前々回に投稿した「男心と春の空」では、1920年代に製造された整流管「OK-X213」が登場して「予想外の展開・・、以下続く」と、いかにも「もったいぶった」終わり方をしてしまった。反省してます(笑)。
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どうか蓋を開けてみてガッカリされませんように~。
さて、オーディオの楽しみはそれこそ千差万別だが、共通しているのは「微妙な違いを追い求める」ことにあり、弄れるところが沢山ありそうなレコードプレイヤーやスピーカーなどと対象が尽きないが、真空管アンプの「球転がし」もそのひとつ。
用途別では出力管、電圧増幅管、整流管(交流を直流に変える役割)といったところで、野球にたとえて大胆に言えば1番バッターが電圧増幅管、出力管がエース兼4番バッター、整流管は全体を統括する「監督」といったところかな。
真空管の中では一番消耗度が激しいとされており、寿命が尽きるのも早いとされている整流管。プロ野球の監督も選手と比べると短命ですね。
で、前回と今回では「整流管転がし」で音質の変化を楽しもうということだが、整流管はアンプ全体のSN比に直結しており「チームカラー」やすっきり爽やかな「透明感」に大きく寄与しているのでゆめゆめおろそかにできない球である。
定評のある整流管となるとオークションでも引っ張りだこで驚くほどの高値を呼んでいるが、それだけ実感されている方が多いともいえる。
ここから本論に入ります。
この「OK・・」をこれまで大切に保管していたのだが、前回で述べたように初めてWE300Bに挿して試聴したところ、透明感に満ち溢れた何とも品のいい音が飛び出してきた。
「さすが!」と唸って、さっそく購入先の「北国の真空管博士」にご注進。
すると「それは、たしかにいい音でしょうが・・。300Bアンプに使うにはちょっと規格に無理がありますよ。
そのままだと整流管の寿命が早く来ますから、使うならやっぱり71系アンプをお薦めします」と、つれない返事(笑)。
ウ~ム、まったく予想だにしない展開になった。ブログで延々と自慢してやろうと思っていたのに~。
いくら規格外とはいえ「いい音」の前には理屈もへちまもないとも思うが結局、真空管が先にくたばるか、それとも自分の命が先に尽きるか・・、ですね。
その兼ね合いになるのだろうが、どちらが大切かといえばやっぱり希少な真空管でしょうよ。
何しろ二度と生産できない貴重な文化遺産なんだから、こういう100年前の球を状態のいいまま次の世代に引き継ぐことは真空管愛好家の義務といってもいいくらい。
(自分でいうのもおかしいが)なかなか殊勝な考え方だと思うが、本音をいわせてもらうと、この真空管が人手に渡って「魅力的な音」を出そうものなら、死んでも死にきれない気がするなあ(笑)。