「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

「ベストアンプ」を求めて~AXIOM80(復刻版)編~

2021年09月11日 | オーディオ談義

自分で選択したんだからすべて「好きなはず」なんだけど、それでもやっぱり優劣の差が出てくる。

いや、5系統のスピーカーのことである。

たとえば1日間聴いただけで「もういいや」と放り出すスピーカーもあれば、3日間ほど代えないで聴きっぱなしということもある。

逆説的に言えば、どんなに気に入ったスピーカーでも3日間も経てば入れ替えるというわけだが、その「移り気」加減に自分でも嫌気がさすことがある。

いったい「音楽」を聴いてんだか、「音」を聴いてんだか・・(笑)。

さて、今回取り上げるスピーカーは今のところ比較的お気に入りで長めに聴いている部類に入る。



AXIOM80(復刻版)をフルレンジで鳴らし、JBL「D123」(口径30センチ)をサブ・ウーファーとして100ヘルツ以下くらいを少し補強してやる「変則2ウェイ」システム。二つの箱とも自作で共振させることを目的に「板厚1.2cm」にしている。

今回のテーマはこの二つのユニットをうまく鳴らせるアンプはどれだろうかというわけ。

箱の大きさからして徒にスケール感を求めると「迷路」にはまりそうだ。

前々回のブログ「敵を知り・・・」で9台の真空管アンプを出力別に3群にグループ化したが、大きめの出力のアンプで鳴らすのはスピード感の面でしっくりこないので「A群」と「B群」の中から選ぶことにした。

<A群~出力1ワット級~>



いずれも「甲乙つけ難し」でこの中から選ぶのは苦渋の選択だが、
最終的には「スピード優先」の観点から一番手前の「6CG7プッシュプル」アンプに決めた。

たかが「ミニチュア管」だけど、されど「ミニチュア管」である。

このアンプは先日のこと、ソケットが故障したのでオーディオ仲間のNさん(大分市)宅に持ち込んで修繕してもらったが、ご自宅の「アルテックA5」を、このアンプで鳴らしたところ朗々とした響きが出てきた。

「我が家の300Bシングル(モノ×2台)に匹敵するような音です。きっとプッシュプル用の出力トランス(TRIAD:アメリカ)がいいんでしょう」と太鼓判を押してもらったほどで、今のところ我が家の「常用アンプ」である。

このアンプを低音用の「D123」に振り向けることにした。

普通、100ヘルツ以下の低音を鳴らすのならそこそこのパワーが必要だが今回のケースでは低音が出過ぎて「AXIOM80」を邪魔すると悪いのでこのアンプの出番だ。介添え役は出しゃばり過ぎてはいけない(笑)。

そして肝心の「AXIOM80」にはどのアンプを振り向けるかポイントだが、B群から選択することにした。

この一癖も二癖もある「ジャジャ馬ユニット」を無難に鳴らすことが出来れば、どんなスピーカーにも対応できると言っても過言ではあるまい。

<B群~出力2~3ワット級>



丁度折よく、オーディオ仲間のYさんがお見えになったのでこれら3台のアンプを聴き比べてもらった。

この程度の重さならラックに上げたり下げたりしても腰の負担はしれている(笑)。

そして、最終的にAさんの「一押し」は画像一番手前にある「371Aプッシュプル」アンプだった。

「6AR6アンプは与えられた情報をきちんと正確に出してくれますが、それだけにとどまっている印象を受けました。2A3アンプは伸びやかな響きがありますがちょっと切れ味が甘いです。いずれも371Aプッシュプルアンプの佇まいの魅力には及びませんね」

ちなみに、今回のテスト盤はフルート奏者のYさんが持参された「ジェームズ・ゴールウェイ」(元ベルリンフィル)のCDだった。

ゴールウェイといえばフルート界の王者だそうで、彼が吹くフルートは世界的に有名な「ムラマツ」(日本)の「24金」だが、彼の音色を出したいばかりに高価な「ムラマツ」を購入し吹いてみてもどうしても同じ音が出せないと嘆きの種になっているそう。

管楽器ばかりは小さい頃から英語や仏語の発音に舌が鍛われているとともに肺活量に優れた外国人の独壇場のような気がしている。

曲目は「精霊の踊り」(グルック作曲:オペラ「オルフェオとエウリディーチェ」から)で、ゴールウェイで聴くと「この世にこんなに美しい音楽があるのか」と思わせるほどのたっぷりとした至福の響きに酔わせられる。フルートで演奏される曲目の中では「白眉」だろう。

話は戻って、
この「371A」アンプは、出力トランスが「ピアレス」(アメリカ)、インターステージ・トランスが「パーマロイコア」で、改造していただいた「北国の真空管博士」から「この構成なら悪い音の出ようがありませんよ」と、お墨付きをいただいている。

ただし、実を言うと「371Aプッシュプル」アンプは滅多に使わないことにしている。このブログの恒常的な読者ならこれまで登場シ~ンが極端に少ないことにお気づきのことだろう。

その背景には、出力管として使っているおよそ80年前の貴重なナス管「371A」(71A系)にある。

これを4本、それもプッシュプルとして特性の揃ったペア管を確保するとなると極めて難しい時代になっていて日常的に使うとなると、つい「もったいない」精神が先に立つというわけ(笑)。

しかし、人生の残された時間を考えるとこれから頻繁に登板させてもいいかもねえ。

まあ、そういうわけでこのシステムのベストアンプは「AXIOM80」用に「371Aプッシュプル」アンプ、「D123」用に「6CG7プッシュプル」アンプで決まり~


ただし、DAコンバーターやプリアンプなどの前段機器を代えたりするとすべて振り出しに戻るので、あくまでも「2021年9月11日時点で」という「但し書き」を付けておこう(笑)。



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