新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ

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盗聴される側にも責任

2013年10月25日 | 海外

 (短篇) 首脳の脇があまい  2013年10月25日

 

 米国の情報機関がドイツのメルケル首相の携帯電話を盗聴していた。そんな疑惑が持ち上がり、首相自身がオバマ大統領に釈明を求めました。盗聴によって、重要な機密情報が流出していたのなら、ドイツ側も脇があまかったのでしょう。

 

 国家機密に関する事件だけに事件の内容が最終的にどの程度、明らかにされるか分かりません。全容を伏せたまま、幕引きされる可能性が強いような気もいたします。素人としての意見を紹介します。疑問点はたくさんあります。

 

・盗聴によって、重要機密が米側に伝わっていたのかどうか。盗聴しようと試みたものの失敗していたのかどうか。失敗していたけれども、米側が盗聴の試みを続けていたのか。それに気づいて抗議したのか。

・ドイツ側はどのような盗聴防止策をとっていたのか。首脳の場合、特に厳重な防護策をとっていたのか。ハッカーが跋扈しているように、デジタルの世界は技術が高度化し、相手の防護壁を破って、コンピューター・システムの侵入する事件が続出する時代です。ドイツ側の対応策に手ぬかりはなかったのか。

・防止策が講じられていた場合でも、首相は相手と重要な話をするとき、よく携帯電話を使うのか。携帯電話と使うときの基準はあるのか。

・米国は同盟関係にあるので、盗聴の対象にされると思っていなかったのか。安心していたとすれば、この厳しい国際情勢の中で、認識があまかったのではないか。

 

 米国による盗聴疑惑はフランスに対してもあり、オランド大統領もオバマ大統領に抗議しています。盗聴する側が問題を起したのですから、抗議することは当然です。国内向け、海外向けにも、政治的にも必要です。同盟国だからと、気を許すことはできません。日本は官房長官が「安倍首相についてはまったく問題ない。情報保全のための対応策をとってきた」といっています。本当に大丈夫なのですかね。

 

 それはそれとして、軍事も政治も企業もふくめ、固定電話、携帯電話、ファックス、メール、その他すべての通信は傍受、盗聴の対象になる時代です。それを前提にして、行動しなければなりません。

 

 オバマ大統領を責める動きが急です。どこか変ですね。こういう時代、こういう世界では、情報が盗まれたら、盗まれたほうがいけないのです。米国だけ責めても、後の祭りです。日本にとっても教訓がたくさんありますね。

 

 

 

 

 

 



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