前々回のブログ「ウィスキーとバラの日々」のことがちょっと気になっている。
こんなことを書いていた。
「口幅ったい言い方になるがこの世に完璧なオーディオ機器は存在しないと思っているし、言い換えると、どんな名器でさえも何がしかの欠点がある。」
フン、偉そうに~(笑)。
真意を述べておこう。
オーディオは一言でいえば「音を出す道具」だが、いろんな役割を持った機器によって構成されている。
つまりスピーカー単体では音は出ないし、レコードやCDなどの前段機器、微小電流を増幅するアンプなどの組み合わせによってはじめて音が出る仕組みになっている。
したがって、単体の評価をする際にも他の機器との相性がもの凄く重要になる。
いわば「単体だけの性能を云々するのは無理がありますよ」ということが暗に言いたかったというわけ。
そういえば、昔は「黄金の組み合わせ」というのがあった。往年のオーディオファンであればきっと覚えておられることだろう。
「タンノイⅢLZ(イン・キャビネット)」+「ラックスの真空管アンプSQ38FD」がそれ。
ステレオサウンド誌で、あの五味康佑さんがこの組み合わせを激賞したので一気に広まったが、「ⅢLZ」のやや線の細い神経質な音と「38FD」のややぼんやりした音とが上手く混ぜ合わさって聴きやすくなっていた、という感じかな。
もちろん当時は五味さんの「信奉者」だったので、我が家でも使っていたが年齢的に(30代のころ)は「感性と技術」が未熟でその良さを十分引き出せないまま、いつの間にか消え失せてしまった。
いずれにしろ、これはそれぞれの欠点が組み合わせ次第でプラスの方向に作用する事例の一つ。
つまるところ、オーディオの妙味って何かというと「相互の機器のマイナス面を補う合う」ような「組みわせ」にあるのではなかろうかという気がしてならない。
もちろん、そもそも「マイナスかどうか」の判定は各自の好み次第なのは言うまでもない。
そこで翻って現代にも「黄金の組み合わせ」ってあるんだろうか・・。
まあ、無理でしょうね。
往時と違って今やオーディオ機器の数が果てしなく多くなっており、組みわせそのものが多様化しているのがその理由。
したがって、スピーカーもアンプも決め手がないまま、これさえ使っていれば大きな外れはないだろうという安易な雰囲気が横溢しているといってよかろう。あえて、「安易」という言葉を使わせてもらいますよ(笑)。
たとえば、スピーカーではクラシックなら「タンノイ」、ジャズなら「JBL」「アルテック」あたりかな。
ちなみに、我が家では「タンノイ」はユニットと箱が一体化して販売されており、それらを組み合わせる楽しみが削がれるので、自ずから箱の制約が無いグッドマンやワーフェデールに傾注している。
つまり、ここではマイナーな視点になるが「ユニットと箱」との組み合わせの妙味があることにも注目して欲しい。いわば「組み合わせ」といっても小さなものから大きなものまで、さまざま~。
そして、真空管アンプなら「これさえ使っておれば大外れはない」の代表選手が「300Bアンプ」かな~。
真空管アンプ愛好家ならまずは「避けては通れないアンプ」だろう。
というわけで、ようやくここまで引っ張ってきました(笑)。
この画像を見て目敏い方ならお気づきのことと思うが前段管が「71A」から「GS112A」に代わっている。
つまり「71A+WE300B」から「GS112A+WE300B」の組み合わせに代えたところ、音の重心がぐっと下がって「好みの音」に変身~。
さっそく「北国の真空管博士」にご注進。
すると「ご承知のとおり71Aは酸化被膜のフィラメントですが、GS112Aはトリタン・フィラメントです。音のスピードがはるかにトリタンの方が上です。レンジは71Aのほうが広いと思いますが、スピード効果でそういう現象が起きたのでしょう」
しばらくこのコンビでウェストミンスターを駆動するとしよう。ブルックナーの8番(チェリビダッケ指揮)がこの上なく身近になりましたよ。
この「GS-112A+WE300B」が、我が家の「黄金の組み合わせ」の極め付きになってくれるといいのだが・・(笑)。
この内容に共感された方は励ましのクリックを →