共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

今日はベートーヴェン《ヴァイオリン協奏曲》の初演日〜レオニード・コーガン独奏によるライブ映像

2024年12月23日 17時17分17秒 | 音楽
今日も神奈川県はかなり冷えこみました。電気代が気になるところですが、風邪をひいてしまっては元も子もないので、暖房器具は必須です。

ところで、今日12月23日は上皇陛下のお誕生日ですが、ベートーヴェンの《ヴァイオリン協奏曲》が初演された日でもあります。《ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61》は、



ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770〜1827)が1806年に作曲したヴァイオリンと管弦楽のための協奏曲で、ベートーヴェン中期を代表する傑作の1つでもあります。

ベートーヴェンは、ヴァイオリンと管弦楽のための作品を他に3曲残しています。作品40および作品50である2つの《ロマンス》と、第1楽章の途中で未完に終わったハ長調の協奏曲(WoO 5、1790-92年)がそれにあたり、完成したヴァイオリン協奏曲はこの1作しかありません。

しかしその完成度はすばらしく、『ヴァイオリン協奏曲の王者』とも、あるいはメンデルスゾーンの作品64、ブラームスの作品77、チャイコフスキーの作品35とともに『4大ヴァイオリン協奏曲』とも称されています。 この作品は、同時期の《交響曲第4番》や《ピアノ協奏曲第4番》にも通ずる叙情豊かな作品で、伸びやかな表情が印象的です。

第1楽章はニ長調のアレグロ・マ・ノン・トロッポ、4分の4拍子のソナタ形式。

ティンパニの連打に木管のやわらかな合奏が続き、ほどなく力強い総奏がきます。第2主題もまた木管によって穏やかに提示されます。

オーケストラが簡素ながら雄大に序奏部を結ぶと、いよいよヴァイオリン・ソロの登場です。独奏ヴァイオリンも、冒頭のティンパニ連打のリズムを刻みつつ、第1主題、第2主題を繰り返しつつ、展開していきます。

中間部でのオーケストラの総奏はさすがの迫力ですが、再びヴァイオリンが冒頭と同じ上行音型で帰ってくると、影のある展開部に入っていきます。そしてティンパニと低弦が刻むリズムが遠雷のように響く中で哀愁を漂わせながらヴァイオリンが歌うと、力強い再現部から長大なコーダで結ばれます。

因みに、この第1楽章だけで演奏時間が20分を超えます。更にカデンツァの長さによっては25〜26分になることもあり、この楽章だけでこの曲の半分以上の長さになります。

第2楽章はト長調のラルゲット、4分の3拍子の変奏曲。

弱音器をつけた弦楽合奏が夢見るようなテーマを奏すると、クラリネットとホルンのアンサンブルにヴァイオリンソロが絡みつくように展開していきます。その後、3回の変奏を重ねてカデンツァに入り、そのまま第3楽章に入っていきます。

第3楽章はニ長調のアレグロ、8分の6拍子のロンド。

実に楽しい、ウキウキするようなロンド主題をヴァイオリンソロが歌い、オーケストラがそれに続きます。ロンド主題の合間にヴァイオリンが変幻自在に新しい旋律を繰り出して踊りながら技巧を尽くしますがそれをしつこく感じさせない自然さで、木管との絡みも小気味よく流れていきます。

形式でいうと、A-B-A-C-A-B-Aの構造になっていて、2回目のBのあとにカデンツァがあり、最後のAは結尾に向けて大いに盛り上げます。その後急に音量を落としてヴァイオリンが静かに短く語ったのちに、フォルテッシモの和音をオーケストラが2回鳴らして音楽を締めくくります。

そんなわけで、今日はベートーヴェンの《ヴァイオリン協奏曲 ニ長調》をお聴きいただきたいと思います。レオニード・コーガンのヴァイオリン、エマニュエル・クリヴィヌの指揮による1977年のライブ映像で、4大ヴァイオリン協奏曲の筆頭を飾る壮大な音楽をお楽しみください(アンコールにバッハの《無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ》第2番より『サラバンド』の演奏もあります)。


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今日はドビュッシー《牧神の午後への前奏曲》初演の日〜ハイティンク&コンセルトヘボウによる演奏で

2024年12月22日 18時50分10秒 | 音楽
今日も神奈川県は寒くなりましたが、そんな中で今日は洗濯物を済ませてスッキリさせました。ただ、近くを一時間おきくらいに消防車がサイレンを鳴らして走っていくのが妙に気になりましたが、空気が乾ききっているためか火災が多いようです。

ところで、今日12月22日は《牧神の午後への前奏曲》が初演された日です。《牧神の午後への前奏曲》は、



フランスの作曲家クロード・ドビュッシー(1862〜1918)が1892年から1894年にかけて作曲した管弦楽作品で、彼の出世作です。

この曲はドビュッシーが敬慕していた詩人ステファヌ・マラルメ(1842〜1898)の『牧神の午後』(半獣神の午後)に感銘を受けて書かれた作品です。

マラルメは中級官吏の子として生まれ、英語教師を生活の糧としつつ詩作を続け、1876年、マラルメ34歳の時にに『牧神(半獣神)の午後』を出版しました。

「夏の昼下がり、好色な牧神が昼寝のまどろみの中で官能的な夢想に耽る」

という内容で、牧神の象徴である「パンの笛」をイメージする楽器としてフルートが重要な役割を担っています。

牧神を示すテーマは



フルートソロのド#の音から開始されますが、これはフルートという楽器の構造上非常に響きが悪いとされる音で、音域も華やかでない中音域の音です。しかし、ドビュッシーはこの欠点を逆手にとることで、けだるい、ぼんやりとした独特な曲想を作り出すことに成功しています。

フランスの作曲家で指揮者でもあったピエール・ブーレーズ(1925〜2016)は

「《牧神の午後》のフルート、あるいは《夜想曲》の『雲』のイングリッシュホルン以後、音楽は今までとは違ったやり方で息づく。」

と述べています。これは《牧神の午後》が、近代の作品で非常に重要な位置を占めるということを示唆する言葉です。。

当初ドビュッシーは『牧神(半獣神)の午後』に触発された音楽を、前奏曲・間奏曲・敷衍曲(パラフレーズ)の三部作として計画していましたが、結局1893年に『前奏曲』のみを完成させました。因みにこの曲は110小節で構成されていますが、これはマラルメの詩の110行と一致していて、詩の全体を1曲に昇華させたというドビュッシーの意図の反映かと思われます。

曲の終盤では



サンバル・アンティーク(アンティークシンバル)という打楽器が効果的に使用されています。サンバル・アンティークは体鳴楽器に分類される打楽器の一種でシンバルを小さくしたような形ですが、音は全く異なるものです。

上の写真のサンバル・アンティークは鉄琴のように音階に並べて固定しているもので、これを鉄琴の撥で叩いて演奏します。しかし、本来のサンバル・アンティークは


同じ音の出るものを2枚用意してこれの中央にひもを付け、楽器の縁と縁とが打ち合うようにして演奏するもので、チベット密教で使われるティンシャのような澄んだ音が特徴です(《牧神の午後》では、この演奏方式がとられることが多く見られます)。

初演は1894年12月22日、パリの国民音楽協会においてギュスターヴ・ドレ指揮により行われました。革新的な語法を持ちながらも穏やかな性格を持つこの曲は初演から好評で迎えられ、国民音楽協会の規則で禁止されていた2度のアンコールに応えたといいます。

そんなわけで、今日はドビュッシーの《牧神の午後への前奏曲》をお聴きいただきたいと思います。ベルナルド・ハイティンク指揮、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏で、まどろむようなドビュッシーの出世作をお楽しみください。


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風に漂う柊の香

2024年12月21日 17時30分00秒 | 
今日は二十四節気のひとつ『冬至』です。それに相応しく、今日も寒くなりました。

寒風の吹く中、有隣堂に折り紙を買い足しに出かけたら、どこからともなく花の香りが漂ってきました。風を頼りに探してみたら、


マンションの生垣に植えられた柊が花を咲かせていました。

柊の実がついている様子は、クリスマスリースなどでよく見かけることがあります。ただ、あれはあくまでも欧米でのことで、日本のこの時期に柊の実がついていることはほとんどありません。

イメージというものは、各の如くなかなか勝手なものです。しかし、植物にしてみればそんなものはどこ吹く風、きちんと自分たちのルーティーンを全うしているようです。

有隣堂で買い物をしていたら、レジのお姉さんがガラガラ声で接客していました。質の悪い風邪にでも罹ってしまったのかも知れませんが、私も他人事ではないので気をつけようと思います。


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密かな贅沢

2024年12月20日 17時25分00秒 | 日記
今日も小学校支援級では、様々な出来事がありました。

先日問題行動に出たバイオレンスな女児は相変わらずの傍若無人ぶりを見せ、全く反省していないことが丸わかりでした。それどころか、未だに

「自分は被害者」

というスタンスを貫いており、それを盾にして更なる狼藉をはたらいていました。

もちろん、そんな暴挙を私が許すはずもなく、認識するたびに呼び寄せて叱っていました。何故か私に対しては暴力をふるってこないのですが、それでもその目は納得は全くしていません。

今からこんなんでは、来月になって担任が休暇に入ったらどんなになってしまうのか…と、今から思いやられます。とにかく、自分の勝手な我儘で波風を立てるのたけはやめてもらいたいものです。

そんな荒れ気味な支援級勤務を終えて、掃除を済ませて帰路につきました。最近の帰宅前の密かな楽しみは、



以前にも紹介した生搾りオレンジジュース自販機です。

1杯¥350とお高めですが、コインを入れると中のオレンジが圧搾機に落とされてその場で搾られます。そして、45秒で



できたてのオレンジジュースを楽しむことができます。

美味しいできたてオレンジジュースを堪能して、ホッとひと心地つきました。明日は土曜日、ゆったりと過ごそうと思います。

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編曲からの編曲?〜バッハ《オーボエとヴァイオリンのための協奏曲 ハ短調 BWV1060R》

2024年12月19日 17時20分15秒 | 音楽
今日の関東地方は、ものすごく寒くなりました。最高気温も遂に10℃に届かず、昼間でも暖房器具を点けていないといられないくらいでした。

今日は勤務先とは別の小学校の放課後子ども教室のある日ですが、年内の教室は先週でおしまいとなったので、とにかく自宅でゆっくり過ごすことにしました。あまり自覚はなかったのですが、やはり昨日の大騒動の疲れは否めなかったようです…。

いろいろな音楽を聴いていたのですが、今日は



主にバッハを聴いていました。今回はその中から、《オーボエとヴァイオリンのための協奏曲 ハ短調 BWV1060R》をご紹介したいと思います。

この曲のオリジナルの楽譜は残念ながら失われていますが、この曲を元にして編曲された《2台のチェンバロのための協奏曲 ハ短調 BWV1060》から楽譜が逆再現されました。私も始めは



カール・リヒターの《2台のチェンバロのための協奏曲》のレコードを聴いていたのですが、幻の原曲バージョンも聴きたくなったのです。

この2つの曲については、聴く人によって好みが分かれるようです。

2台のチェンバロだと非常に豪華な響きがしますが、2人のソリストのメロディの交代や伸びのある音形が分かりにくくなります。一方でオーボエとヴァイオリンだと違う楽器の音色によってそれぞれのパートの伸びやかなメロディが明確になりますが、特に第2楽章のシチリアーノの響きが2台のチェンバロバージョンに比べて地味な印象になります。

『どちらがいいか』ではなく、あくまでも『どちらが好きか』で選べばいいのではないかと思います。因みに私は、どちらも好きです(オイ…)。

そんなわけで、今回はバッハの《オーボエとヴァイオリンのための協奏曲 ハ短調 BWV1060R》をお聴きいただきたいと思います。佐藤俊介氏率いるネザーランド・バッハ・ソサエティの演奏で、チェンバロ協奏曲から再現された伸びやかなメロディが交錯する名曲をお楽しみください。




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リアルにバイオレンスな支援級勤務と『焼きりんごワッフル』@横浜あざみ野《雫ノ香珈琲》

2024年12月18日 18時18分18秒 | カフェ
今日も小学校支援級では、様々なことがありました。

今日は支援級の子たちを集めての工作の時間があり、それが研究授業なこともあっていろいろな先生方が様子を見に来られていました。ところが、その先生の一人と病み上がりで登校してきた癇癪持ちの女児が些細なことでトラブルになり、あろうことかその女児が先生に蹴りを入れたのです。

これはさすがに看過できなかったので、私が廊下に連れ出して叱りました。それでも、元来被害妄想の強いその女児は

「自分は悪くない」

「自分は被害者」

「悪いのはアイツ(先生)だから◯す」

とわめき散らかすばかりで話になりません。

なので私は

「自分の気持ちさえ晴れれば、相手に暴力を振るっていいと育てられたのですか?」

「あなたが暴力を振るった時点であなたが加害者に早変わりして先生の方が被害者になります、違いますか?」

「自分が嫌な思いをしたら被害者で、相手に嫌な思いをさせても悪くないというあなたの意見に、どんな整合性があるのですか?」

と淡々と詰めていったら、徐々に勢いを失っていきました。どうやら言われた内容に、女児なりに思い当たる節があったのでしょう。

それでも、遂に今日一日反省することはしませんでした。それどころか教室に帰ってからもひたすら暴言を吐きまくり、担任や私の隙を見て教室を飛び出し、あろうことか校長に直談判するという暴挙に出たのです。

私は

「言いたいことがあるなら、全部私におっしゃい。正々堂々受けて立ちます。」

と注意したのですが、

「子どもに向かって、そんな圧をかけてくる教師はどうなんですか!?」

と逆ギレしてくる始末…。一体どう育てられたら、こんな自分勝手な子どもが出来上がるのかと、ただただ呆れるばかりでした。

そして、遂には

「アイツ(私)◯す!」

と担任に言いつけ始めたので

「どうぞ!そんなに憎くて仕方ないなら◯してごらんなさいな!」

「私にはもう親も兄弟も誰もいませんから、今日この場でタヒんだって誰も痛くも痒くもありませんから、どうぞおやりなさいな!」

「さぁ、どうやって◯されるのかしら?刺されるの?階段から突き落とされるの?あなたなりのやり方で人一人◯してごらんなさいな!逃げも隠れもしませんからどうぞ!!!!!」
と真正面から目を見て、最大ボリュームの声で言ってみました。結果、その女児はすっかり怯んで黙りこくってしまったのですが、私はこれでよかったのではないかと思っています。

情緒支援級の子たちは、感情のコントロールが上手くできません。それは大変なことだと思いますが、だからといって自分がスッキリするためだけに他者を侮辱したり、あまつさえ暴力に訴えたり

「タヒね!」
「◯す!」
「F◯ck!」

などと暴言を吐いたりするなど言語道断です。

現代の学校の先生方は、様々なコンプライアンスに縛られて言いたいことも言えない状況下にあります。だからこそ、私のような外野の人間が必要とされているのでしょうから、これからも彼らの勝手や我儘については意見していくつもりですを

そんなバイオレンスな小学校支援級勤務を終えて、横浜あざみ野の音楽教室に向かいました。そして、いつものように《雫ノ香珈琲》に立ち寄りました。

今日は



今月の限定メニュー『焼きりんごワッフル』をオーダーしました。香ばしくソテーされた焼きりんごと、クロワッサン生地のワッフルとの相性は絶妙です。

ささくれた心に、美味しいワッフルとコーヒーが沁みました。今日は帰ったら、すぐに休みます(。-ω-)zzz…。

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みんなで気をつけましょう…

2024年12月17日 17時17分17秒 | 日記
今日の小学校支援級勤務は大変でした。

先ず、欠席者が相次ぎました。普段から給食だけが楽しみの元気の有り余っている子が二人も休んだのです。

更に、登校していた男児が昼前あたりから急激にボンヤリしはじめ、項垂れてしまいました。熱を測ってみたところなんと37.4℃もあり、養護教諭から早退の指示が出されてしまったのです。

昨今、神奈川県下では質の悪い風邪が流行ってきています。そこへもってきて、インフルエンザやらマイコプラズマ肺炎やら手足口病やらリンゴ病やらといった様々なウィルス性疾患が横行していて大変なのです。

保健室は怪我人や急に具合が悪くなった子たちで満員御礼状態、それを一人で診なければならず、早退要請を各家庭に電話連絡しなければならない養護教諭も大変です。話していても、 

「なにも、こんなにいくつも疾患が流行らなくてもいいのに…」

と、つい本音をこぼしておられます。

ウィルス性疾患は、こまめな手洗いやうがいをすることでかなり防ぐことができるものです。子どもたちだけでなく、自身も十分に気をつけようと思います。

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来年も魅力的な展覧会が!

2024年12月16日 17時25分10秒 | アート
今日も寒い一日となりました。そんな中、買い物に行った先で



来年の美術展を紹介する雑誌があったので購入しました。

来年も様々な展覧会が開催予定なのですが、個人的に特に注目なものの一つが9月9日から東京国立博物館で開催される《運慶 祈りの空間ー興福寺北円堂》展です。

奈良県奈良市にある興福寺北円堂は1210年頃に建てられた寺内に現存する最古の堂宇として知られていて、国宝に指定されています。堂内には



鎌倉時代の大仏師運慶晩年の作である弥勒如来(みろくにょらい)坐像や、無著(むちゃく)・世親(せしん)菩薩立像(いずれも国宝)等が安置されています。

弥勒如来は、



弥勒菩薩が釈迦の入滅から56億7千万年後に悟りを開いた姿とされています。北円堂の弥勒如来坐像は像高141.9センチの寄せ木造りで、運慶の晩年の作として知られています。

無着と世親は大乗仏教の学僧である兄弟で、ともに2m近い大きさを誇ります。眼には水晶を嵌めた玉眼が施され、リアリティある表現が魅力的です。

先日、



北円堂本尊の弥勒如来坐像が奈良国立博物館文化財保存修理所内の工房で修理されることになり、堂内からの搬出作業が行われました。弥勒如来坐像の修理は昭和58年以来、約40年ぶりとなります。

今回の修理では本体の剝落(はくらく)止めなどを実施し、光背(こうはい)と台座も90年ぶりに修理されることとなります。公益財団法人・美術院の修理技術者らが本体と光背・台座に分け、それぞれ丁寧に梱包した上で堂内から運び出してトラックに積み込んでいました。

この修理で堂内から運び出された弥勒如来坐像が、両脇に立つ無著・世親菩薩立像や、現在中金堂に安置されている四天王像(国宝)とともに東京国立博物館にやってくることとなりました。中金堂の四天王像は、最近の研究で実は北円堂に安置されていたものであるといわれていて、今回はかつての内陣を再現するような展示がされるとのことで、非常に楽しみです。

あとは、9月20日から神戸市立博物館で開催される《大ゴッホ展》も注目です。

この展覧会は、阪神淡路大震災発生から30年の節目に開催されるものです。この《大ゴッホ展》はオランダのクレラー・ミュラー美術館のゴッホコレクションが来日し、2期にわたる大規模なものです。

第1期の目玉は、何と言っても



1888年に描かれたアルル時代の傑作の一つ『夜のカフェテラス』が20年ぶりに来日することです。この展覧会は神戸と福島で開催された後、翌年2026年5月29日からは東京・上野の森美術館に巡回してきます。

そして、更に翌年の2027年2月頃から開催される第2期では



同じく1888年に描かれた『アルルの跳ね橋』が、なんと約70年ぶりに来日することが決まっています。こちらも楽しみです。

いずれの展覧会も相当な混雑が予想されますので、いつも忘れがちな前売券を絶対にGETしておこうと思います。来年もいろいろな展覧会に足を運んでみようかと、今から楽しみにしております。

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なんとかなるかな…?

2024年12月15日 18時30分55秒 | 音楽
今日は一日、自宅でデスクワークをしていました。その中で何をしていたかというと、




5年生が音楽の授業で習う《風とケーナのロマンス》というリコーダーの曲の楽譜を書き換えていました。

以前登場した《星笛》同様、この曲もいい曲なのですが、音符が混み合っていて支援級の子どもたちが譜読みをするにはかなりハードルが高いのです。そこで、



はじめは二段譜にしてみたのですが、これでもまだ彼らにとっては読みにくいものになってしまいました。

なので、最終的に



上下のパート譜をバラバラにしてみました。これだとハモリ譜を読みながら演奏させるという教科書の主旨からは外れてしまいますが、あくまでもきちんと演奏できるようにすることに主眼を置けば、一番妥当な形だと思います。

別に誰かに頼まれたわけではないのですが、楽譜が読めなくてアタフタしている子どもたちを見ていて放っておけませんでした。これで彼らが、少しでも通常級の子たちと一緒に演奏できるようになれば…と、密かに願っています。

《風とケーナのロマンス》の演奏動画があったので、転載してみました。何ともフォルクローレチックなリコーダーデュエットを、是非聴いてみてください。


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今年も登場!ステーションピアノ🎹

2024年12月14日 17時25分17秒 | 音楽
今日は用事があって、小田急線の相模大野駅まで出かけていました。すると、駅の商業施設であるステーションスクエアの吹き抜けに、



今年もステーションピアノが設置されていました。



こちらのグランドピアノは、かつて藤野町にあった中学校に設置されていたものだそうで、かなり年季の入ったものです。この時も、年配の男性が覚束ない手つきで《アメイジング・グレイス》を演奏していました。

私も弾いてみようかな…と思ったのですが、このピアノは整理券制でそれを持っていない人は飛び入りするわけにもいかなかったので諦めました。コロナ禍が過ぎ去っても、こうしたものはなかなかフリーにはならないようです…。

さて、帰宅したらデスクワークが待っています。頼まれたわけではないのですが、どうしてもやらないといけないことなので頑張ります!

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来月は大変そう…

2024年12月13日 18時55分55秒 | 日記
今日、勤務先の校長から呼び出しがありました。内心

『あ、遂に懲戒免職か?』

などと思っていたのですが、校長から出たのは

「来月だけ、稼働を増やしてもらうことは可能ですか?」

という言葉でした。

何でも、私が担当している支援級クラスの担任が1月いっぱいリフレッシュ休暇を取得することになり、それに伴って人員が不足するため何とか出勤してほしい…とのことでした。懲戒免職でなくて面食らったのですが(オイ…)、とりあえず首はつながったままでした(ダカラ…)。

正直、ホッとしました。私は以前から担任に

「休暇をとってください」

と言っていたのですが、ようやく実現することになったようです。

私の担当クラスには中高学年が8名在籍しているのですが、情緒面に問題がある子たちばかりで、毎日が大変なのです。自分のテンション次第で平気で暴言を吐いたり、暴力に訴えてきたり、物に当たったり、物を投げつけてきたり…それを8人分、しかも毎日受け止めなければならない担当のストレスと気苦労は如何ばかりかと思っていたので、是非休暇を取るべきだと言い続けていました。

学校は事ある毎に『寄り添う指導』と言ってよこしてきますが、子どもから謂れのない暴言や暴行を受けた時に叱責もできない学校指導など、はっきり言って無意味です。1月にどのような学級運営体制になるのかまだ分かりませんが、自分でできる限りのことを精一杯務める所存です。

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突貫工事のマッチ棒パズル

2024年12月12日 17時00分00秒 | 日記
今日は勤務先とは別の小学校の放課後子ども教室の日でした。本来なら今日、私は他の先生の企画を生温〜く見ていればいいだけ…のはずだったのですが、担当する予定だった先生がお身内の不幸で忌引になってしまい、急遽私にお鉢が回ってきてしまったのです。

何にもネタを仕込んでいなかった私は盛大に焦りましたが、ふとあるものを作って置いてあることを思い出し、急遽それをやってみることにしました。それは



マッチ棒パズルに使うために大量生産したマッチ棒たちです。

脳トレなどでご存知の方もおられるかと思いますが、マッチ棒パズルとは



例えばこんな素っ頓狂な計算式を作って、一本だけ動かして正解にしなさい…というものです。因みにこのパズルでは



8の中の一本を取り出してーを+にすると



となり、数式が成立します。

こうしたパズルでは、



数字をデジタル表示にすることがミソです。それによって、足し算・引き算・掛け算までの様々な数式を表現することが可能になります。

子どもたちはチームになって、あぁでもない、こうでもない…と真剣に考えていました。たまに正解を思いついて口に出しそうになる大人がいましたが、何とかそれを封じながら子どもたちに楽しんでもらうことができました。

帰宅したら、また新たにやらなければならないことが待ち構えています。何とも気忙しいのですが、とりあえず急いで自宅に帰ろうと思いますε≡≡ヘ( ´Д`)ノ

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ひたすら無双の支援級勤務と『キャラメルナッツパフェ』@横浜あざみ野《雫ノ香珈琲》

2024年12月11日 18時18分18秒 | カフェ
最近、小田原の小学校では体調不良による欠席者が相次いでいます。子どもたちだけでなく先生方でも欠席者が出ていて、一部授業にも影響が出ているほどです。

そんな中でも授業はあるもので、今日は特に中学年で書道と図工がありました。書道では書き初めの練習があり、図工では地域に掲示するゴミに関するポスター作りをしたのですが、支援級の子どもたちは相変わらず自分勝手なことを言って、担任を困らせていました。

それでも、担任や他の支援員はできる限り柔らかな言葉で子どもたちをその気にさせるべく必死でした。一方、私はというと

「はい!ゴチャゴチャ言ってないでサッサと授業に行く!!」

と、相変わらず叱り飛ばしながら子どもたちを追い立てていました。

これでまた主任あたりから横槍が入るかも知れませんが、そんなこと気にしていたら学習支援なんざ務まりません。さて、冬休み前までになにかお小言が来るでしょうか。

そんな小学校勤務を終えて、横浜あざみ野の音楽教室に向かいました。そして、いつものように《雫ノ香珈琲》に立ち寄りました。

今日は個人的に疲れたためひたすら甘いものを欲していたので、



『キャラメルナッツパフェ』をオーダーすることにしました。柔らかなムースとカリッとしたキャラメリゼナッツとの相性は絶妙で、美味しいコーヒーとの組み合わせも抜群です。

明日は勤務先とは別の小学校の放課後子ども教室の日です。先週工作担当になったので明日は私が主体になってやることはないので、気楽に務めようと思います。

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出過ぎたマネかも知れませんが

2024年12月10日 17時17分17秒 | 日記
今日も小学校支援級ではいろいろなことがありましたが、その中で毎度悩まされるのが『忘れ物の多さ』です。

特に図工や書写の道具を忘れてくることが多く、その度に前日準備するように注意したことを伝えています。しかし、彼らの口からは

「覚えていない」
「家の人が準備してくれなかった」

といった言い訳が「ごめんなさい」より先に出てきます。

それでも、そんなことをあげつらっていて彼らの作業が通常級の子たちより遅れてしまうのは見過ごすことはできません。なので、最近は先んじて



クレヨンや色鉛筆、



書道用具一式などを個人的に準備して、緊急事態に備えています。

一介の個別学習支援員如きが出過ぎたマネを…と思われるかも知れませんし、忘れ物を補填してしまっては忘れ物グセが抜けなくなると言われるかも知れません。しかし、道具が無いからといって彼らの学習が滞ることの方が、はるかにデメリットが大きいのです。

今日も100均や有隣堂を周って、万が一に備えていろいろと買い揃えてきました。これで、明日の授業に支障をきたすことはない…はずです(汗)。

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今日はワルトトイフェルの誕生日〜特に日本で大人気!《スケーターズ・ワルツ》

2024年12月09日 17時17分17秒 | 音楽
今日も神奈川県は、朝のうちに車のフロントガラスにうっすらと霜がつくほど冷えこみました。今朝は寒くて目が覚めたのてすが、何だか喉が痛いのが嫌な予感がします…。

ところで、今日12月9日はワルトトイフェルの誕生日です。

『…誰?』

と思われるかも知れませんが、



エミール・ワルトトイフェル(1837〜1915年)はフランスの作曲家です。大衆音楽、とりわけワルツやポルカなどのダンス音楽の作曲家として知られ、ワルツ王ヨハン・シュトラウス2世(1825〜1899)にならって「フランスのヨハン・シュトラウス」「フランスのワルツ王」と呼ばれていました。

エミール・ワルトトイフェルはストラスブールで、アルザスのユダヤ人の家庭に生まれました。出身地アルザスは1793年以前および1871年から1918年まではドイツ領でしたが、ワルトトイフェルもその名が示すとおり、指揮者のシャルル・ミュンシュ(1891〜1968)や医師でオルガニストのアルベルト・シュヴァイツァー(1875〜1965)らの多くのアルザス人と同じくドイツ系の家系であったと思われています。

兄のレオンがパリ音楽院に入学したのを期に一家でアルザスからパリに転出し、以降エミールは一生をこの地で過ごすこととなりました。エミール自身も1853年から1857年までパリ音楽院でピアノを学びましたが、同級生には歌劇《ウェルテル》《マノン》《タイス》の作曲家ジュール・マスネ(1842〜1912)や、歌劇《カルメン》《真珠採り》の作曲家ジョルジュ・ビゼー(1838〜1875)がいました。

28歳の時、ワルトトイフェルは



ナポレオン3世の皇后ウージェニー(1826〜1920)の宮廷ピアニストになり、また帝国主宰の舞踏会で楽団を指揮することとなりました。普仏戦争によって第二帝政が崩壊した後は、楽団はエリゼ宮の大統領主宰の舞踏会で演奏を行っていました。

1874年10月にワルトトイフェルは、当時英国皇太子だったエドワード7世の臨席する行事で演奏を行いました。ワルトトイフェルのワルツ《マノロ》に魅了されたエドワード7世はワルトトイフェルの曲をイギリスに盛んに紹介し、またロンドンを拠点とする出版社が彼と長期契約を結びました。

ワルトトイフェルの作品はバッキンガム宮殿においてヴィクトリア女王臨席の下で御前演奏され、ワルトトイフェルの名はロンドンの楽壇を制すると世界中で有名になりました。ワルツ《女学生》といった、今なおよく演奏されるワルトトイフェルの作品が作曲されたのもこの時期です。

そんなワルトトイフェルの誕生日である今日は、ワルツ《スケートをする人々》をご紹介しようと思います。

ワルツ《スケートをする人々》作品183は、エミール・ワルトトイフェルが作曲したワルツで、日本では《スケーターズ・ワルツ》という通称でも知られる作品です。ワルツ《女学生》作品191に並ぶ、作曲者の代表作です。

この作品は


(ルノワール作『ブローニュの森のスケート場』1868年)

パリの森林公園『ブローニュの森』にあったスケート場に着想を得て1882年に作曲されました。実は日本での人気がとりわけ高く、海外ではワルトトイフェル名曲集的な企画から漏れたりすることもあるようですが、かつてはトスカニーニやカラヤンが好んで取り上げた曲でもあります。

かつてスケート場に行くと必ずといっていいほどBGMで流れていましたが、久々に聴いてみるとまたスケート滑りたくなってきました。ただ、比較的近くにあったスケートリンクは次々と閉鎖になってしまったので、明治神宮あたりまで行かないといけません…。

そんなわけで、今日はワルトトイフェルの代表作《スケーターズ・ワルツ》をお聴きいただきたいと思います。デヴィッド・ブロフイー指揮によるWDRファンクハウス管弦楽団の演奏で、冬の定番ワルツをお楽しみください。


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