中国からの大気汚染物質が飛来(参考:大陸からの大気汚染物質飛来)して日本に影響を及ぼしている現状をみるにつけ、日本の空を返せと叫びたくなります。しかし、中国からしてみれば、それは発展途上で起きる必然的な出来事である。日本も高度経済成長時代に公害を撒き散らしたではないか。その時には風下から文句を言われなかっただけのことだろう。第一、公害の被害は我々中国人が最も被害を受けるんだ。といったことにでもなるのでしょうか。
あるいは、ツバルの国民に立場を変えてみると、確かに日本は対GDP比で比べれば優等生だ。もっと沢山出している国があるのも事実だ。しかし、先に日本は温暖化ガスを25%削減すると国際公約したではないか。なのに今更何を言っているのかということになるのではないでしょうか。この国際公約は宇宙人が勝手に言ったことだからで済まされるかどうか。それは、それぞれの立位置によって変ってきます。
何事も立場を変えて眺めてみると様相が大いに異なるものと思います。特に国際関係などは、その最たるものでしょう。外交交渉などでは情報収集能力が重要です。孫子の兵法に「彼を知りて己れを知れば、勝、乃ち危うからず」というのがあります。戦略に携わるものは、誰しもが知っているであろう、あまりにも有名な一節です。しかし、言うは易く行なうは難しの典型例ではないでしょうか。敵を欺くための虚々実々の駆け引きや敵味方に間諜の存在を前提とした謀略戦が行われるの中で、何が真実なのかを見抜くことの難しさ。考え得る限りの作戦の立案とその選択、そして遂行。これらの全てが充実してこその百戦危うからずです。
日本はインテリジェンスが弱いと指摘されております。相手と交渉する上で、先の孫子の言葉を深く噛みしめる必要があると思います。孫子は「而るに爵禄百金を愛んで敵の情を知らざる者は、不仁の至りなり。」とも言っております。
先にも述べましたが、国家意思の決定の結末は、良かれ悪しかれ、最終的には国民に降りかかってきます。それが公害問題であれ、外交交渉であれ、戦争であれ・・・。
※ 「 」の中の記述は、「世界の名著 諸子百家」中央公論社から引用したものです。