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数の永遠と有限の人間

2013年07月19日 | コンサルティング

フェルマーの最終定理とは、3 以上の自然数 n について、x^n + y^n = z^n となる 0 でない自然数 (x, y, z) の組は存在しないという定理です。(^nはn乗を表しています)

17世紀の半ばに示されたこの定理は、アンドリュー・ワイルズによってによって証明されるまでなんと360年もかかりました。「フェルマーの最終定理(サイモン・シン著、新潮社2000年)」は、一見単純なこの定理に挑んだ多くの数学者たちのお話です。

この本はピタゴラスから始まる数学者たちの歴史を追っていくという非常にオーソドックスな、大変読みやすい構成になっています。また、この定理の証明に決定的な役割を果たした「谷山・志村予想」についての記述もわれわれ日本人にとって興味深いものがあります。以前、このブログの「暗号解読」でも書きましたが、数学が苦手な(私のような)読者を最後まで引っ張っていく著者サイモン・シンの文章力は「巧い!」としか言いようがありません。

数学、特に数論というのはまったくの絵空事です。しかし、定理とはそれ自体が叩いても蹴ってもびくともしない絶対的な存在です。だから定理は永遠の存在です。人類が滅んでも、数十億年後に巨大化した太陽に地球が焼き尽くされても、何兆年か経って宇宙がなくなっても、証明された定理は不滅です。有限の人間が永遠の定理を生み出すというのは、とても豪快な話ではありませんか。

人材育成は有限の人間に有限の知識やスキルを習得してもらうことですが、有限が無限とどこかでつながっているかもしれないと考えると、ちょっと楽しくなります。

http://blog.goo.ne.jp/jinzaiikuseisha/e/defbbfd96b8ecfbaba94781c2e619857

(人材育成社)


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