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軽減税率が狙いか

2013年08月27日 | 経済

  軽減税率の導入を狙うか 

          2013年8月27日

 安倍政権は参院選で圧勝し、大胆な政策を続けるのかと思っていたら、「おやおや」ですね。 

 消費税問題についてです。 

 有識者60人から消費税引き上げの影響を聞く点検会合が始まりました。 

  消費税法の付則には、消費税引き上げについて、経済状況を総合的に考え、必要な措置を講じることにしていますから、点検会合そのものは問題はありません。点検会合の結果から何が飛び出してくるのでしょうか。そこが気になりますね。 

 首相のブレーンの官房参与は「1年、実施を遅らせ、毎年1%ずつ引き上げ、5年で計5%アップとする」というような発言を繰り返しています。せっかく、有識者から意見を聞くというのに、内閣にいる人物がこのタイミングで発言したら、その狙いは何だろうと考えてしまいます。 

 アドバルーンをあげさせ、落としどころをひそかに狙っているとも思えます。報道によると、予定通りの実施、税率の変更、当面見送りなどの複数案が検討されているとか。いくらなんでも、全面的な増税先送りはないでしょう。そんなことをしたら、国際的に金融資本市場に重大な影響を与えかねません。 

 参院選の圧勝で、最大で3年間は国政選挙なしですませられる政治環境を安倍政権は手にしました。実施を一年、遅らせたうえ、5年もかけて消費税を引き上げていったらどんなことが起きるでしょうか。3年間という願ってもない期間を空費することになります。景気が5年も持続的に回復を続けるということはまずないでしょう。 

 景気がおかしくなったから、今年は見送りということを繰り返すことになりかねません。 

  それでは、首相周辺は何を考えているのでしょうか。ありそうな話は軽減税率の早期導入です。以前、公明党がコメ、味噌、醤油、新聞など少数の品目にかぎって5%に据え置くよう主張していた時期がありました。 

 消費税で先行しているくには、軽減税率を実施しています。日本でも生活必需品をその対象にすることは意義があると思います。それには周到な準備が必要です。いわゆる線引きが難しいのです。 

 コメを対象にするなら、パンはどうするのか。味噌、醤油を対象にするならスープ、ソースはどうするのか。日刊新聞を対象にするとき、スポーツ紙はどうするのか。書籍、雑誌も対象にする意義はあっても、スキャンダルが売り物の週刊誌はどうするのか。調整に時間がかかります。 

 もっと肝心な問題は、インボイスの導入なしに、公正な軽減税率を実施するのは難しいと主張する専門家は多いのです。インボイスなしでは、仕入れに含まれている消費税(付加価値税)を除去できないというのです。 

  さてどうしますか。アベノミックスの効果が出始めたと政権は強調しているのに、3年間の願ってもない政治環境を空費しないことを願っています。

 

 

 

 

 



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