旧態依然とした社説のスタイルを破ろう
2023年5月5日
私は「子どもの日」(5月5日)を取り上げる社説を書くのなら、子どもが読める工夫をして欲しいと願ってきました。やさしい文章で、子どもが音読できるように、ふり仮名もふってくれるといいと、思ってきました。
新聞の発行部数がどんどん減り、若い世代ほど新聞を読まなくなりました。新聞社は「民主主義を守る社会の公器」と自称 . . . 本文を読む
物価上昇は金融政策の成果ではない
2023年4月29日
植田新総裁を迎えた日銀は大規模金融緩和を維持しつつ、1999年以来、25年間続いている緩和策の検証を決めました。植田氏は98年から2005年まで日銀審議委員を務め、ゼロ金利政策のスタート(99年)に関与していたので、2013年からの異次元緩和(アベノミクス)に先行する期間を外すわけにはいかなかったのでしょう。
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金融不安対策で大展開の紙面
23年4月24日
「米著名投資家」、「投資の神様」と様々な尊称を欲しいままにしているウォーレン・バフェット氏が11日に12年ぶりに来日しました。日経新聞は1面トップで単独インタビュー記事を掲載し、「日本株投資を拡大」、「金融不安は買いの好機」の見出しで大展開しました。
同氏の投資会社バークシャー・ハザウェイは、円建てでこれまで1兆円を超え . . . 本文を読む
学生の関心事の如実な推移
2023年4月15日
日経新聞とマイナビ(就職情報)が24年3月卒業予定の大卒者を対象にした就職希望調査をしたところ、ニトリ(家具、インテリア)が第1位に躍りでました。上位の常連だった生損保、メガバンク、商社を抑えてのトップです。ニトリは前年も3位でしたから、実力でしょう(以下、文系男女総合)。
4位にはユニクロ(衣料品)が昨年の13位から . . . 本文を読む
再び先進国の最下位の経済成長率
2023年4月8日
黒田日銀総裁の退任は異例づくめになりました。先進国最長の異次元金融緩和、10年という在任期間の長さ、実質経済成長率の先進国最下位転落、他国に例をみない桁違いの国債保有残高、出口政策に背を向けた去り際といい、これほど議論を呼んだ総裁は日銀初でしょう。
花束を手に日銀本店を去る映像を拝見していますと、手を振り、満面の笑 . . . 本文を読む
核心を外した国会審議と新聞社説
2023年4月4日
総務省が2014-15年に作成した放送法に関する行政文書を巡り、政治的公平性の解釈が変更されたのか、政治的圧力がかかったのか、文書は捏造だったのかなどが曖昧のまま、国会は後半に入りました。
岸田首相や総務省が「解釈の変更ではなく、補充的な説明だ」というのも、妙な表現です。放送法第4条の運用が変わり、放送局に対する新 . . . 本文を読む
返品率の改善で価格を抑制せよ
2023年3月30日
世界インフレが日本にも波及し、2月の食料品は7・8%上昇し、1978年以来、46年ぶりの伸びとなりました。知識の食品である出版物も相当な値上がりで、1000円を超す新書が急増しています。
新聞、テレビは出版社が関連会社にあるのでしょうか、出版物のインフレにはまず触れず、食品やエネルギーなどのことばかり書いています。そんなこと . . . 本文を読む
緻密な分析で黒田氏を痛烈に批判
23年3月24日
黒田日銀総裁の退任に向けて、10年に及んだ異次元金融緩和を総括する出版物、解説やインタビュー記事が多数、発表されています。黒田氏自身、日銀自身が「本当のところはどうなっているのか」の検証をし、日銀もその公表に取り組んでこなかったからでしょう。
異次元緩和や、これを軸にしたアベノミクスに「一定の成果」があったとする擁護 . . . 本文を読む
本質的な問題の議論が必要
2023年3月16日
放送法の政治的公平性(第4条)の解釈と政治的な経緯を巡り、安倍政権時代に作られた総務省文書が波紋を広げています。与野党が対立し、高市氏の議員辞職要求、首相官邸からの圧力の有無、総務省文書の真偽、杜撰な文書管理などに争点が拡散し、本質的な問題が霞んでしまっています。
結論から言えば、「当事者である放送局側がこの問題をどう . . . 本文を読む
副作用どころでない構造変容を招く
2023年3月11日
植田和男氏を日銀総裁とする人事案が国会で同意されました。一方、2期10年間、総裁を務めた黒田東彦氏は、最後となる定例の金融政策決定会合後、記者会見に臨み、「金融緩和政策は成功だった」と語りました。
去り行く総裁は通常なら、記者からも労いの言葉をかけられ、「力が十分、及ばないところはあった」というようなやり取りで . . . 本文を読む
「回顧録」は歴史の検証に不可欠
2023年3月5日
白川方明・前日銀総裁が国際通貨基金(IMF)の季刊誌で、10年も続いた黒田総裁による異次元金融緩和政策に対し、「効果は控えめ。長期の緩和は生産性向上へ悪影響をもたらす」と批判しました。
「効果は控えめ」という表現にとどめたのは、古巣への遠慮でしょう。また、白川氏自身が政治の圧力に押し切られ、大規模緩和への道筋を開い . . . 本文を読む
異次元金融緩和の修正と両輪に
2023年2月27日
植田和男日銀総裁の就任によって、異常な金融政策は徐々に修正されていくだろうと期待します。そこに立ちはだかるのが政治サイドで、財政膨張しか念頭にないらしく、金融正常化をストップさせようとする圧力をかけてくるに違いない。
日本の23年度の一般会計は総額114兆円で、11年連続で最大を更新しています。普通国債残高は100 . . . 本文を読む
袋小路にはまったアベノミクス
2023年2月21日
「安倍晋三回顧録」が発売1週間で15万部というベストセラーになっています。「憲政史上、最長政権はこうして作られた」、「36時間にわたる未公開インビューの全記録」と本の帯にあります。
安倍氏は強固な保守・右派勢力の支持を受け、死後も安倍神話にすがって政治勢力を維持したい政治家、勢力は歓迎する本でしょう。右翼雑誌が安倍 . . . 本文を読む
「ライバルがいないと社員は緊張しない」
2023年2月18日
トヨタ自動車の社長を10年務め、米国進出を成功させ、経団連会長にも就任した豊田章一郎氏が97歳で亡くなった。私の現役時代、何度か懇談する機会があり、豊田氏の率直な経営思想に2度、驚かされました。
その2度というのは、世間一般の感覚、常識とは全く違うので、鮮明に記憶に残っております。私は経済記者として、官 . . . 本文を読む
昨年末には消えていた「雨宮総裁」
23年2月14日
政府は14日、植田和男氏ら3人の正副総裁案を国会に提示しました。直前になって日経が「日銀総裁、雨宮氏(日銀副総裁)に打診。政府は与党と最終調整」(6日)と、スクープ風の記事を掲載しました。
新聞が「最終調整」と書く時は「これで決まり」と確信した時に限ることが多い。異次元緩和政策が転換点に差し掛かっている時の総裁人事 . . . 本文を読む