副作用の問い合わせに返事がない
2015年7月6日
先日、ブログ「薬局は安価なジェネリックが嫌い」を書きました。医療費を含む社会保障費の削減のためになるのに、肝心の調剤薬局が嫌がっているという話です。そうしましたら、「安いからといって、ジェネリックを安易に勧めてはいけない」という指摘を頂きました。なるほど、と思うところも多く、紹介しましょう。
まず、大病院の院長も勤められ、心臓内科が専門の方のご意見です。ジェネリック、つまり後発医薬品とは何かという本質的な問題提起をしております。「本来の薬、つまり先発薬と素材が同じであっても、後発薬は全く同じ薬ではない」というのです。「元の分子構造が同じなので、臨床実験が全く行われていないという問題がある」。えっ、そうなのですか。
臨床実験をしていない
「もし薬に副作用が現れ、先発薬会社と後発薬会社に問い合わせが行っても、後発薬会社から、返事がくることはない。薬は、本体とそれを覆っている薬剤が一体になって効果を発揮している」。さらに製造方法、手順も違うと聞いたことがあります。そうなると、はやり後発薬にも臨床試験が必要なのだ。
また、この方の知人の女性がジェネリックを使って「造影剤アレルギーを起こし、大騒ぎとなった」といいます。「ジェネリックによる副作用が多く起きているのに、まとまった報告はない」とのことです。厚労省が本格的な調査をしたということも聞いたことがありませんね。ジェネリックを普及させようというのならば、厚労省の実態調査は必要ですよね。
もうひとりの方は、わたしのブログの「読者登録」をしている方です。「週末を原村で」というブログをご自身でも書いています。原村(八ヶ岳かしら)の自然、お山の日記、山野草・草花をテーマにしているかと思うと、行ったことがない国を探すのが難しいくらい世界各地を旅して回り、アップしているブログは累計で、2000とか3000にのぼります。各分野における専門的知識も半端ではありません。一体、何をやっているひとなのだろうか。カメラの腕もプロ級です。
熱帯の土壌から生まれた新薬
「ペニシリンの時代から、先進国は世界各国に行き、土壌類に生息するバクテリア等の微生物、草木を採取し、医薬品などの開発に努めてきた」との指摘です。ここでわたしは以前、研究者が熱帯などあちこちで土壌を掘り起こし、収集し、新薬の開発に使っているというテレビのドキュメンタリーをみたことを思い出しました。
それに対し、途上国が自国の権利を強く主張するようになり、生物遺伝資源の利益配分を定めた名古屋議定書を採択(2010年)したことに触れ、「途上国に行って、勝手に遺伝資源を搾取してきていい、ということでなくなった」といいます。「たとえばシンガポールは新薬開発に成功したら、その対価の支払いと求めている。それを誰が負担するのか」。薬メーカーが支払い、最終的には患者負担になりますね。
実質的に短くなる特許期間
この方のネームは「赤ゲラさん」です。「赤ゲラさん」は「新薬開発には時間とカネがかかる。開発者の権利が守られないところに、薬の開発はおぼつかない」といい、ジェネリックそのものに批判的です。わたしのにわか勉強では、特許期間20年、それに治験・承認審査期間を最長5年プラスという原則があるとか。特許を出願した後の実用化開発の期間を差し引くと、保護期間は実質的にずっと短くなるといいます。
赤ゲラさんは「この10年、薬効の高い新薬は開発されていない。ジェネリックをよいとする風潮が気になる」と、おっしゃいます。ネット検索で調べると、「ヒット商品が続々と特許切れ。もう新薬を生まれない」という情報、意見が目につきますね。
高い薬価と医療財政の両立を
ではどうするか。財政赤字の増大、健康保険の収支の悪化、どんどん伸びる長寿化を前に、高価な新薬、高価な薬代をいつまでも支払い続けることはできないというのも事実でしょう。富裕層だけが生き延びるというのでは、社会的な問題となります。さて、さて、ですね。
短期間に調べられた情報収集力には敬服します。
先発、後発に拘らずに金の切れ目が命の切れ目にならない世の中であって欲しいです。