★ 2020(+1)年東京オリンピックはいよいよ終盤。感染爆発の中で、何とかやり切ったというところか。終わったら終わったで問題山積だろうが。
★ さてそんな折、千野帽子編「オリンピック」(角川文庫)を足早に読んだ。オリンピックをテーマにしたアンソロジー。
★ 皮切りは三島由紀夫の「東京五輪観戦記」(もちろん1964年の東京五輪)。私はまだ幼かったが、後の記録映画などでその様子を追体験した。三島が書いているような国家をあげての高揚感。確かにあのオリンピックにはあった。敗戦からの復興。高度経済成長。開会式の青空、飛び立つ鳩。色彩豊かに思い出される。
★ 続いて、中野好夫の「明るく朗らかな運動会」。これは東京五輪(1964年)の後に開催されたパラリンピックの「印象記」だ。パラリンピックは1960年のローマ大会が第1回とされている。今年の大会はどうなるのだろうか。
★ 沢木耕太郎「冠(コロナ) 廃墟の光」。ノンフィクションの旗手によるアトランタオリンピック(1996年)のルポだ。この大会で印象深いのは爆破テロで、すでに9・11の伏線があったのだろうか。冠(コロナ)はもちろんコロナウイルスではない。
★ 田中英光「オリンポスの果実」。作者がボート競技に参加した1932年のロサンゼルスオリンピックが描かれている。戦前の「オリムピック」の雰囲気が伝わってくる。
★ 山際淳司「たった一人のオリンピック」。1980年のモスクワオリンピックはソ連のアフガン侵攻により日本を含む西側諸国がボイコットした大会。政治とスポーツは切り離せないようだ。瀬古選手や宗兄弟のマラソン、見たかったなぁ。
★ 筒井康隆さんの「走る男」は先日読んだ。オリンピックが衰退した近未来の物語。小川洋子さんの「ハモニカ兎」は見知らぬスポーツに出会った人々の戸惑いが描かれていた。今年のオリンピックも新種目が増えて、スケートボードやスポーツクライミング、空手など、僅差の判定などよくわからなかったなぁ。
★ 政治とスポーツ、ロサンゼルス大会(1984年)以降は経済とスポーツ。かつてのアマチュアリズムはもはや影を潜め、興行的意味合いが大きくなっているようだ。オリンピックもいろいろあった。そしてこれからも変わり続けるのだろうか。1000年以上も続いたと言われる古代オリンピックは結局、政治的、宗教的原因で廃れてしまったという。継続することがなお一層難しい時代になるかもしれない。
★ 千野帽子さんによる「あとがき」も役に立つ。近代オリンピック創設に尽力したクーベルタン男爵の言葉。「参加することに意義がある」は間違いで「人生で大事なこと、それは勝利ではなく闘いだ。肝要なのは勝ったことではなくて、よく闘ったことなのだ」が正しいという。人生もまた同じか。
★ さてそんな折、千野帽子編「オリンピック」(角川文庫)を足早に読んだ。オリンピックをテーマにしたアンソロジー。
★ 皮切りは三島由紀夫の「東京五輪観戦記」(もちろん1964年の東京五輪)。私はまだ幼かったが、後の記録映画などでその様子を追体験した。三島が書いているような国家をあげての高揚感。確かにあのオリンピックにはあった。敗戦からの復興。高度経済成長。開会式の青空、飛び立つ鳩。色彩豊かに思い出される。
★ 続いて、中野好夫の「明るく朗らかな運動会」。これは東京五輪(1964年)の後に開催されたパラリンピックの「印象記」だ。パラリンピックは1960年のローマ大会が第1回とされている。今年の大会はどうなるのだろうか。
★ 沢木耕太郎「冠(コロナ) 廃墟の光」。ノンフィクションの旗手によるアトランタオリンピック(1996年)のルポだ。この大会で印象深いのは爆破テロで、すでに9・11の伏線があったのだろうか。冠(コロナ)はもちろんコロナウイルスではない。
★ 田中英光「オリンポスの果実」。作者がボート競技に参加した1932年のロサンゼルスオリンピックが描かれている。戦前の「オリムピック」の雰囲気が伝わってくる。
★ 山際淳司「たった一人のオリンピック」。1980年のモスクワオリンピックはソ連のアフガン侵攻により日本を含む西側諸国がボイコットした大会。政治とスポーツは切り離せないようだ。瀬古選手や宗兄弟のマラソン、見たかったなぁ。
★ 筒井康隆さんの「走る男」は先日読んだ。オリンピックが衰退した近未来の物語。小川洋子さんの「ハモニカ兎」は見知らぬスポーツに出会った人々の戸惑いが描かれていた。今年のオリンピックも新種目が増えて、スケートボードやスポーツクライミング、空手など、僅差の判定などよくわからなかったなぁ。
★ 政治とスポーツ、ロサンゼルス大会(1984年)以降は経済とスポーツ。かつてのアマチュアリズムはもはや影を潜め、興行的意味合いが大きくなっているようだ。オリンピックもいろいろあった。そしてこれからも変わり続けるのだろうか。1000年以上も続いたと言われる古代オリンピックは結局、政治的、宗教的原因で廃れてしまったという。継続することがなお一層難しい時代になるかもしれない。
★ 千野帽子さんによる「あとがき」も役に立つ。近代オリンピック創設に尽力したクーベルタン男爵の言葉。「参加することに意義がある」は間違いで「人生で大事なこと、それは勝利ではなく闘いだ。肝要なのは勝ったことではなくて、よく闘ったことなのだ」が正しいという。人生もまた同じか。