河村顕治研究室

健康寿命を延伸するリハビリテーション先端科学研究に取り組む研究室

教員評価について思う

2007-06-03 | Private
この週末は珍しく休みとなったため、自宅で締切の迫った申請書などを書くほかは家族と過ごそうとした。
ところが土曜日には小学生の息子は午前学校があり、午後は塾通いで、遊べない。さらに日曜日は参観日である。
そこで発想を転換して、息子の生活を知るべく積極的に見学に行くことにした。

まずは土曜午後、塾の見学である。
あらかじめ電話で見学を依頼し、送りがてら見に行った。
大手の塾で、若い先生が元気よく算数を教えている。
小学低学年の子どもはいろいろ喋るし、ハイテンションで興味を引きつつ丁寧に教えるのは大変である。
上手に興味を引きつつ板書も丁寧に的確に行う。
しかも決められた内容を時間内にぴたりと納める。
さすがである。
この塾では教師の採用は非常に厳しいのだそうだ。
1000人くらいいる希望者の中から選抜を行い、まずは事務手伝いから始まり、その中から数人だけ教員として正式に採用される。
採用された後も、さらに2ヶ月に1回、受講生や父兄の評価があり、それによって給料が変動するばかりでなく、下手をすると首を切られるとのこと。
大学教員をやっていると信じられないくらい厳しい成果主義の世界である。

日曜日、小学校の参観日。
こちらは塾のようにきびきびした張り詰めた雰囲気はないが、新しくできた校舎で和気藹々と和やかな授業が進行している。
キリスト教系の私学なので道徳や宗教教育に特色がある。
その他、英語のクラスに力を入れている。
父兄としては和やかに楽しく過ごしていればそれだけで嬉しい。
小学校では人格の形成が一番重要だ。
私自身は無宗教だが、キリスト教でも仏教でも何か心の支えはあったほうがいいのではないかと思い始めている。
父を亡くして、葬式仏教でもそれなりに心は和んだ。
この小学校でも教員の評価はあるのだろうが、受験用の塾とはまた違った尺度での評価が行われているのだろうと思う。

私の大学でも、突然今年から人事評価が始まることになった。
いったいどういう結果になるのか、他人事のような興味があるが、アメリカのようにきちんとしたシステムがないところで人事評価をどのように客観的に行うのか疑問はつきない。

私がアメリカに留学していた時のボスは、若い頃はメイヨークリニックで一流の業績を上げてジョンス・ホプキンス大学に呼ばれたのだが、晩年はめぼしい成果もなく、結局は研究室を廃止して引退することになってしまった。
それを見ていて、アメリカ流の評価システムの良い面と悪い面を実感した。
日本のシステムは、年配の教員に優しい温情主義のシステムである。
私もだんだん年をとって、そうしたシステムがありがたい年齢になりつつある。
ところが、社会はアメリカ式の成果主義に急速に変わりつつある。

おそらく、何年もしないうちに、受験対策塾のような実力主義の評価体制に移行するのではないかと恐れている。
コメント
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