非常に珍しいジャズ・ボーカルのCDが手に入ったので「聴いてみませんか」と、メル友の「M」さん(関西地方)に送付したところ次のような返信があった。
ちなみに、Mさんは10年ほど前に2泊3日の日程で我が家に試聴にお見えになった方である。
「CD早速に拝聴しました。やはり亡くなられて20年経っても取り上げられるだけの実力派ですね!
ノイマンのマイクが彼女の歌声を気持ち良さ気に反応しているようです。
ところで、このCDはHQCDですが、製法に更に改良を施したUHQCDはご存知でしょうか?
材料に光硬化材を使用したのがミソなのです。
〇〇さんがよく試聴に登場させているベルディのマクベスのUHQCD化ですが、お送りしてみましょうか?違いがどれほどなのか、興味があります。
ついでに、イングリット・ヘブラーの若かりし頃1963~1967年のモーツアルトのピアノソナタ、最晩年1986~1991年録音モーツアルトのピアノソナタ以上、3セットをお送りするのは、ご迷惑でしょうか?
じつは、ピリスのモーツアルトのピアノソナタ全集を聴きたく返送時にお願いしたいのです。」
そこで、こう返信した。
「迷惑なんてとんでもないです!楽しみにお待ちします。返送時のピリスの件については承知いたしました」
すると追伸があった。
「梱包に空間があり、勝手にワーグナーとブルックナーを追加しました。ワグナーの「さまよえるオランダ人」が良い録音とおもい同梱しました。ブルックナーは改めてDECCAの録音技術に感服しましたので同梱しました。」
程なく、我が家に到着した。
今回の試聴ポイントは3点ある。
1 へブラ―女史、ピリス女史、グールドの三者の「ピアノ・ソナタ」(モーツァルト)の聴き比べ
2 歌劇「マクベス」(ヴェルディ)のCDとUHQCDの聴き比べ
3 聴き慣れない「ルドルフ・ショック」(ドイツ:テノール)の10枚のCDと「ブルックナー」全集の試聴
まずは1から。
モーツァルトのピアノ・ソナタについてはおそらく自分ほど聴きこんだ人間は世界中でもそうそうおるまいと自負している。
こんこんと泉から湧き出る水のごとく、ぼそぼそと呟きつづけるモーツァルトの「独り言」に「そうか、そうか」と、ひたすら付き合って孤独な魂を癒してきた。
6種類のCDのうち、若い時分は「グールド」を集中的に、晩年になると「ピリス」へと移行したが、不思議なことに定評のある「イングリット・ヘブラー」女史の演奏は、これまでまったく縁が無かったというのが正直なところ。
けっして忌避したわけではないので、今回は彼女の「1960年代」と「1980年代」の2種類の演奏を聴けるのはメチャ楽しみ~。
ただし、グールドを例に挙げると、バッハの「ゴールドベルク変奏曲」について、1955年版と1980年版の2種類の演奏があるが玄人筋の評価が高いのは若いときに録音した1955年版の方である。
1980年版については「功成り、名を遂げた人間の奇妙な落ち着きがあって覇気に乏しい」との評がある。
自分に言わせると、まるで難癖としかいいようがないが(笑)、ヘブラー女史の場合はいったいどうなんだろうかと興味は尽きない。
それを含めて、さあ、いよいよ三つ巴の空中戦だ。
偉大な演奏家たちに大いなる敬意を表して「斎戒沐浴」の精神で、じっくりと耳を傾けた。
以下、続く。
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