やはり陰に政治圧力か
2015年11月7日
またまた、NHK対安倍政権の対立です。NHKに対する政治圧力のせいでしょうか、このところNHKが萎縮して批判精神を失い、番組がつまらなくなっていると思う視聴者が増えています。無難で人畜無害な番組ばかりにならないかと心配です。
NHKの看板「クローズアップ現代」の番組で起きた「過剰演出」、「やらせ」について、放送倫理・番組向上委員会(BPO)の放送倫理検証委が「重大な放送倫理違反があった」とする意見書を発表しました。直接の検証対象は「出家詐欺」報道(昨年5月)で、「記者が旧知の人物をあたかも初対面のように登場させた。室内に仕込んだマイクで隠し撮りしたように見せかけた」などと指摘しました。
倫理委が異例の政権批判
番組そのものの検証結果は、放送法違反に当たるやらせなのだろうということで、責任を回避してきたNHKも反省が必要です。それよりも「あっと」驚いたのは、「政府が個別の番組内容に介入」、「政権党が圧力をかけた」として、「許されない」、「非難されるべきだ」と、厳しい調子で批判したことです。
NHKに対する政治圧力を公式の組織が取り上げ、批判したことは前例がないでしょう。担当の総務大臣や自民党の関係部署がNHKに公正な番組編成を期待することは当然です。今回の問題はそこではなく、NHKの弱み(やらせ報道)につけこんで、政権・与党のほうに向くように仕掛けた、あるいは指導したと想像されることです。
やらせ報道に便乗して圧力
つまり「やらせ報道」に政権・自民党が便乗して、政治的圧力をかけたのだろうと思われることです。政権・自民党がBPOに反論があるのなら、堂々とそうすべきです。昨年11月の総選挙の直前には、自民党がテレビ局に選挙報道の「公平中立」を要請しました。当然のことを装いながら、政治的な圧力を示したのでしょう。
籾井NHK会長は就任早々から失言、迷言を繰り返しています。明らかに、大組織の経営者としても、ジャーナリスト精神が求められるという点でも、適格性を欠いています。安倍政権の意向を反映させられるという点に目をつけられ、政治任命されたのでしょう。そういう流れがあるだけに、政権・自民党の対応を見極めたいのです。
朝日と読売が正反対の論調
また、自民党と犬猿の中の朝日新聞が7日の朝刊1面、3面を大きく割き、厳しい指摘、批判を展開しました。一方、読売新聞は政治的圧力については黙殺に近い扱いでした。同じ出来事を取り上げながら、こうも見方が違うのなぜかと、思ったくらいです。どちらが公平な報道なのか知る上でも、政権・自民党の反論を聞きたいですね。
さらに重要な点は、すでにNHKの報道姿勢、番組編成に大きな変化が感じられることです。「批判精神がなくなっている」、「政治に対する鋭い問題提起が感じられない」、「バラエティー番組化している」との不満をよく聞きます。広告収入でなく、国民からの視聴料で成り立っているのですから、政権のほうを向くのでなく、視聴者のほうを常に向いてほしいと願っている人は多いでしょう。
ラジオ放送でも自己抑制
ラジオ放送でも、私は朝7時前の日替わり論評コーナー「社会の見方・私の視点」(外部識者のコメント)を寝床でよく聞きます。原発問題を含め、以前はかなり厳しい論調が参考になったのに、最近は相当、おとなしくなっています。自己抑制がここまで及んできているのでしょうかね。そうだとしたら残念なことです。
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