かぜねこ花鳥風月館

出会いの花鳥風月を心の中にとじこめる日記

心にしみる森の声

2021-02-10 11:37:02 | 日記

「樹木たちの知られざる生活」著者ペーター・ヴォールレーベンさんの言葉を、殴り書きだけれども、ノートに書きとどめた。

 

最後の章「有機林業?」の下りで、

ドイツの憲法には「動物、植物、およびほかの生体を扱う時には、その生き物の尊厳を尊重しなければならない。」と記されている。

という箇所があったので、ネットで調べてみてもドイツ基本法に該当する条項が見当たらなかった。何か他の保護規程のことなのかもしれないが、あれだけヨーロッパ人が森を破壊してきた反省、あれだけナチス時代に無辜の市民を虐殺してきた反省、あれだけ肉食用家畜を「消費」してきた反省に立ってのことだろうが、いまのEU諸国なら、このような保護規程は、あたりまえのレベルなのだろう。

翻って、ニホンの憲法ないし保護規定に、上記のような条項が盛り込まれる日ははるかに遠い日なのだろうと思った。動物愛護ならばある程度理解できるが、植物やほかの生体にまで踏み込むなんて、ニホンは、そんなレベルに達していないのだろう。せいぜい、森林法や国立公園法で不法伐採や草木の盗掘を禁じている程度なのだろうし、動物の方だって、「アニマル・ウェルフェア」関係で、あの農水省汚職で明らかになったように「狭い鶏小屋」を容認しているわが国なのだから、いわんや植物をや、というところだろう。

 

で、そのドイツ憲法でいう「樹木や草ばかりでなく、ほかの生体」と言ったら・・・トンボやハエなどの昆虫、クモ、コケ、キノコたちのことまで、あるいは細菌、バクテリア、ウィルスまで・・(エーッ,コロナウィルスも?)までということか。

で、その「尊厳の尊重」って、どういうことなの?と、疑問をいだいたが、この章の読むと分かりかけてきた。

概要を引用してみると、

・自然の一部であるわれわれは、ほかの生きものを利用しないと生きていけない。

・その他の生きものも、このことを共有している。

・生きていくうえで必要な限度で、ほかの生き物を利用すべきであって、必要以上に利用すべきではない

 し、不必要な苦しみを与えてはいけない。

・樹木については、樹木の生態を尊重した木材の利用が尊重される。

・樹木の生態とは、要するに「樹木は社会的な生活を営み、健全な土壌と気候の中で育ち、自分たちの知恵 

 と知識を次の世代に譲り渡す権利」なのであって、この権利を尊重していくということ。

 

ということになるが、要は、生きものが過去から営々と築いてきた命のリレーをお互いに認めあって、ヒトが生態系の頂点にいるような傲慢なふるまいをやめようということなんだろう。

こころに染み入る森の声を聞いたような気がする。樹木から学ぶこと、この先からいっぱいありそうな気がする。

さて、春からの山菜と野草という「山の幸」をいただく取り組みも、「必要以上に利用しないこと」、「山の幸たちの命のリレーを十分理解して、シカが高山植物を食べつくすような苦痛を与えないこと」をモットーに、「なぜ山の幸をいただくのか」、「山の幸たちをいただくことは生きていくことに必要な行為か」を自問自答しながら、進めていくことにしたい。(生態サイクルもわからず、スーパーのパック詰め野菜をいただくよりは、はるかに必要な行為なのではないかと思っているが)

 

 

      

     ブナの森の多様な樹木たち。共生か、軋轢か、日本のブナの森の声を聞いていこう。

 

 

 

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