「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

「タイトル」の付け方

2021年09月13日 | 独り言

少なくとも2日に1回は悩んでいる計算になる。

ブログの「タイトル」をどう付けようか・・。

内容の方はいつもどおり大したことはないのだが(笑)、タイトルが巧くハマったときはついうれしくなって気分爽快になる。

そういう中、「タイトル読本」に出会った。



現代の有名作家たち「51名」が「タイトル」についてどう考察し、どう付けて、現場がどう動いたかの書き下ろしのエッセイである。

「序文」にタイトルを付けるときの大切な心構えが羅列してあった。

たとえば

 作品の本質に迫りひとことでまとめる力

 作品への期待を高める言葉のセンス

 リズム感とユーモアと発想力

 時代をつかむ力

興味を惹かれてつい読み耽ってしまった。

以下、印象に残った部分を箇条書きすると、

 小説のタイトルといえば松本清張である。そのタイトルを目にしただけでブルっと来てしまう。「点と線」「砂の器」「張り込み」「黒革の手帖」「時間の習俗」「Dの複合」「分離の時間」「眼の気流」「ゼロの焦点」「渡された場面」「地方紙を買う女」とくればもう無敵であろう。作品の世界や性格もしっかり出ている。ただの言葉ではないのである。

 映画としても小説としても印象に残る素晴らしいタイトルに、トマス・ハリスの「羊たちの沈黙」があります。とても知的で神秘的なタイトルです。どこか怪しく、怖い予感もします。キリスト教文化に馴染みのある人ならば宗教的な意味合いも感じとるかもしれません。

そして、映画(アカデミー賞5部門受賞)を観た後では、それがヒロイン・クラリスの子供のころの体験を基にしたものだと知ります。改めて映画のタイトルと内容がしっかりと観客の中で結びつき、タイトルが重層的な意味を持って作品と一つになって観客の中に残るのです。

そこで作曲家「武満徹」(故人)の言葉を思い出します。「8割はかっちりと説明し、残り2割は観客の想像によって完成する。」これがタイトルの必要な要素だと思います。

※ この文章は「恩田 陸」女史(宮城県)が書かれたものだが、名作であり名タイトルの「蜜蜂と遠雷」の作者だからこそ大いに説得力がある。

 ヘミングウェイは題のつけ方が旨い。「キリマンジャロの雪」には冒頭に前書きがある。頂で凍死した豹のエピソードである。「こんな高いところまで豹が何を求めてやってきたのか誰も説明したものはいない」とし、ごく荘重に語られるものだから、なにはともあれ先を読みたくなる。

ヘミングウェイの代表作ともいえる「武器よさらば」(Farewell To Arms)という題を決めるまでに200以上のタイトルを紙の上に書き並べてどれがいちばんピッタリするか思案したという。

そして、最後に「タイトル」に関連する身近なエピソードを紹介しておこう。

4か月ほど前に隣町の図書館で予約していたミステリー「白鳥とコウモリ」(東野圭吾)がこのほどようやく手元に届いた。



大いに興味をそそられたのがこのタイトルで、「白鳥とコウモリ」って、この対照的な二つにいったいどういう因果関係があるんだろうか・・。

読み進んでいくうちに、ようやく結末まじかの「391頁」になってその意味が解き放たれた。引用しよう。

「光と影、昼と夜、まるで白鳥とコウモリが一緒に空を飛ぼうって話だ」(刑事)

注釈が必要だろう。つまり殺人犯の息子(コウモリ)と殺された側の被害者の娘(白鳥)が一緒になって事件の真相を究明しようというわけ。

ネタバレになるのでこれ以上は書けないが、最後に実に意外な真相が解き明かされる。

小説の開始から1/3ほどで犯人が判明しすっかり自供してしまうので、いったいこの先どういう展開になることやらと心配したが、さすがに東野さんはストーリーの組み立て方が巧いですね。

ただし、登場人物の実在感に乏しい点などが散見されるのでわざわざ購入して読むほどのこともないと思うが、もし機会があればぜひ~。

最後に他人の話ばかりをネタにするのも気が引けるので、今年の上半期の我がブログ・タイトル「ベスト5」(自選)を挙げておこう。それぞれ内容への「リンク」可能です。

 「愛情、熱意そして執念に彩られたスピーカー」(2021.2.27)

✰ 「人生に無駄な経験は一つもないというが」(4・15)

✰ 「足して2で割ると丁度いい」(6・5)

✰ 「新鮮さはそれだけで人を惑わせる」(6・29)

 「功を奏した”遊び心”」(7・7)

この内容に共感された方は積極的にクリック →    

 


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