言わなければよかったのに日記

 私が見たこと、聞いたこと、感じたこと、頭にきたこと・・・を(ありのまま)に伝えます。

カシどん

2021年09月06日 | 球磨弁

   

 今日は「びゃァどん」の続きで、高田素次さんの‘球磨民話集’に掲載されていた「平良のカシどん」の話を紹介します。「カシどん」の話は(日本の民話 肥後・薩摩・大隅編)にも紹介されています。ところが人吉新聞昭和39年には「カシどん」自身のことをも紹介されているのです。それも球磨弁丸出しで。

 『きのいの ちゃあら ちうとこれえな、カシどんちうて、てずまの名人のおらいたげなもん。本当の名前は、蓑田嘉治ちうとじゃッたとないどん、みんなカシどんちうて呼うどッたげなたい。昭和30年の6月9日に44で死んだちうて、戸籍にもちゃんッのとッとじやッで、仮空の人間じゃなかとないどん、そのさいたことがあんまい不思議なことばかいじゃるもんじゃッで、知らんもんなウソじゃなかろうか、ていういども、きのいのもんな だいでん いんにゃウソじゃなか、ほんとんことちうて信じきッとるとじゃッで、おもしろかたい。実をいえば、そのてずまちうた、天道兵法鞭之法摩利支天飯綱之法ちうてな、信州の戸隠山の飯綱大権現から出た幻術で、カシどんな、日向のどこてろで、そいよば習うて来たとちうて、言いおらいたげないどん、どこからじやらじやッつろうもねえろ、はっきり聞きとめとったもんなおらんげなで分からんたい。幾らか銭よばやれば、教えとくぞ、ちうて言わいたこともあったげないどん、だいも習うとかじやッたた惜しかったない、』

 と前段部分が書かれてあります。‘カシどん’は戸籍にも載っておられる人なのです。架空の人ではないのです。高田さんはどこでこの話を聞いてこられたのでしょうか。このことから、民話ー昔話は、いつからか、こんな身近にいる人(近所の面白いおじさん)のことからはじまったのではないでしょうか。

 それにしても、高田さんは球磨弁喋りも上手だったですが、その表記(書き方)も絶妙です。(じやッで)の(ツ)の使い方は絶妙だと思うのですが。私にも難しい球磨弁表記です。ずるいですが明日にでも私流の訳をして見ますので、その前に試みながら一度読んで見られてください。

 今日の天気(時おり パラリと小雨)


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