TPPの採決の混乱を狙う
2016年11月4日
したたかな国会議員がいるものですね。わざと失言して、国会を混乱させ、法案審議を遅らす。本人は失言の効果があったとほくそ笑んでいるのではないですか。山本農水相がTPP(環太平洋経済連携協定)法案の審議の最中に見せた不規則発言は、私も初め「失言」と思っていました。それが「失言」が繰り返されたのをみて、「これは計略だな」。
一回目の失言は「TPPの強硬採決をするかどうかは、佐藤氏が決める」(先月中旬)でした。佐藤氏は衆院議院運営委員で、審議が熟せば、法案の採決をする人です。法案に野党が反対でも、強硬採決をすれば、自民党は勝つ。勝つといっても、機が熟さないうちに「強硬採決」をちらつかせたら、野党が怒り、国会が混乱します。
安倍首相は「われわれは結党以来、強硬採決を考えたことはない」と、立腹し注意しましたから、山本議員の発言は「口が滑った失言」を思った人は多いでしょう。本人は謝罪し、発言撤回しましたから、そこで終われば、やはり「失言」で幕が引かれたのでしょう。11月2日になって、「この間、冗談を言ったら、(閣僚を)首になりそうになった」と、二度目の不規則発言です。
失言の再犯は審議の遅延が狙い
首相の「結党以来・・」は事実に反し、必要とあれば、自民党は強硬採決に踏み切っていました。また、蓮舫民進党代表は「舌の根の乾かないうちにまた。こんな大臣がいるうちは、TPPなど国益に関する質疑はできない」と、声を張り上げました。蓮舫氏は二重国籍者(日本と台湾)の疑いが濃厚で、これまで真実を説明してきたとは思えず、山本農相を追及する資格があるか疑問です。
首相発言も、蓮舫氏の二重国籍疑惑は今回の本題ではないので、言及しないとして、山本農相の失言の「再犯」に接すると、「待てよ。国会の混乱と、TPP法案の採決遅延を意図している」と、推察しました。
米国の大統領選でTPP協定に反対の動きが強まっているため、安倍内閣は選挙前に日本がTPP法案を採決して、日本の姿勢を明示しようという計算できました。それを狂わせることを山本農相は狙ったと、考えられます。安倍政権としては、TPPに賛成でも、保護貿易色が強い農業分野では、自民党議員、農業団体も含め、反対が多いのです。これで山本農相は点数を稼げるという狙いを込めたのでしょうね。
裏の意図を探らないメディア
野党が騒げば騒ぐほど、「反対派のために、農水相は頑張ってくれている」となるのでしょう。テレビは映像ニュースにもってこいの失言騒動ですから、裏にどんな思惑が隠されているかお構いなく、報道します。本来なら、当初からTPP反対派だったとみられる山本氏(農業県の高知が地盤)をなぜ農水相に起用したのかこそ、ジャーナリズムが追及すべきテーマです。官邸も採決が近づいたら、山本農相の意思確認をしておくべきでした。
米大統領選でも、クリントン氏とトランプ氏の間で、品性に欠ける死闘が続いています。あるテレビ・メディアのトップは「特にトランプ氏は米国にとってためにならない。ただし、その言動は視聴率を稼げるので、わが社のためになる」と発言したと、報道されています。いやはや。山本氏の場合も「日本の自由貿易のためにはならない。ただし、今回の行動は視聴率をとれ、テレビ局のためになる」ということですかね。メディアよ、しっかり頼みますよ。
だだ単純に大きな権力を握ったため、金と権力に振り回され、自分で掘った陥穽に落ちただけなのでないのでしょうか。失言と言うより、彼の本音が出ただけの事ではないのでしょうか。まだ彼は、本心では、これが現実だと思っていると思います。世界が大きく変節しょうという、流れが読めていないだけでしょう。世界の人口は70億を超え、人類の自然破壊による異常気象、何時起こっても不思議でない農作物の地球規模での不作~飢饉、こう言うことが、現実に発生しないと山本氏には、農業の大切さを理解することが出来ないように私は思います。
一方世界中でグローバル怪獣が火を吐き暴れまわっている。それの対抗するようにアメリカでは暴言王トランプが、対峙している。アメリカでは周知のとおり、特権階級の10%の人達が、70%の資産を独占して、下級階級の50%の人達が年収300万円以下での生活を余儀ない状態に置かれている。この状況から判断すれば、仮にクリントンが勝利しても世界中で一国主義が進まざるえなくなるなるでしょう。私はよくは知らないが、メディア業界では、格差社会が顕現している組織だと感じています。難民・移民も同様でしょうが、生き残りたかったら、方途は自分で探せと言う社会になるのでなないのでしょうか。
国は所得税・資産税で調整せざるを得ないでしょう。