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ええっ 私が胃がん・・・

2014年08月11日 | 社会

   内視鏡検査で「ギョ」

                      2014年8月11日

 

 誕生日の頃に定期的に受けている胃、食道の内視鏡検査で、思わず「ギョ」としました。評判がいいと聞いた地元の内科医院で、今年も受けたのです。食道から胃へ、胃から十二指腸へ、また胃にもどり食道へ、もう一度、胃へ。ベッドの上に横たわり、その映像を見ていました。

 

 「今回は少し長いな」と、心配になってきました。「医師が胃がんかな」と、つぶやくではありませんか。「もう一度、見てみましょう」。問題の部分をいったりきたりです。またつぶやきます。「胃がんかな。組織を採取して、病理検査に出しましょう。一緒にピロリ菌がいるかどうかも、組織検査をしましょう」。私は口にカメラの管を突っ込まれていますから、「ううっ」、「ああっ」で質問もできません。内視鏡の先端に、小さなメスのようなものをつけ、胃の粘膜を2、3箇所、採取しました。「年齢が年齢だし、ついに胃がんがきたか。もっともまだ、初期だろうから、簡単な手術で治るだろう」と、勝手に想像し、妙に達観していました。

 

 施術を終えて、医師は「1週間後、医院に来てください。結果がでています」とおっしゃいます。会話を交わしているうちに、「胃がん」でなく、「びらん」(炎症で胃壁がただれていること)といっているらしいことが分りました。「びらん、とおっしゃったのですか」、「ええ、そうです」。「胃がん」も「びらん」も、母音が「イ、ア、ン」ですから、少し耳が遠くなった私には、「胃がん」と聞こえたのです。帰り際に、看護師さんにそのことを申し上げると、「びらん、といっていましたよ」。それにしても、驚かすなあ。

 

 1週間後です。「組織検査では、良性です。初期の胃潰瘍です。ピロリ菌はいません。粘膜の保護・修復と、胃酸抑制の薬を処方しましょう。2,3か月で治るでしょう」。ほっと、安心はしました。「原因はなんですか。退職後はストレスもないし、酒量も控えています」。「あなたは、胃酸が強い、ピロリ菌はいない。こういう方の場合は、恐らく薬の副作用で胃潰瘍になったのでしょう」。「薬ってなんですか」。「バイアスピリン(血液をサラサラにする)を飲んでいますね。その副作用でしょうね。胃を荒らすのです」。気軽におっしゃいますね。

 

 昨年末、脳に出血が起き、緊急入院して硬膜下血腫の手術をうけた体験記を数回、ブログ(硬膜下血腫で緊急入院、13年12月25日以降)に書きました。不整脈に伴う血栓予防に、抗血栓薬のワーファリンとバイアスピリンを何年か前から毎日、飲んでいます。抗血栓薬はを常用していると、出血が止まりにくくなり、ちょっとした打撲で、内出血が起きやすくなります。その時も今回も、薬の副作用でした。今度は胃にきたのです。

 

 これだけなら、話は終わりです。第2幕があります。毎月、通っている循環器内科(心臓、血管)で医師に、このことを申し上げると、「そういうこともあるのです」。こちらはもっと心配しているのだぞ。胃潰瘍から胃がんに進行したら、どうしてくれるのかね。かわりの薬を勧めるとか、もっと真剣に考えてくれないか。この病院は繁盛しており、8月から、駅に近い一等地に、土地を取得し、医院を新築しました。億円をいくつか重ねた費用がかかったことでしょう。製薬メーカー、医療関係者から3、40個の胡蝶蘭の鉢が「祝開院」に、届けられていました。

 

 第3幕があります。新築の医院の2階に、ほぼ専属の調剤薬局が入りました。帰りがけ、薬を買いに寄ると、なんと薬剤師2人、レジに1人、雑用係が2、3人もおりました。個人医院ひとつに薬局がひとつ、店員が数人とはね。よほど薬局ももうかるのだ。一般の薬局と違い、調剤薬局は毎週2日半は休業でしょうから、経済原理からすると、考えられないほど、効率が悪い経営です。それでも、つぶれないのは、薬価がよほど高いでしょうね。その分、患者の負担が大きいのです。社会保障費の抑制や医療費の削減をいうなら、こういう点に目をつけてもらいたいですね。

 

 薬剤師に私は質問しました。「バイアスピリンには、胃を荒らす副作用があるのですか」。「そういうこともあります」。「私の場合は、どうすればいいのですか」。「お医者さんはなんといっていましたか」。「調剤明細書には、薬学管理料、調剤技術料などが含まれている、とありますね。それで薬剤師のあなたに、他にいい薬はないかと、聞いているのですよ」。困った表情を浮かべるので、そこで話を打ち切りました。

 

 私の経験では、薬剤師の多くは不必要な存在です。医師のほぼ指示通りの薬を棚から集めてきて、「これは何々という薬です」、「何か変わったことはございませんか」などと、毎回、同じことを繰り返すだけです。患者に分らないこと、心配なことがあれば、医師に相談すればいいのです。「薬剤師は対面販売に不可欠な存在」はウソでしょう。医薬分業など、なぜしたのでしょうか。薬剤師の仕事を増やし、調剤薬局の有力チェーンの経営者を億万長者にした効果はあったのですね。

 

 医師の処方箋があれば、普通の薬局で買えるようにすべきでしょう。調剤薬局と薬剤師の多くを廃止すれば、医薬行政のコスト削減になるはずではないでしょうか。バイアスピリンの副作用の欄をみると、「耳鳴り、めまい、頭痛、胃痛、嘔吐、胸焼け、食欲不振、血管炎」など、何から何まで書いてあります。訴訟対策で周到に付記したのでしょう。こういうのを無責任というのですね。ブログ「薬局バブル」(13年9月12日)で書いた怒りがまたこみ上げてきました。

 

 



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7 コメント

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きみまゆ (きみまゆ)
2015-08-19 13:35:38
頑張って下さい
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Unknown (ろこ)
2015-08-19 20:40:03
こんにちは。
 ガンでなくてよかったですね。
 私はがん検診で3箇所もガンの疑い濃厚と結果が出て、主治医にそれぞれの専門の病院へ紹介状を書いてもらい、診察に出かけました。その間、遺書までしたためて、身辺の整理をして、いつ入院しても良いようにしてのこと。結果は3つともシロ。がんセンターの医者が「なぜこんな疑いが出たのだろう?」と首をかしげられるほど。
 ピロリ菌もいませんでした。
 心配のあまり、円形脱毛症になってしまいました。
 医薬分業にも腹立たしい思いでいっぱいです。
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同じです。 (みゆ)
2016-03-23 16:57:31
まったく、同じです。
検索でこちらに来ました。
先日、私も胃が激痛て
診察受け、カメラ、病理
結果。ピロリもなく。
アスピリンの副作用でした
主治医はアスピリンは止められない。
胃腸科は、アスピリンが原因を主張。
なにを気を付ければいいのか
わからないけど。。
気を付けましょう。。お互い(^^)
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Re:同じです。 (jinn-news)
2016-03-23 17:34:25
拝読しました。ありがとうございました。アスぴリンをやめています。異常はないようです。内視鏡は定期的にやるようにしています。よろしく。
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私は直腸癌でした (伊牟田勝美)
2016-03-26 12:02:37
私は、直腸癌でした。
2年余り前に手術をして、現在は経過観察中です。
早期でしたので、主治医は再発の可能性は低いと言ってくれていますし、2年間にその兆候はありませんでした。

医療費を抑える方法は色々あるかもしれませんが、弱者が苦しむ方法は避けてほしいものですね。
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Re:私は直腸癌でした (jinn-news)
2016-03-26 17:43:21
メール、ありがとうございました。お身体を大切に。免疫力を高めましょう。よろしく。
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バイアスピリンは怖い (副作用)
2018-07-02 19:48:44
確かにバイアスピリンは単価が安いから服用して仕舞いますが、副作用が多いと思います、しかし最近の良い情報では大腸癌の予防に成ると薬剤師が言ってたから、リクシアナ始め新薬の高い単価を服用するかは、難しいですがね、副作用は薬には付き物ですからね!
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