今日は墨田区交響楽団の本番日です。ということで
錦糸町にある『すみだトリフォニーホール』にやってきました。
本来ならば3年前に、この場所で今回のプログラムを演奏するはずでした。それが、東京都内でパンデミックを引き起こしたコロナ禍による緊急事態宣言発令を受けて中止を余儀なくされ、それから3年もの月日が流れてしまったのです。
3年経っても、いろいろなコロナ対策が求められました。弦楽器奏者と打楽器奏者はマスクを着用しての演奏で、本来ならば二人一組で見る弦楽器パートの譜面台は
一人に一台ずつ個別に使って演奏することになりました。
さすがに管楽器奏者は演奏中はマスクを外しますが、その代わり前後左右の距離感を十分にとって座ることとなりました。指揮者も演奏中はマスクを外すものの、入退場時にはマスクの着用が求められました。
アマチュアオケにありがちなことですが、メンバーが全員揃ったのは昨日の最終リハーサルと今日だけ、しかも昨日の狭い練習場所からいきなり大きなステージになりましたから、当たり前ですが音のバランスが全く違います。そこへもってきて舞台上でも
「ソーシャルディスタンスをとれ」
ということで通常よりも隣同士が離れた状況になってしまっていましたから、アンサンブルのバランスをとるのも大変です。
ステージリハーサルにあまり多くの時間を割けなかったのですが、それでも何とか全体のバランスを見ながらの最終調整が行われました。後は本番特有の集中力に期待することにして、本番に臨むことにしました。
客席もコロナ対策として市松模様状に互い違いに座るように設定され、客同士が隣り合って座らないよう案内がありました。開演のベルの後でステージに出てみたら、バラけた感じはするものの客席の2/3くらいは埋まっているように見えました。
どうなることか…と思っていましたが、いざ本番が始まれば一人一人がここ一番の集中力を発揮してアンサンブルをすることができました。やはり『本番』には底知れぬ魔力があります。
特に《英雄》の第2楽章『葬送行進曲』の場面では、それまでわりと何処かしらでガサゴソしていた客席が静まり返り、皆真剣に耳を傾けていました。演奏後には、満員の観客とはいきませんでしたが、それでも多くの拍手をいただくことができました。
ここ数日、東京都内での新規罹患者数が9000人台に増加してきました。ここまでの増加率は今年の3月以来とのことですが、熱中症対策としてマスクを外すことが推奨されたことと、決して無関係ではないと思います。
そんな中でも、こうして3月越しの演奏会が開けたことは喜ばしいことです。今後の推移によってはまた何らかの制限が課せられるかも知れませんが、それでもこうした文化活動が絶えることなく開催される世の中であることを願うばかりです。