中学生の頃、釧路の栄町公園でイベントがあり、
「札幌から松山千春という新人アイドルが来るらしい」
という噂を聞き、友達3人で自転車をこいでイベント会場に向かった。
てっきりミニスカートの女の子が出てきて歌うのかと思っていたら、黒のサングラスに、とび職みたいなニッカポッカ姿の20代のおっさん(中学生からはそう見えた)が、ギター抱えてやおら弾き語りを始めた。
その時歌ったのが「旅立ち」と「銀の雨」。MCは一切なかったと思う。
その歌声にものすごい衝撃を受けていっぺんにファンになり、さらに自転車で釧路空港まで追いかけて行って写真撮ったりした。
翌週には中学の他のクラスでも話題になり、伊勢正三とか、かぐや姫とかやってた連中があっという間に松山千春に寝返っていった。
その後、松山千春はオールナイトニッポンのパーソナリティーになり、全国区で知られるようになった。しかしそれに反比例するように、だんだん北海道の初期のファンは冷めていき、「長い夜」をテレビで歌うようになってからは
「なにいいふりこいてんだか」(なにかっこつけてんだ)
と完全に離れてしまった。
「おめえ『ザ・ベストテン』に出たとき、もうテレビさ出ね、って言ったべこの」
と、多くの道民はテレビの松山千春に文句を言ったと思う。
さて、時は過ぎて、
何故か最近Youtubeのおすすめ動画に松山千春が出てくる。
ツルッパゲの。
確か80年代は
「うたう地上げ屋」
って呼ばれてたっけな。
もう、はっきり言って歌は下手になったと思う。
「あやつけてればいいってもんでねど」(翻訳不可)
と今度はスマホに向かって文句を言う。
でも見てしまう。
なぜなら彼の北海道弁が好きだから。
道東弁と言うべきか。足寄弁。
これが正統派のヤン衆系北海道弁だ、と思う。
江別の大泉洋のは違うねあれは。上品だもの。
そしてなんだかんだ言いつつ「大空と大地の中で」を聴くたびに、やっぱり北海道が恋しく、懐かしく、涙が出そうになるのです。
果てしない大空と広い大地のその中で
いつの日か幸せを自分の腕でつかむよう
この歌詞に何度励まされたことか。
千春、また昔みたいに10円コンサートとか、千春のひとりうたとかやってくれ。
あの頃が一番胸にささったよ。