反原発派のショックは深刻
2014年2月2日
2月9日投票の都知事選で、原発即ゼロを最大の争点にしようとしてきた細川氏の敗北がほぼ確定しましたね。二人とも元首相で、かつては圧倒的な人気があった細川・小泉連合ならブームを起せると考えた作戦は惨敗に終わるでしょう。元厚労相の舛添氏が勝つ見通しで、細川氏は共産党推薦の宇都宮氏に次ぐ3位の可能性もあります。細川・小泉陣営に過大な期待を持った反原発派のショックは大きいと思います。
このブログの1月11日、24日付けで、都知事選をテーマに取り上げました。「都政には多様な課題があり、細川氏が反原発だけで勝つのは難しい」、「行政手腕がある(ありそうな)舛添氏が勝つのではないか」「細川氏は2、30年前の過去の人。国民福祉税構想などで大失敗し、不透明な借入金問題などで首相を突然、辞任し、政治家としては失格」などと指摘しました。やはり反原発派が細川・小泉連合にかけた作戦は大きな空振りに終わりそうですね。
「今回の都知事選は反原発を問う国民投票だ」「反原発が最大の争点だ」といってきたひとたちは、選挙結果をみて、自分たちの主張が誤りであったことを認めるのでしょうね。「原発ゼロ」を選択しなかった「国民投票」の結果を受け入れるのでしょうね。選挙民は「原発なしに産業経済、社会はまわっていくのだろうか」と疑問に思っているに違いありません。
主要紙の世論調査が出そろいました。読売新聞の2日付け朝刊は1面トップに「舛添氏リード、宇都宮、細川氏が追う」の主見出しの記事を掲げています。選挙の世論調査記事で「リード」という見出しは、かなり差がついていることを示唆し、「宇都宮、細川」という表現は2、3位という順番を暗示しています。有権者の2割以上は投票先を決めていないというものの、無党派層支持率は「舛添3割、宇都宮と細川は1,2割」だそうですから、よほどのことがおきない限り、舛添氏の勝利は動かないでしょう。
世論調査を最初に実施したのは毎日新聞だったと思います。告示直後の1月24日付けで「舛添氏先行、追う細川、宇都宮氏の見出しでした。序盤も序盤、異例に早い調査で、おそらく細川・小泉ブームが起きていると予想し、この新聞の社論である反原発を最大の争点とすべく、選挙戦のムードを後押ししようとしたのではないかと想像されます。次が朝日(1月27日)で「舛添が細川らをリード」、同じ日に日経が「舛添先行、細川追う」でした。
序盤から舛添氏が先行を続け、直近の読売の調査では、細川氏が3位まで後退していることになります。毎日の調査の時、舛添氏がこんなに早い段階から細川氏をこれほど離しているとは、意外でしたね。というより、細川・小泉連合のブームが起きていなかったということでしょうか。「首都決戦、国政を左右」「細川氏の街頭演説では反原発が時間の8割」などという見出しをつけ、両氏のいう反原発が国政を動かすかのような期待をうかがわせる新聞もありました。中には「岐路に立つ原発文明。文明観の戦い」と指摘する新聞までありましたね。
これに対し、「原発は最大の争点ではなく、シングル・イシュー(単一の争点)にするべきではない。多様な課題が都政にはある」という反論、批判も渦巻いていました。これまでの結果はどうなっているのでしょうか。
世論調査でをみると、きわめてはっきりしています。毎日の調査の段階で、知事選の最大の争点は、すでに「少子高齢化や福祉26%、景気と雇用23%が1,2位で、原発・エネルギー18%は3位」でした。直近の読売(複数回答)では「医療や福祉84%、地震などの防災81%、景気・雇用75%が上位3位で、原発などエネルギー問題61%は5位」でした。都民は知事選の争点は多様であり、原発問題が唯一どころか、最大の争点とは考えていないことが分りました。
それだからこそ、細川陣営は途中から原発以外の政策を訴えるよう、方向転換したのです。わが家に1日に配達された選挙公報(公約)を読むと、細川氏は「原発ゼロで東京が日本を変える」をスローガンにしております。都民の意識とギャップが大きいですね。舛添氏の公約には「オリンピック、災害対策、社会保障」などが書かれています。当初、主張していた「原発依存を減らす」が見当たらなくなっています。
不思議なのは、世論調査(朝日)をすると、原発は「ただちにゼロにする」15%、「近い将来ゼロにする」62%で、あわせると反原発は77%の高率に達します。なぜ都知事選の調査との差が出てくるのでしょうか。恐らく、世論調査では項目別に質問をしますから、原発問題の項目だけで判断しろといわれれば「ないほうがよい」と考え、反対が相当な高率になるのでしょう。それが小泉流の「原発即ゼロ、つまり、ただちにゼロかどうか」と聞かれれば、「それは無理だ」となるのでしょう。さらに多様な政策課題を並べて、「どれが大切か」、つまり優先順位をいって欲しいと聞かれると、少子高齢化、福祉、雇用などを反原発より上位におく人が多くなるのでしょう。現実の政治、行政では、単一の課題だけに取り組むということはなく、多様な課題に優先順位をつけながら同時並行的にやるものです。小泉型選挙戦術の失敗でしょう。
また、細川・」小泉連合は原発ゼロ、つまり入り口をいうだけで、その手順、国政の動かし方、経済社会への影響、省エネルギー政策、再生エネルギーの拡充策など出口に言及していません。これでは都民が心配になります。スローガンだけで戦おうとしても、選挙民のほうが賢こく、動いていないのです。世界の最先端をいく省エネルギー都市の創造を具体策と合わせて訴えていたら、結果は少しは違っていたかもしれませんね。
勝つであろう舛添氏も安倍政権も、喜んでいられないでしょう。原発の新増設は難しく、廃炉は増え、原発依存度は低下していきます。運転再開や放射性廃棄物の処理も難航し、電気料金は高騰し、再生エネルギーの拡充は計画通りにはまず進まないなど、これからが正念場です。
大手メディアが報道規制して報じてないだけで、連日大群衆だよ。
小泉フィーバーどころの騒ぎじゃないぞ。
いいから一度見に行って来い!