「明日、午後1時過ぎにオークションの落札代金を持って行きますが、ご都合はいかがでしょうか。ついでに1時間ばかり聴かせていただけるといいんですけど」と、オーディオ仲間から連絡があった。
「結構ですよ。あっ、ついでに余ったプリアンプが1台ありますのでオークションに出品してもらえませんか。持ち帰っていただくとありがたいんですが・・」と、自分。
「ハイ、いいですよ」
説明しよう。
まず、オークションの落札代金というのはソニー製の「サブウーファー」のことで、「AXIOM80」の低音域を補う使い方をしていたのだが、「ARU」(背圧調整器)の見直しをしたおかげで低音域の不足感が無くなり、不要になったので委託出品したもの。
使いやすいし、お値段も随分安くてお買い得品だったと今でも思っている。
次にオークションに出す予定のプリアンプだが、さっそく午前中に調整で大忙し。なにしろ音が出なかったりノイズがあるプリアンプを出品するわけにはいかない。
これはクリスキットの真空管式プリアンプで一番音が良いとされている「マークⅥ」である。オーディオ仲間から譲ってもらい、大いに気に入ったのでスペアとしてオークションでもう1台買い求めて2台所持していた。
音質を改善するために不要なテープの再生・録音回路などを外しているので一層「音」がいい(と思う)。
ところが、このところDAコンバーターからパワーアンプに直結使用しているのでプリアンプが不要になってしまい、とりあえず1台だけ残しておけば大丈夫だろう、というわけ。
さっそく「音出し」テストのためプリアンプの天板を外して適合した真空管を6本挿し込んだ。
まずフォノ部がお馴染みの「12AU7×3本」の構成で、国産の無難な東芝製を使った。そしてフラット部は「12AU7×2本+12AX7×1本」の構成で、これまた東芝製を使用。
日本製だけあって故障が少ないし、それほど高価でもないしオークション用として無難な選択だと思いますよ(笑)。
さあ、1年以上直し込んでいたので無事音が出てくれるといいのだが、と不安な気持ちでスイッチオン。
すると、なかなか「いい音」じゃないか!(笑)
プリアンプ抜きの音と比べて音の透明度はやや落ちるものの力感はむしろ上回る勢いで、プラス面とマイナス面とを合わせるとゼロに等しく、「透明度と力感のどちらを選択する?」と、目の前に刃の切っ先を突き付けられるような思いがした。
こればかりは音楽ソースやその日の気分次第にも左右されるが、この時は「力感」の方に傾いた。当分の間プリアンプを経由して鳴らしてみることにしよう。
そういうわけで、こんなに「いい音」のするプリアンプをオークションに出品するなんて”もったいない”のでヤーメタ(笑)。
プリアンプ騒動が一段落して昼食後に仲間たち(2名)がきっかり1時にお見えになった。
開口一番「オークションにお願いしようとしていたプリアンプですが実験したところ、想像以上に”いい音”が出たので止めておきます。これほどのプリアンプを見ず知らずの人間の手に渡すのは忍びないです」
「アハハ・・・」と、仲間。
この日は次の予定があるとかで、時間が限られており2台のスピーカーだけ聴いていただいた。お二人とも大のレコード愛好家である。
まず「ウェストミンスター」(改)で「悲愴」(チャイコフスキー:シノーポリ指揮)の第4楽章を。
駆動するアンプは「PP5/400シングル」アンプで、「dCS」(イギリス製)のDAコンバーター(エルガー・プラス)から直結。
「エルガー・プラス」は出力電圧がメチャ高いので、プリアンプ無しでも十分いける。
この「エルガー・プラス」はデジタル史では、まるで旧石器時代の遺物のような存在だが、デジタル変換後のオペアンプあたりに相当質のいいものを使っているとみえて、今でも近代のデジタル機器と比べて総合力では十分伍していけると思っている。
「悲愴」は去る2日の試聴会以来、大いに気に入って毎日鑑賞しているが重厚な弦のユニゾンと高らかな金管楽器の出番に対して「ウェストミンスター」(改)が見事に応えてくれている(積り)(笑)。
仲間内からも特に異論が出なかった。これはたいへん珍しいこと!
次に、こじんまりとした3ウェイシステムに移った。
低音域(~500ヘルツ)がグッドマンの「AXIOM150マークⅡ」、中音域(500~4000ヘルツ)がテクニクスの「スコーカー」、そして高音域(4000ヘルツ~)がワーフェデールの「スーパー3」(アルニコ・マグネット)という組み合わせ。
ブルーレイ・レコーダーのHDDに取り込んだ曲目をジャズから歌謡曲まで次から次に10曲ぐらい聴いていただいたが、これについても特段の異論無し。
まあ、「首尾よくいった」というところでしょうか(笑)。
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