★ 月に1度の健康診断。血圧等の薬をもらい、ついでにインフルエンザのワクチンを打ってもらった。効果があるのかどうかはわからないが、御守りのようなものだ。
★ さて、今日は重松清さんの「ビタミンF」(新潮文庫)から「はずれくじ」を読んだ。
★ 小学校の国語の教科書に「カレーライス」という作品が載っている。以前は6年生の教科書に載っていたが、今は5年生の教材だ。子どもの成長が早まったからだろうか。「カレーライス」では思春期を前にした息子と父親との微妙な空気が描かれていた。
★ 「はずれくじ」は、その子が成長して中学1年生になったような作品だった。父と息子の関係は更に微妙な空気になっている。そんな時期、妻(母親)が入院した。しばらく父親と息子2人だけの気まずい生活が始まる。父親は得意な(?)カレーライスをつくるのだが、息子はそんなことはお構いなしに、夜遅くまで出歩いている。
★ 悪い連中と絡んでいたとかで警察からの電話を受け、心が揺れる父親。かつて自分が息子と同じくらいの年だった時代を思い返す。父親の父親も不器用な人だった。役所勤めは全うしたが、家を継いで地元から出ることはなかった。楽しみと言えば宝くじを買うこと。それも1枚しか買わないので、当たることはない。
★ 時代は高度経済成長、バブル、そして大不況と移り変わり、若い者たちの価値観、ものの考え方も大きく変わった。しかし、父と子の葛藤、そして世代の継承は変わらないようだ。
★ 今は父親から距離を置こうとしている息子もやがては父となり、同じような気まずさと諦観に至るのであろう。
★ 重松さんの文章は実に読みやすい。