同窓会の翌日は、いよいよお伊勢参りです。
私が、この同窓会に、ひどい腰痛を押してまでも参加したいと思った訳は、三つあります。
大変お世話になった、恩師のお墓参りがしたい。
懐かしい同窓生に会えるのが嬉しい。
もう一つ、もしかすると一番行く気になった理由かもしれません。
夫の病の回復を、日本で一番格上の神社でお祈りすれば、その願いがかなうのでは、との期待からです。
ところが、観光地に詳しいHさん話によると、お伊勢参りではお願い事をしてはいけないとの事。
感謝のみするところなのだそうです。
さてそれではどのような思いで、頭を下げましょうか。
しばらくその言葉を思い巡らし、胸に秘めました。
お伊勢参りでは、内宮と外宮の両方に出かけた私達です。
さてこのお参りのお話をする前に、この神社にたどり着くまでの道程も綴ることに致しましょう。
恩師のお墓がある豊橋から、電車とバスで渥美半島を走り抜け、岬にたどり着いた私達。
私は、車窓から久しぶりに伊勢湾の海を見て、子供のように心が躍りました。
その途中、電力発電の風車も目にすることができました。
私が想像したほど目障りなものではなく、自然の緑と青空に溶け込んで、美しい風景となっていました。
一時間少々の乗車で、恋路が浜の岬にたどり着いた私たち。
「名も知らぬ 遠き島より流れよる 椰子 の実ひとつ♪」という島崎藤村の抒情詩の舞台となったことでも有名な所だそうです。
浜にあるお店で、潮風に当たりながら、その地名物の特大あさりの焼き物料理をいただきました。
余りに大きなあさりを目の前にして、驚きの声を上げてしまった私。
その素朴で新鮮なおいしさは、格別。
感動ものでした。
迷うことなく、その地の名産を口にできるのも、観光地に詳しいHさんのお陰です。
そこからフェリーで、伊勢湾を横断し鳥羽港へと。
その船旅で、私が一番楽しみにしていたのは、三島由紀夫の小説「潮騒」の舞台になった「神島」を望めること。
実は、幸運な偶然ですが、昨年末、この書物を手にし、再読したばかりだったからです。
その冒頭に、この島の美しさを述べた記述があります。
さすがにノーベル賞候補との評判が高かった有名な作家の小説だけあり、若い男女の純愛はむろん、島の情景や、優しい灯台守の老夫婦の姿が心に焼き付いて、今なお離れないでいました。
最近読んだ新進の作家著作物のストーリーは、すでに忘れかけているものが多いのに。
友人達にはむろん、その期待感で私の胸が膨らんでいることを告げました。
そのせいか、島影が次第に迫り大きくなってくると、
デッキに出たほうが良く見えるよ、と案内してくれたH君。
灯台はどれだろう?
と数人で、その小説の話題で盛り上がりました。
とても小さな村が、山のすそ野の海岸沿いに集落になっていました。
恐らく、本で書かれていたような漁村なのでしょう。
遠くからから眺めただけですから、その島の美しさまでは、感じ取れませんでしたが、私は目にしただけで十分満足。
紺碧の空でしたら、青い海と島の緑のコントラストが鮮やかで、さぞや美しかったことでしょうに。
残念ながら、その時の空模様は、霞がかかったような白さで、海もさざ波が立ち、多少荒れ気味でした。
臆病な私は、デッキの端に立つだけで、足がすくんでしまいそう。
そこで友人に撮ってもらった写真の私は、とても緊張した顔つき。
恥ずかしくてブログになんて。絶対載せられな~い。
この船旅で、思いがけないものを他でも見ることができ、私の喜びは一層大きくなりました。
さすが男の人たち。
私のみでしたら、周りの景色に気を取られ、見過ごしてしまったかもしれません。
N君が教えてくれたのは、海上保安庁の船と、イージス艦です。
海上保安庁の船といえば、東シナ海における中国漁船の衝突事故が、すぐ頭に浮かびますが。
イージス艦については、他の友は、「
自衛隊の船ではあるけれど、イージス艦かな~?」
と疑問符を投げかけていましたが。
例えそうでなくても、このような船を目にできた幸運を嬉しく思い、旅行気分が更に盛り上がりました。
みんなでワイワイおしゃべりをしている内に、目的地、鳥羽の桟橋が近づいてきました。
そこで、私は懐かしい建物を、目にすることに。
鳥羽水族館と御木本の博物館です。
初孫のR君が幼い頃、夫と三人で三泊四日の旅行を楽しみ、その時、寄った場所だったからです。
鳥羽水族館
絵本に登場した、仲良しのジュゴンのセレナちゃんと亀吉君に会うのが、この時の旅行の一番の目的でした。
十数年前の、今よりはるかに若かりし頃の私と、元気な旦那さま、幼いR君との旅の想い出が鮮やかに蘇えりました。
想い出の地を再訪すると、こんなに感激するものなのだ、と改めて思った私。
御木本の真珠博物館
そういえば、母を亡くした翌々年でしたか、奥日光へ家族で旅行に出かけた時の事。
母と共にこの地を訪れた想い出が蘇り、涙があふれて止まらなくなってしまった私です。
この度は、涙は出ませんでしたが、その一歩手前といってもいいほど、感極まりました。
夫が、十数年前と異なり、重い病で伏せているからかもしれません。
童心に返り、五十分ほどの船旅を特別室で満喫した私たち。
特別室何て書くと、豪華な船旅を想像なさるでしょうね~
追加料金、数百円です。(笑)
いよいよ鳥羽桟橋に到着。
そして伊勢神宮の最寄り駅、宇治山田へと、電車で、私たちは向かいました。
ご覧下さいまして有難うございました。
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花のように泉のように