共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

第5回《中東音楽を楽しむ会》@ユヌス・エムレ・トルコ文化センター

2020年12月20日 18時45分50秒 | 音楽
今日は《中東音楽を楽しむ会》のセッション会がありました。

会場は代々木上原にあるユヌス・エムレ・トルコ文化センターの会議室です。2月の溝の口でのワークショップにトルコ大使館の職員の方が参加されていて、その方の御厚意で場所をお借りできることになりました。

会場の隣には



『東京ジャーミー』という名のモスクがあります。

ここは東京に移住してきたカザントルコ人の祈りの場として1938年に



木造のモスクがオープンされたことを起源とするものです。その後1986年に老朽化のために取り壊され、2000年にトルコ人の職人と技術者の手によって新たに竣工されました。

イスタンブールにあるブルーモスクを模したという外観のモスクは、2階にある礼拝堂に向かう石段を登ると



モスクに欠かせない巨大なミナレット(尖塔)が青空に聳えています。

そして



入口で下足を脱いでモスクの中に入ると、ちょうどお昼の礼拝が始まるところでした。礼拝中は堂内を撮影することはおろか話すらしてはいけませんので、入口付近でイマーム(導師)による祈りの声が響く礼拝の様子を静かに拝見していました。

礼拝が終わったところで、ようやく堂内の撮影が許されました。



毛足の長い絨毯の敷き詰められた荘厳な堂内には



中央の大ドームから巨大なシャンデリアが提げられ、正面には



聖地メッカに向かうミフラーブが金色に輝いています。

堂内には



壁や天井のいたる所に華麗なアラベスク模様が施され



美しいステンドグラスが色とりどりに光っています。

入口の上には



2階席のバルコニーもあります。

イスラム教には厳しい戒律があり、タンクトップや半パンといった露出の高い服装ではモスク内に入堂できません。また、特に女性が入堂する際には信者である無しに関わらず頭髪を隠す必要があります。

心得ている女性はヒジャブと呼ばれるスカーフを持参していますが、もしスカーフやストールといったものが無い場合には



貸し出し用の白いスカーフが用意されています。

一頻りモスクの雰囲気を堪能しているうちにいい時間になったので、外に出てセッション会のメンバーと合流して



モスクの裏手にある今日のセッション会会場の『ユヌス・エムレ・トルコ文化センター』に入りました。

会議室に入ってから



それぞれに楽器の準備に取りかかりました。

お世話になるトルコ大使館員の方が取り出したのは



裏側に鎖帷子のような金輪が沢山ついたダフというアラブの太鼓です。他にも、



撥弦楽器ウードやアラブのタンバリンであるレク



琴のような楽器カーヌーン



尺八のような笛であるトルコ系のネイや



アラブ系のネイも加わって、なかなかな賑やかさとなりました。そして



何故かそこに一際異彩を放つヴァイオリンが一提…。

チューニングが整ったところで



セッション会がスタートしました。今回の課題曲は



『Ya Rayar』という曲をはじめとしたものでした。この曲は以前の曲のように10拍子とかではないので数えやすい…はずなのですが、その分西洋音楽ではあまり書かないようなシンコペーションの書き方で表記されているので見間違いやすく、結構苦労しました(汗)。

しばらくセッションしていたら、いつの間にか関係者の方が聴きにいらしていて、

「よければ併設のカフェに来て演奏してくれないか?」

と言ってみえました。突然のことで驚きましたが、とにかく休憩がてらカフェに足を運んでみることにしました。

カフェの中に入ると



かつて明治時代に和歌山県沖で難破し、地元の村人たちに乗組員が救われたトルコの軍艦エルトゥールル号の模型が展示されていました。こうしたところに、トルコの日本に対する思いのようなものを強く感じることができます。

大使館員の方にお茶をご馳走して頂いてから、その返礼も兼ねてセッションしていた課題曲のひとつであるトルコの『Cecen kizi』をはじめとした3曲ほどカフェで披露しました。居合わせたお客さんたちは突然の演奏にビックリしていたようですが、最後には拍手して頂けてホッとしました。

会議室に戻ってセッションを再開していたら、



トルコ大使館員の方による即興のネイ講座が始まりました。どうやら同じネイでも、アラブのネイは日本の尺八のように首を振ってヴィブラートをかけるところを、トルコのネイは首を振らずに唇を動かしてヴィブラートをかけるという違いがあるようで、そのトルコ式の演奏法がレクチャーされていました。

こうして楽しくセッションしていたら、あっという間に時間が過ぎていきました。最後に次回のざっくりとした予定を決めて、大使館員の方に御礼を言って会場を後にしました。

外に出ると



夕映えの中にモスクが聳え立っていました。

今日は新たな中東音楽に触れ合えただけでなく、いつも小田急線の電車の中から眺めていたモスクにも入ることができて、とても貴重な体験ができました。次回のセッション会はこちらで来年2月になるようですが、今からそれが楽しみです。

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