じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

下村敦史「算段」

2020-04-23 19:43:41 | Weblog
★ 神戸、横浜の次は京都の物語。下村敦史さんの「告白の余白」(幻冬舎文庫)から「算段」を読んだ。

★ 京都祇園で590年続いている老舗和菓子屋「京福堂」、そこの娘が和服姿で店を手伝うようになった。祖母、母から京女の心意気を指南されながら、目指すは葵祭の斎王代だという。

★ この「京福堂」で新作の盗作騒ぎが持ち上がった。店に出した和菓子と同じものが名前だけ変えて別の和菓子屋の店先で売られているという。その店の女将に釈明してもらおうと意気上がる店の人々。そのとき、新作を発案した職人が自分がアイデアを横流ししたと告白する。

★ 裏にはちょっとした事情があるのだが、それはさておき、この作品は京都弁を味わいたい。そして柔らかい言い回しの後ろにある「いけず」な想いを。

★ 京都の人間以外にはこの腹の読み合いを辛気臭く感じるのではなかろうか。長い間、日本の都として権力の趨勢を経験した町。今日の覇者も明日はどうなっているのやら。こうした歴史が町人の気質を育んだのかも知れない。


★ ところで京都の三大祭り、葵祭も祇園祭の山鉾巡行も今年は中止になった。五山の送り火や時代祭はどうなることやら。
コメント