使う途が見つからないまま部屋の片隅にくすぶっていたネットワークとSPユニットたち。
ある日、ほんの思い付きで馴染みのない「3ウェイ」システムに編成したところ実に思いがけない成果があったことは、先日のブログ「七転び八起きのオーディオ・スタイル」(2019.10.24)に記載した通り。
今や我が家のエース級として大活躍である。
何といっても決め手は「ネットワーク」(パイオニア製)だった。
大して高価でもない代物だが、2ウェイにも3ウェイにもスイッチの切り替え一つで変幻自在なので随分重宝している。
2ウェイのときは、クロスオーヴァ―が「4000ヘルツ」(-12db/oct、以下同じ)、3ウェイのときには「500ヘルツ」と「4000ヘルツ」となる。
3ウェイ仕様で大いに満足しながらも1か月ほど経ったので、遊び心で久しぶりに2ウェイ仕様に戻してみた。
つまり「~4000ヘルツ」まではグッドマンの「AXIOM150マークⅡ」にして「4000ヘルツ~」はワーフェデールの「スーパー3」にして聴いてみたところ、やっぱり物足りなかった。
一言でいえば「音の密度が薄い」に尽きる。
こうした結果をみると、これまでずっと敬遠してきた3ウェイに対する認識を改めざるを得ない。
なぜ敬遠してきたかというと、マグネットが違うユニットを3つも使うとそれぞれのクロス―オーヴァー付近(この場合は500ヘルツと4000ヘルツ)で違うユニット同士の音が重なり合うので音が濁るだろうという先入観。
理論的にはたしかにそうなんだけど、現実にはそれほど音も濁らずむしろとても生き生きとしてフレッシュな音が出るのだから仕方がない。
ふと、昔読んだ「釣り雑誌」に書いてあった記事を想いだした。
年期の入ったベテラン釣り師が高級な釣り竿やリールを使い、「仕掛け」にも細心の注意を払って防波堤で「繊細な釣り」をしていたがなかなか釣れない。
そこにやってきたのが見るからに初心者と分かる釣り師で、竿も仕掛けも荒っぽい限り。大きな錘を使ってドボンと餌を海に放り込む。
そんなことでは釣れないよと鼻でせせら嗤っていたところ、何とその仕掛けに大きな魚がかかってしまった。
つくづく「釣りとは何ぞや」と考え込んでしまったという話。
スタイルに拘ることなく、魚が釣れればそれは現場の環境に適した「いい仕掛け」なのだ。
オーディオも同じで、見かけがどうであれ「気に入った音」が出れば、それは現場に適応した「いいシステム」なのだ(笑)。
オーディオは「音響物理学+各自の感性」で成り立っているが、部屋の音響特性をはじめ、機器の種類も多いし、あまりにも「変数」が多すぎて理論的にすべて解明するのは無理。
つまり「理論 VS 実践」でいけば、もちろん理論も大切だけど実践の方が優勢だと個人的には思っている。実際にやってみなければ分からん世界だ。
したがって、「オーディオは何でもあり」なのでネタは永遠に尽きない。
「浜の真砂は 尽きるとも 世にオーディオの種は 尽きまじ」(笑)。
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