河村顕治研究室

健康寿命を延伸するリハビリテーション先端科学研究に取り組む研究室

骨粗鬆症治療の哲学

2013-09-09 | 医学・医療
夜、新しい骨粗鬆症治療薬『プラリア』の勉強会に参加してきた。

一般名称デノスマブで、ヒト型抗RANKLモノクローナル抗体製剤である。
強力な骨吸収抑制作用があり、骨粗鬆症による骨折を防ぐ新薬として期待の高い薬である。


今日は月曜日で、病院で毎週患者さんを診ているのだが、印象的な出来事があった。

娘さんのところに行っていたのでご無沙汰しましたと言って久しぶりに外来受診されたおばあさんが、1時間後に救急車で再度病院に運び込まれてきたのである。

病院受診のついでに近くのスーパーに買い物に行こうとして、信号を渡ろうとして躓いて転倒したのである。
レントゲンを撮ってみると大腿骨転子部骨折であった。

この方は骨粗鬆症はそれほど重症ではなかったので、SERM製剤という一般的なお薬をずっと服用してもらっていた。

今回の骨折をみて、もっと強力な薬を使っていた方が良かったかもしれないと考えた。

最近は、『プラリア』以外にも、骨を増殖させる作用のあるテリパラチドという注射もあり、骨折を予防できる薬がなくはないのである。

若いから、まだ軽症だからと言って軽い薬から使っていくというのは、患者さんの立場からするとあまり良くないのかもしれない。

最初から切れ味の良い強力な薬を使用して骨強度を上げた方が、QOLの観点からするとずっと良いのかもしれない。

私はどちらかというと新薬の使用には慎重な方なのだが、良い薬はリスク覚悟で積極的に使用した方が良いのかもしれない。

コメント
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