習慣というものは恐ろしい。
運動ジムや音楽&オーディオで多忙を極める(?)毎日なのでゆっくり本を読むひまはないのだが、それでも2週間に1度の図書館通いは止められない。
館内に入ったときにほのかに香ってくる「本の匂い」が大好きだし、もしかして面白いミステリーに出会えるかもしれないという期待感に背を押されてのことだが、このほど借りてきたのが「世界の中の”日本の順位”がわかる本~すごい日本、ダメな日本が一目瞭然~」。
表紙の裏に次のようなことが書いてあった。
「国別ランキングほど面白い知識はない。日本が世界で“第何位”かというシンプルな情報から、「日本と日本人の本当の姿」 「各ジャンルの意外なトップ国」 「世の中にある大きな動き」まで手に取るようにわかるからだ。雑学知識を楽しみながら、教養を高め、話材も増える本!」
そして、「はじめに」の部分では本書の楽しみ方が述べてある。
1 ちょっとした発見を楽しむ
「日本は島国だから国土は狭い」 「日本人は勤勉で仕事をする時間も長い。教育にも熱心だ」と思っている人は多いだろう。だがランキングを見ていると、それとは違ったおもしろ情報が見つかる。
「国土の広さは世界の上位3分の1にランクインするし、海の広さは世界第6位」 「日本は世界6位の軍事大国」であり、「日本人の働く時間は長くはない」し、「日本は教育熱心な国とはいえない」。驚かれたかもしれないが、外国と比べると「日本の凄い一面・ダメな部分」「日本人の素顔」が浮き彫りになるのだ。
2 日本が抱える課題も浮き彫りになる
「家族を一番に考える人が少ない」「男女の平等度は先進国では最低レベル」「国の借金は危険水域」・・・・図解を見るだけでも数字で具体的に理解できる。
3 逆に日本人が当たり前だと思っていることが、世界では称賛の的になっている例も少なくない。
「時間に正確」「他人に親切」「公共料金はきちんと払う」「世界中のグルメが楽しめる」・・・・。そうした国は実は珍しいことが分かり、日本人として誇りに思える部分を再認識できるのだ。
前置きが長くなったが、本書にザット目を通してみると基礎データとしての「人口」「国土」「経済」「健康・体」を皮切りに、93項目の多岐にわたって世界における日本の順位が記してあった。
1章「日本の技術力が分かる!」 2章「日本の文化・教養」 3章「日本人の健康度」 4章「日本人の頭の中がわかる」 5章「日本の政治問題」 6章「日本の3年後の経済を占う」 7章「世界が評価する“日本と日本人の魅力とは”」
まあ、全体的に日本は好ましい項目群で上位に位置していることが分かって、愛国心をくすぐられることは間違いない。しかも第1章にわざわざ世界に誇れる「日本の技術力」を持ってくるところなんか、なかなか気がきいている。
もう一つ、第2章の中の「音楽売上」の項目にも注目。何と、「全世界の売り上げの4分の1を占める!」というのだ。
「ヒット曲の不作、CDの売上低迷、老舗レコード店の閉鎖」・・。景気の悪い話ばかり聞える日本の音楽産業だが、実は世界的に見ると日本はアメリカに次いで世界2位。アジアでは当然最大で、その市場規模は飛び抜けている。
2011年の世界の音楽総売り上げ約1兆3千億円のうち、日本の売り上げは約3200億円で全世界の売り上げの4分の1を占めている。
売り上げの内容を見ると、音楽配信や原盤ライセンス収入ではアメリカに大きく水を開けられているが、CDやDVDなどのパッケージ売上シェアは日本が世界一だ。
日本ではCDシングルや音楽DVDの売り上げが比較的順調だが、その一因にはアイドル需要の高さが考えられる。とはいえ、パッケージ゛売り上げはほぼ頭打ちで、今後はインターネットやスマホなどの音楽配信が大きく伸びるだろう。」
ちなみに、アメリカ、日本に続く音楽好きの国とは、ドイツ(日本のおよそ3分の1の売り上げ)、イギリス、フランス、オーストラリア、カナダ、ブラジル、オランダ、イタリアと続いていく。
こうしてみると欧米の先進国がズラリと顔を並べているのに気付く。どうやら音楽を楽しむには政治的な安定と経済的な“ゆとり”が必要のようだが、やはり日本は黄色人種にもかかわらず大健闘ですね。
中国は現在GDP世界第2位だが一人当たりにするとおそらく下位に転落するだろうから問題外だし、ロシアが圏外なのがちょっと意外。これまで幾多の名作曲家・演奏家を輩出し、音楽の歴史と伝統に深く彩られた国だが、まだ国民一人ひとりにそこまで“ゆとり”がないのかな。
さて、「国の豊かさ=音楽好きが多い」を敷衍(ふえん)して、今度は個々の人間に具体的に当てはめてみるとしよう。
音楽を聴ける部屋とか、機器を揃えるとなるとそれなりの出費が求められるが、はたして「音楽を楽しむ人はお金持ち?」なのか。
残念なことに自分のような例もあるので、これは完全に当てはまらないが(笑)、知っている範囲で周囲を見回すと音楽愛好家はいずれも「ゆとり」のある方々ばかり。
「衣食足りて礼節を知る」ではないが、ある程度の「生活のゆとり」 → 「時間のゆとり」 → 「心のゆとり(静謐感)」がないと、音楽(クラシック)は楽しめないと言えるのかもしれない。
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