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株高依存症にかかった中央銀行の憂い

2021年03月22日 | 経済

出口なき金融政策の泥沼

2021年3月22日

 週明けの東京株式市場は約600円下落し、前週末の約400円安に続く急落です。経済誌が紹介する年末の株価は弱気説が2万5000円、強気説が3万9000円と、真っ二つに割れ、見通しが難しい。

 

 日経新聞は社説「金利高・株安への警戒を怠れない世界」(2/27)を始め、株高への警鐘を鳴らしてきました。「金融バブル崩壊/いつ大暴落が起こってもおかしくない」というタイトルの本(日経出版)も売れています。その予想は狂い、ダウ史上最高値を更新、日本は3万円台の回復です。

 

 それが先週あたりから雲行きがおかしく、また3万円割れです。日本の場合は、日銀がETF(上場投資信託)の購入目標「原則年6兆円」を撤廃したのがきっかけになりました。「新型コロナ不況なのに株価がバブル状態」の疑念への少額回答に応じたのでしょう。

 

 私が懸念するのは、日銀に限らず「世界の中央銀行は株高依存症にかかっているのではないか」です。多くの政権トップは株高の維持を最重要の経済目標にし、株高なら批判されずにすみました。

 

 政治家は「株高依存症」にかかり、株高が続いているかぎり、「経済政策は成功」との評価を受ける。それが錯覚であっても、構わうものかです。この依存症に中央銀行も感染してしまったようです。

 

 政治が中央銀行総裁の人事権を握るようになりました。総裁はバブル状態との認識を持っていても、バブルにブレーキをかけない、かけられない。バブルの崩壊は経済的惨事になりますから、「バブルは殺さぬよう」の金融政策を続けてきました。

 

 あるいは財政金融政策の効果が減退し、バブルによる「ほろ酔い効果」に密かにかけてきたのかもしれない。「ほろ酔い」から本格的な「酩酊状態」に。バブル中毒です。

 

 日銀は政治に従属し、政権と一体化した「政府機関」になりました。デフレ脱却、リーマン危機への対策と称し、超金融緩和では世界のトップを走り続けてきました。ゼロ金利、実質的な日銀引き受けにより、国債発行に歯止めがかからない。その結果、先進国最悪の財政状態です。

 

 おまけに、株価維持と資金供給のために、日銀が買い続けたETF(上場投信)の保有残高は50兆円に達し、東証の時価総額の7%、日本最大の大株主になりました。国債の保有比率も45%という異常さです。日本は資本主義国でなく、国家資本主義国です。そんな国は他にない。

 

 異常な姿も、株価が30年ぶりに3万円台に回復し、免責にされてきたきらいがあります。日本の場合は極端でしょう。他国はというと、新型コロナに対する不況対策で、やはり通貨をばらまいています。

 

 おカネは巡り巡って、マネー市場に行きつき、バブルを生む原因になっています。それにもかかわらず日米欧の中央銀行は、苦し紛れなのか金融緩和の継続を表明しています。「ゼロ金利政策を23年末まで続ける」(米)、「良好な金融環境を守ることが必要だ」(欧)などです。

 

 もっとも経済構造が複雑化しているため「バブルではない」との反論も聞かれます。日経は「経済教室」欄で「実体経済との乖離は限定的」(19日/伊藤隆俊コロンビア大教授)、「現行政策は妥当で懸念及ばず」(22日/ハーバード大シェアバード氏)の主張を紹介しました。

 

 これらの論文で気になったのは「経済が過熱して物価が上向いたら金融財政政策も引き締めることが可能だ」(シェアード氏)です。コロナ危機の前、パウェルFRB議長が引き締めに転じようとして、トランプ大統領が猛反対し、尻すぼみに終わりました。今や政治上位の時代です。

 

 「今まで以上に中銀による市場との丁寧は対話が求められる」(伊藤氏)もどうなのでしょうか。黒田総裁は、市場にサプライズを与えて、政策効果を高めることに必死でした。サプライズとは市場の出し抜くことで、対話と正反対の位置にある。それを思い起こしてほしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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4 コメント

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Unknown (Unknown)
2021-03-23 08:18:55
経済学は役に立たないですね。

学問なの????
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Unknown (Unknown)
2021-03-31 22:15:08
国債発行に歯止めをかけたらさらにデフレになるだろ
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Unknown (Unknown)
2021-04-03 14:43:14
ではどうすれば良いのか?
に関して提案が欲しいですね。

批判するだけなら誰でもできるのでは無いでしょうか?
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通貨量は為替政策ですよね。 (春日井)
2021-04-04 05:11:40
数学の話をします。
ドル(総量):円(総量) が 1:100 なら為替レートは $1≒¥100 辺りで収束します。
(外的要因で多少の前後はあります。)

米国の金融緩和でドルの発行量が増えているのに日銀が金融緩和せずにいて、
ドル(総量):円(総量) が 2:100 になったら為替レートは $1≒¥50 辺りで収束します。

上記は数学的にも経験則でも正しいです。

ブログの広告が仮にGoogleからドル建てで支払われていて、毎月約$1000振り込まれていたとして、$1≒¥100なら、円換算でひと月10万円の売り上げになります。
ところが、$1≒¥50になると、円換算でひと月5万円の売り上げになります。
(元通り10万円欲しければ値上げするしか・・・。値上げしたら売れなくなる可能性も・・・)
商品輸出の場合も同じことになります。

ですから、日銀はFRBが金融緩和している間は同等の金融緩和する必要があります。
日銀が市場に円を供給するには、なにかを買う必要があります。過去ずっと買ってきたのは国債ですが、国債はドイツの財政均衡にかぶれた多くの人やマスコミ記者の皆さんのおかげで発行が制限されています。そこで買うものとしてのシェアを増やしたのがETFです。

日本の株の時価総額は750兆円を超えます。仮に日銀が年に20兆買ったとして、2.7%程度に過ぎず、それによる株高なんて微々たるものです。円の総量がドルの総量と適正レートで均衡した事による輸出への不安解消こそが株高の原因だと思います。
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