共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

コンビニBGMで思い出した名曲〜バッハ《ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ 第3番 ホ長調 BWV1016》

2025年01月03日 15時55分51秒 | 音楽
昨日ブログの投稿が上手くいかなかった原因は私のスマホの問題ではなく、どうやらサーバー側の問題だったようです。今日になって恐る恐る開いてみたら、どうやら解決していたようで安堵しました。

ところで、2025年を迎えてからいろいろな商業施設へ出かけると、正月だからかBGMとしてクラシック音楽が流されていることがあります。こういう時ばかりクラシック音楽をありがたがる傾向も如何なものかと思いますが、恐らく流す側からしたら手っ取り早いのでしょう。

今日、近所のセブンイレブンに行ったら、何だかものすごく聴いたことのあるクラシック音楽がうっすらと流れていたので

『何だっけ?!これ何だっけ?!!』

と、記憶をフル回転させました。そして思い出したのが、その曲が



バッハの《ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ 第3番 ホ長調 BWV1016》の第4楽章だということでした。

聴き覚えがあるも何も、この曲は自分でも演奏したことのある曲でした。この曲を本気で忘れ去っていたら、仮にも音楽家の端くれとして最早おしまいです(汗)。

《ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタBWV1014~1019》は、《無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータBWV1001〜1006》とともに、バッハのヴァイオリンのための重要な室内楽作品です。

バロック時代のヴァイオリン・ソナタというとヘンデルやコレッリの作品に代表されるように独奏楽器を支える通奏低音楽器が必ず入っていて、鍵盤の右手パートには和音を示す数字だけが書かれているだけで、指定された和声の中で演奏者の裁量に任される部分が多く見受けられます。しかしバッハ自身はチェンバロのパートを重視することを好んでいて、この曲でも右手パートにしっかりとメロディラインが書かれているので、ベートーヴェン以降の近代的な二重ソナタへの橋渡しをしている作品と言うことができます。

曲の構成は6曲中5曲が『緩-急-緩-急』という教会ソナタ形式となっていて、緩徐楽章ではチェンバロは和音的な形を取っていますが、速い楽章ではチェンバロの両手が独立して動き、独奏ヴァイオリンとあわせて『ヴァイオリン、鍵盤右手、鍵盤左手によるトリオ・ソナタ』のようになる作りになっています。舞曲形式の曲はありませんが、リトルネッロ形式やフォルテとピアノを対比させたエコー効果などイタリア音楽の影響も見られ、当時としては珍しいくらいに各曲の速度指定に神経を使っている点も特徴となっています。

《ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ 第3番 ホ長調 BWV1016》は、全6曲中で最も華麗な作品という印象があります。内容的には2つの緩徐楽章に比重がありますが、2つのアレグロ楽章もそれぞれ性格を異にしていて、特に終楽章はこの曲の中で最も華やかさが目立つものとなっています。

第1楽章はホ長調、4/4拍子のアダージョ。

バッハのホ長調で書かれた作品には気高くてスケールの大きな曲が多いのですが、この楽章はそうした作品の中でも筆頭に挙げられるべきものです。この楽章でチェンバロは伴奏に徹していますが、チェンバロ声部が一貫して5声部という分厚い和音で書かれているのは、恐らくオーケストラがイメージされているからなのかも知れません。
 
第2楽章はホ長調、2/2拍子のアレグロ。

このフーガは、緊張感の高い第1楽章に比してずっと緩やかな印象を与えるものです。バッハのフーガは通常、もっと生真面目であったり構築的であったりするのですが、そうした『硬派の音楽』という印象はこの楽章とは無縁で、むしろこんなにエレガントでお洒落な音楽は、バッハの作曲した厖大な数のフーガの中でも珍しいと言えるでしょう。
 
第3楽章は嬰ハ短調、3/4拍子のアダージョ・マ・ノン・タント。

第1楽章よりも更に長大な緩徐楽章で、4小節を単位とした執拗低音の上でチェンバロの右手が8分音符で和音を奏し、独奏ヴァイオリンの奏する三連符の美しい旋律を迎え入れます。この和音と旋律の分担はやがて入れ替わり、チェンバロの右手が三連符の旋律を奏する時にはヴァイオリンは8分音符の重音による和音で伴奏しますが、途中でヴァイオリンとチェンバロの右手が共に三連符の旋律を奏しながら絡み合う部分も印象的です。
 
第4楽章はホ長調、3/4拍子のアレグロ。

3つの声部が16分音符による速い動きを競い合う華麗なフィナーレで、中間部では上2声部に三連符の動きが現れますが、冒頭にヴァイオリンが奏する16分音符のモティーフがそれを再三中断させます。これはオーケストラのトゥッティに対して独奏楽器による旋律が切り込みをかけるという、イタリアのヴァイオリン協奏曲のような手法です。

そんなわけで、今日はバッハの《ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ 第3番 ホ長調》をお聴きいただきたいと思います。佐藤俊介氏のバロックヴァイオリンとメンノ・ヴァン・デルフトのチェンバロで、ちょっと可愛らしい印象すらあるバッハの室内楽をお楽しみください。


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止むを得ず休みます

2025年01月02日 17時18分19秒 | 日記
新年二日目にして、何回試しても画像が添付できないという謎のエラーが発生しました。何度スマホを再起動しても全く状況が改善されないので、申し訳ございませんが今日の投稿はお休みします。

本当は今年初雫ノ香珈琲の写真を載せたかったのですが、それはまた日を改めて投稿します。ご了承ください。




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氏神様で謹賀新年

2025年01月01日 17時17分17秒 | 神社仏閣
皆様、明けましておめでとうございます。なんだかんだ言いながら令和7年を迎えましたが、如何お過ごしでしょうか。

旧年中は数あるブログの中から、わざわざ拙ブログにお越しくださいましてありがとうございました。今年もまたくだらないことからどうでもいいことまで書き散らかして参りますが、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

昨日は久々に真面目に(?)紅白歌合戦なんぞを視聴していたのですが、まさかまさかのB'zの登場に年甲斐もなく興奮してしまいました。ヴォーカルの稲葉浩志さんは確か還暦のはずですが、私が青春期に聴いていたのと遜色ない声を披露してくださって感動しきりでした。

そんなことをして夜更かししていたら、新年早々かなり遅く目覚めてしまいました。若干の自己嫌悪に陥りそうになったのですが、今日は大切なミッションがあるので支度をして出かけることにしました。

やってきたのは、



厚木市天王町に坐す厚木神社です。本日のミッションは、こちらで御璽をいただいて我が家の神棚にお祀りすることです。

お昼を大幅に過ぎて到着したのですが、



鳥居の外の歩道にまで参拝客がズラ〜っと並んでいました。普段は殆ど人を見かけない御社ですが、さすがは厚木市の氏神様だけのことはあります。

とりあえず諦めて列の最後尾に並び、



牛歩で拝殿前まで進みました。本当はもう少しゆっくりと参詣したかったのですが、後ろの列の長さが大変なことになっていたので、そそくさと列から外れました(汗)。

帰りがけに、普段は殆ど見向きもしないおみくじを何の気なしに引いてみることにしたのですが、


なんと大吉でした。

思うこと
思うがまゝに
なしとげて
思う事なき
家の内哉

という和歌が書かれていましたが、本当に今年一年そんな年であってほしいと思います。

帰宅してから昨日いただいてきた神宮大麻、寒川神社御璽、厚木神社御璽、八方除守を無事に我が家にお迎えすることがてまきました。あとはウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートを観て、今日は寝ます(。-ω-)zzz. . .

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