山浦清美のお気楽トーク

省エネ、農業、飛行機、ボウリングのことなどテーマ限定なしのお気楽トークができればと思っております。

電気柵による感電事故について思うこと

2015-07-23 | うんちく・小ネタ
 電気柵は山間山麓部で、イノシシや鹿その他の害獣から作物などを守るために設置されているものです。当地でも多くの方が設置されておりますので、私としては見慣れたものであり、これによって危険を感じたことはありません。
 私自身は、山間部で少々果樹を栽培しております。イノシシなどから、作物への直接被害を受けますし、農道などが壊されて通行不能になるなどといった被害もあります。しかしながら、これらの被害を電気柵や防護柵によって防止しようとすれば多額の費用を要し設置できずにおります。

 このように電気柵は害獣から農作物等を守ることを目的として設置されているもので、私が知る範囲では専門メーカーの製品を業者もしくは農家自らが設置しているものと思われます。そしてその多くの電源はバッテリ(鉛蓄電池など)を使用しております。これは設置場所が山間部等で商用電源(電力会社からの供給電源)が使用できないことが主な理由としてあげられます。
 以上のような背景をご理解いただいた上で、この度の感電事故を私なりに検討してみたいと思います。

 電気柵により、このような感電死傷事故が発生したことは誠に痛ましい限りです。
報道による情報しか持ち合わせておりませんので、以下述べることはその限られた情報から私の考えを述べさせていただくことをお断りしておきます。

 先ず、この報道に接した時、何故という疑問が沸き起こりました。ほとんどありえないことに思えたからです。電気柵に通電されている電気は高電圧といえども人を死に至らしめるような電流ではありません。言わば冬季に静電気でビリッとくる程度のものだからです。それで害獣を驚かせ近寄らせないようにするに必要十分であるからです。
 しばらくすると徐々に続報が入ってきました。電源がバッテリーでなく家庭用のAC100Vから取られていたこと。そして漏電遮断器が設置されていなかったこと。そして電気柵の電線が切れて川の中に入ってしまったこと。
 それでもまだこの段階でも疑問が消えませんでした。それは専用電源装置を介して電気柵に供給されていると考えていたからです。それが何とAC100Vから直接電気柵に流されていたとは、にわかには信じがたい報道ででした。それが事実ならば危険極まりないことですし、第一違法行為でもあります。
 その後の報道では、変圧器で昇圧されて400V以上の電圧となっていたことで更に驚かされました。この変圧器が絶縁タイプのものであれば、仮に分電盤に漏電遮断器が設置されていようとも変圧器の二次側(電気柵の部分)で漏電が発生しても漏電遮断器は動作しません。

 このような電気柵を考えることを電気の知識も無い一個人ができるでしょうか。いや仮に電気の知識があれば、絶対にやらないであろうというものを作ってしまったという事実は何を意味するのでしょうか?

 ここから先はかなり大胆な推論となりますので、そのつもりでお読み下さい。
この電気柵の設置者が電気に関して世間常識程度の知識を持っていると仮定します。そして害獣を防止するために電気柵なるものがあることを知っていたとします。先ずは、ホームセンターなどに行って入手すると思います。現物を見てみるとチャチイ装置(素人から見ればそのように思えてしまう)と簡単な仕掛けで何万円もします。要は電気を流せば良いのだろうと考え、幸い設置場所が自宅の傍でAC100Vから引いてくれば出来るじゃないかと考えてしまうことも無理からぬことであろうと思われます。電気の知識が全く無いならば考えもしなかったであろうことが、生半可な知識のため悪魔の囁きが聞こえてきたのではないかと思ってしまいます。
また、変圧器で昇圧して電気柵に印加されていたことです。通常100Vでも十二分に機能するはずなのに、何故に400Vを超える電圧にしたのでしょうか。電気柵の電圧が高電圧だからといった理由では弱いのではないかと思います。それが何かは分かりませんが合理的な理由があるはずです。

 また、漏電遮断器が設置されていなかったとのことですが、かなり昔から家庭用の分電盤にはメインブレーカーの後に漏電遮断器が取り付けられ、子ブレーカーを介して分岐回路に接続されております。ホーム分電盤はこのようなセット構成になっております。

 そこで論理が飛躍するかも知れませんが、実際にこのようなホーム分電盤を使用した分岐回路のコンセントから電気柵の電源を取り、電気柵に給電したとしましょう。そして何らかの害獣が電気柵に接触したとします。そうすると、電線と地面(アース)間に電流が流れます。いわゆる感電(漏電)したことになります。となれば漏電遮断器が動作し全回路停電となります。つまり、害獣が電気柵に接触するたびに停電してしまうことになります。大抵が夜間に発生することになり、不便極まりないことになります。そうした時、再び悪知恵が働きます。漏電遮断器を外してしまえと。あるいは絶縁トランスを取り付けようと。そうすればめでたく停電を引き起こさず、電気柵を有効にできるようになります。その引き換えとして、限りなく危険極まりない電気設備に成り下がってしまったことになります。

 ただ、まだ疑問が残ります。漏電遮断器を取り外すことは素人でも考えないでもないでしょうが、絶縁トランスを設置するといった知識は常識的とはいえません。人並み以上の電気的知識があると言えるでしょう。
並以上の電気的知識があれば、絶対にやらないであろうといったことが実際になされてしまったのです。自分だけは、これくらいは大丈夫だといった過信や思い込みでしょうか。
 まさかとは思いますが、電気工事業者などの第三者が介在してはいないでしょうか。あるいは、知識をもった第三者にアドバイスされたといったことはなかったのでしょうか。

 設置者個人のみでやったことであれば、その電気的知識からして、そのことが他人に危険が及び、どのような結果を招くかを十分に認識していたと言わざるを得ません。また、第三者が介在していたとなれば、そちらにも責任の追及が及ぶことになる可能性もあります。

 私もコンサルタントなどといった看板を掲げておりますので、その回答に関してはよくよく注意しておかねばならぬと気を引き締めさせられる思いです。




参議院の選挙区選挙が合区に

2015-07-23 | 政治・経済・社会
 報道によりますと来年夏に行われる参議院議員選挙の選挙区選挙において合区などすることで10増10減とする見通しになったということです。合区に関しては自民党の反対により見送られておりましたが、(参考:「参議院一票の格差是正を放棄!」)一転妥解決したかのように見えますが、これは違憲判決を突きつけられ切羽詰まった状況に追い込まれた末の妥協の産物として生まれた結果にしか過ぎません。10増10減したとしても一票の格差は2.97倍としかならず、抜本的な解決とは程遠いものがあります。現在の制度を前提とする限り、対象となる合区を広げていくしかありません。しかしながらこれを進めていけば、程度の差こそあれブロック制といったことになります。

 さて、選挙区が都道府県単位となっていることにどのような合理性があるのでしょうか。地域代表といった側面があることは否定できないでしょう。であるならば、都道府県の人口の多寡に拠らず一選挙区当り同一人数にするという手もあるはずです。例えば、アメリカ合衆国上院議員は各州2名となっております。
しかしながら、立法では人口比例の原則に則った定数配分としており、最高裁の判決もこの立場に拠ったものとなっております。

 自民党が合区に反対なのは、結局のところ合区により議席がなくなることが問題なのであって、都道府県単位の選挙区の必要性が議論されているようには思えません。どうしても都道府県代表が必要とならば、アメリカ上院のように一票の格差が如何に大きかろうとも各選挙区同一定数とする方が望ましいでしょう。無論、最高裁判所の違憲判決がある以上、憲法改正する必要があるということになりますが・・・。そこまでやる気がないのなら、合区に反対することはお止めになった方が良いと思います。でなければ何か別の制度へ移行すべきであろうと考えます。

 やはり議員定数や選挙制度の問題は、もっともっと掘り下げた議論をする必要があります。小手先のやり繰りで一時しのぎをしても直に行き詰ってしまいます。

<参 考>
議員定数削減は本当に国民の要望か?」「議員定数削減と選挙制度改革(衆参の選挙制度の同時改革)」「なさけなや参議院!!-0増5減再可決