普通な生活 普通な人々

日々の何気ない出来事や、何気ない出会いなどを書いていきます。時には昔の原稿を掲載するなど、自分の宣伝もさせてもらいます。

ちょっと怖い話①

2010-10-29 10:59:13 | 超常現象<的>な
 17歳から32歳までのほぼ15年間、ボクは毎日のように「金縛り」にあっていた。
 こんなことを書くと、20年前には「精神に異常をきたした人」というレッテルを貼られたはずだが、最近では超常現象もオカルトもお化けもUFOも、普通に語られるモノになった。この20年でなにがどう変化したのかを検証するのは、また別の機会に譲るとして、この機に乗じてというわけではないが、ここで、これまであまり口にも文字にもできなかったコトを書こうと思う。UFOに続いて「金縛り」だ。
 金縛りにあい始めたきっかけは思い出せない。ただ17歳の夏休みに突然始まった。もしなにかそれまでと異なる状況があったとすれば、それは亡くなった母が新興宗教教団に入信したことだろうか。密教を標榜する教団だった。それはそれとして…。
 「金縛り」は、寝入りばなというより、寝るでもなく覚醒しているのでもない、非常にあいまいな精神状態にある瞬間に「ある種の恐怖感覚」と共に襲ってくる。背中を悪寒が走り一気に精神が覚醒し、身体が反応し硬くなる。動こうとしても動かない。動けない。そして恐怖感覚がつのってくる。それなのに、視覚だけははっきりと働く。夜目が利くかのようになんでも見える。
 よく極度の疲労が「金縛り」の原因などというが、それはあたらない。15年間も極度の疲労を抱えていたら、とうの昔に死んでいるだろう。
 そして「金縛り」にあい始めて3年間ほどは、ほぼ毎日、仰向けに寝たボクの腹の上に白装束の女性が座っていた。それが誰だかは判然としない。ただ「ある種の恐怖感覚」を伴ってその女性は顕れ、恐怖感覚がつのればつのるほど、輪郭がはっきりしたのを思い出す。
 実は、仰向けに寝るということが「金縛り」を助長すると気付き、ボクはうつ伏せに寝るようにした。だが、気付くと必ず仰向けになっていた。「しまった」と思うや否や「金縛り」は襲ってきた。とにかく怖かった。
 それでも徐々に慣れてくる。無理とに声を出せば「金縛り」は解けると気付きもしたし、なにか不都合なことがあるわけでもない。初期の頃は、夜中の突然死の原因は「金縛り」の延長線上にあるかもしれないなどと思ったが、しまいには「またきたか」と「金縛り」と共存するような感覚になった。
 32歳でなぜ「金縛り」から解放されたのか、その理由も判然としないが、その前年に結婚している。ただ、散発的には43歳まで「金縛り」は起きた。最後に「金縛り」にあったときボクの視界の中に、奇妙な生物がいてボクに向かって何かを投げつけていた。それはおそらく「その生物の排泄物」だったと思う。なぜなら強烈な匂いを感じたから。
 それが一体なんなのか? といわれれば「別になんでも」と答えるしかない。ただの思い出。
<拙文『黄泉路のひとり歩き』より>