだが、はたしてその中で音を支配する力が一番強い機器は何だろう?
まずリスニングルームについては欲を言うとキリがないので脇に置いておくとしよう。
すると、大きく3つの領域に区分される。
「前段機器=微小信号」(CDプレイヤー等) → 「増幅系」(アンプ) → 「変換系」(スピーカー)。
どれもこれも大切ですね(笑)。どこか一つでも手を抜いたら即アウトです。
そして、実は「最後の決め手」となるのはこれらの機器を相互につなぐ「ケーブル」にこそあったんですよねえ。まあ「決め手」というか「仕上げ」というのか・・。
と、ケーブルの話題まで引っ張って来るのに無い知恵を振り絞ったがうまく誘導できたかな~(笑)。
新年早々から我が家では「PAD」(Purist Audio Design)のケーブル類が大活躍だった。
日頃からの読者ならご存知のとおり「SPケーブル」に始まり「RCAケーブル」そして決定打が「電源ケーブル」の「ドミナス」だった。
このドミナスを現在3本使用しているが、その内訳は「マランツ7型プリアンプ」、AXIOM80用のパワーアンプ「171A/PP」、そしてウェストミンスター(改)用のパワーアンプ「6A3シングル」(WE300B兼用)と、要所に配置した。
全ての電源はノイズ対策として「200V → 100V」へトランスで降圧したものを使っている。
このドミナスはデジタル機器に使うのが一番効果がありそうな気もするが、機器の解説書には「弊社とは違う電源ケーブルを使用して故障しても知りませんよ。」みたいなことが書いてあって、ちょっと怖い。
それはさておき、その効果たるや「物凄い」としか言いようのない衝撃を実感する毎日。いや、決して大げさではなく~。
しかし、一人で悦に入ってばかりでもしようがないので、確認していただこうとオーディオ仲間のYさんに来ていただいたのが3日(日)の午後のことだった。
一番驚かれたのはウェストミンスター(改)だった。
駆動するアンプは「6A3シングル」。
試聴しながら、従前とのあまりの音の違いに「ほんとうに電源ケーブルを変えただけですか?」と何回も確認されるYさん。
「低音域から高音域まで音楽情報がびっしりと隙間なく埋まっている印象です。とても密度が濃いです。やっぱりドミナスは凄いですね。」と、強烈な印象を受けられたご様子。
「低音域の効果が目覚ましいですよ。やっとゲーリー・カーのコントラバスを聴く気になりました。」と、自分。
「オルガンの音が軽く30ヘルツあたりまでは出てますよ。重低音が床を這ってきますね。」と、Yさん。
事ここに至ってようやく、ずっと持っていた下記の二つの懸念が見事に解消した。
1 「6A3」出力管の実力
「一般的に6A3はWE300Bとの互換性がありませんが、このアンプに限っては出力管に控えめな動作をさせていますし、独自の回路を工夫したので大丈夫です。」と、北国の真空管博士から保証があったところだが、すんなりとは信じ切れず頭の片隅に「?」があったことは否定できなかったが、これほどの低音が出てくれたらもう十分ですっかり懸念が解消した。
「6A3」(1930年代製:刻印)は使い方によっては「WE300B」と匹敵するのは間違いない。お値段は1本あたり1万円前後だから「費用対効果」は抜群。
2 LANケーブル(カテゴリー7)の実力
ウェストミンスター(改)のウーファーには「スーパー12」(ワーフェデール:口径30センチ)を起用しているが、先日故障してスペアと取り換えた際にSPケーブルも銅の単線(0.8mm)からLANケーブルに取り換えた。
実験のつもりだったので、その効果に一抹の不安を持っていたがそれもこの低音で見事に解消した。
次の試聴は「171A/PPアンプ」と「AXIOM80」との組み合わせに移ったが、「さすがにAXIOM80といえども総合的には先ほどの音には及びませんね。」と、Yさん。
「そうだと思いますよ。ケーブル次第でオーディオ機器の能力は一変しますね。」と自分。
どなたかのブログに「ケーブル類への関心は機器の整備がひととおり済んでからがいい。」と、あったが「もはや打つ手は不要」と自負されている方にお勧めかもしれない。
ただし、いきなり購入するのは冒険過ぎるので、まずはショップや知人から借りたりして試してみるのも一法だと思いますよ~。
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