じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

小池真理子「食卓」

2023-09-18 15:16:45 | Weblog

★ 敬老の日。65歳以上の人口が約3600万人。日本の全人口の29%を占めるという。平日の午前11時台のスーパーに行くと、この数字(いやそれ以上の高齢化率)を実感する。そういう私も、気持ちばかりは若いものの、きっちり高齢者の仲間入りだ。

★ さて、あと何年生きられますやら。

★ 今日は小池真理子さんの「玉虫と十一の掌篇小説」(新潮文庫)から「食卓」を読んだ。

★ 主人公の女性、彼女の理想は夫と共に老い、夫が先に旅立ったら、その遺影に毎日おいしい料理を備えること。目の前に夫がいなくとも、夫に愚痴を言い、夫と共に笑い、夫と語らいながら余生を楽しむこと。彼女はいつか観たドキュメンタリー映像の老婆にあこがれる。

★ 彼女には離婚歴があった。結婚した相手から、自分は同性愛者だ告白され、別れを告げられたのだ。彼女にはわずかに親の遺産があったし、自らもピアノを教えて収入が得ることができた。さしあたり生活には困らない。このまま猫でも飼って、独身で通すのも悪くないと思い、ペットショップを訪れた。

★ そしてそこで、新たな出会いがあったのだが。

☆ 添い遂げたくとも叶わない関係がある。何となくだらだらと続く関係もある。これを昔の人は「縁」と言い、納得していたのだろうか。

★ 女性の次の心情が心に響く。「年をとったら、いろいろなことが見えてくる、はっきりしてくる、賢くなる、というのは大嘘だ」「年を重ねるほど、ものごとが余計にわからなくなる。混乱する」

★ 女性はただ、好きな男と毎日死ぬまで、差し向かいで手作りの料理を食べる、それだけを心の支えに生きてきたのだ。それなのに。とは言え、弱音を吐きつつも、すぐ前向きになれる彼女は強い。

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