首相が白旗あげ白紙撤回
2015年7月18日
安倍首相がついに白旗を揚げて、白紙撤回しましたね。2020年の東京五輪向けの新国立競技場の建設問題は、久々に世論の勝利となりましたね。「よく決断してくれた」と、支持率が回復するのか、「まだ油断がならない」と、世論は当分、警戒を緩めないのか。まだまだ曲折があることでしょう。
最大の責任者は安倍首相でしょうね。2013年9月の五輪招致に成功した際、自ら決定総会の現地に乗り込み、「他のどんな競技場とも似ていない真新しいスタジアム」と胸を張りました。これが国際公約になったと国内関係者は信じ、競技場建設の足かせになりました。斬新なデザインが五輪誘致の勝因になったとも首相側は思ってきました。スポーツの価値が競技場のデザインで決まるなんてね。
白紙撤回の発表の際、首相は迷走を続けたことについて、お詫びか反省の一言はありましたかね、なかったような気がします。関係者を自分が説得し、勇気ある決断をしたのはこの総理大臣だと、言わんばかりで、聞いていて不愉快でした。「文科相と遠藤五輪相に新しい計画作りを指示した」とはなんですかねえ。
世論が首相に「指示」をだした
この首相は何かにつけ「指示」という言葉が好きなんです。計画の見直しを「指示」したのは世論なのですよ。お間違いなく。「支持率」の動きが首相に「指示」をだしているのです。
「白紙に戻し、ゼロベースで見直す」というのですから、最近の五輪の流れである節約、簡素、開催都市の負担軽減の精神を生かしてくれるのでしょう。有識者会議が決めたという2520億円に対し、「とにかく2000億円以下に」とかいう観測記事が書かれています。そんなものでは「ゼロベースの見直し」にはなりません。
総工費1000億円を目指せ
五輪招致時の建設費1300億円、あるいはその後の消費税引き上げ、労賃の上昇を加えてもそれに近い金額にしないとね。まあ、2520億円の半分程度なら、評価に値するかもしれません。大胆に意表をつくなら1000億円、前後でしょうか。そこまでやれば、政治を見直すでしょう。
安倍首相は自分に対する高い支持率を錯覚し、「総理である自分は相当なことをしていいはずだ」と思い込んできたようですね。その奢りから民意からどんどんずれていきました。安保法制論議でも、強引さとこじつけが目立ち、民意は「これはいかんな」と、思い始めたのでしょう。「一月前から見直しの検討に着手」とか首相は言っていますね。いかにも周到に考えてきたといいたいのでしょう。
本気の見直しだったかどうか分りませんよ。顔色が変わったのは、新国立に「反対」が80%を超え、安保法制問題も絡み、世論調査の不支持率が支持率を上回りだしたからでしょう。支持率に奢り、支持率に沈む、でしょうね。
森元首相は最後まで、首相の説得に不満だったといいます。そのくせ今になって「あのデザインは嫌だった。生ガキみたいだ」とはね。結論が決まったとき、「これからはワン・フォー・オール。オール・フォー・ワン」と叫んだとか。ラグビーの掛け声ですか。どこかこの人はずれているのですよね。元首相の責任、いや無責任さの大きさは安倍首相と並びます。
無責任5人衆は生きた教材
五輪にちなんで、無責任な責任者は5人衆です。安倍、森、安藤忠雄、下村文科相、もう一人は河野・日本スポーツ振興センター理事長です。センターの有識者会議は何だったのですか。「当事者能力がない」と、麻生副総理にまでいわれた下村氏は、本来なら辞任ものです。大臣どころか、議員としての能力そのものに問題があります。辞任させたら安倍内閣の責任問題に波及しますから、そうはさせないでしょう。「世界的建築家」の安藤さんの責任の回避の仕方、不可解な言動の数々には絶句しました。文化勲章に傷がつきました。
公職についている人、公職に近い仕事をしている人の責任は問われない。あるいは責任を問われたとき、どうやって逃げ切るか。われわれは、政治学の生のレッスンを受けているようですね。
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