ワレモコウ(バラ科)花言葉は、愛慕、変化。植物学上はバラ科の仲間だが、今もって素人目にはわからない、不思議なことの一つである。「われもまた紅」から吾亦紅だなんて面白い。数ある花のなかでこれほど地味で目立たない紅も珍しい。紅よりもむしろえび茶色といった方が当たっていて、いかにも渋いその花を好きだという人と、こんな美しくない花のどこがいいのだろうと首をかしげる人もいる。9月頃上部で枝分かれし、枝先に暗赤色で花弁のない無数の花を円筒状の直立した穂状花序につける。高原の風に吹かれているさまなどが少し淋しげで、その名とともに詩趣を感じさせる。桑の実に似ていて「だんご花」とも呼ばれている。「吾亦紅紅の焦げたる山日和 森 澄雄」「吾亦紅霧の日輪珠となる 植山露子」「吾亦紅うらわかけりばまだ青し 飴山 実」「朱の帯生涯似合へ吾亦紅 殿村菟絲子」「吾亦紅夕日といえど目に痛し 福永耕二」「遠山の晴間みじかし吾亦紅 上田五千石」「此秋も吾亦紅よと見て過ぎぬ 白 雄」「吾亦紅さして夫の忌古りにけり 高橋淡路女」「吾亦紅ぽつんぽつんと気ままなる 細見綾子」「吾亦紅路へだて行く影とわれ 千代田葛彦」「夕風は絹の冷えもつ吾亦紅 有馬籌子」「金婚のけふを妻なき吾亦紅 有働 亨」「山の日のしみじみさせば吾亦紅 鷲谷七菜子」「甲斐駒の返す木霊や吾亦紅 山下喜子」。多数の歌人が吾亦紅の句を詠まれているのは、地味で目立たないと言うのは、私は見当違いと思われるが、如何でしょうか?。「吾木香」「割木瓜」とも書く。根にタンニンが多く、強い芳香がある。止血剤,健胃剤、防虫剤としての用途がある薬として利用される。「吾も亦 紅 なりと ひそやかに 高浜虚子」「吾亦紅 さし出て花の つもりかな 一 茶」「吾木香 すすきかるかや 秋草の さびしききわみ 君におくらむ 若山 牧水」。(吾もまた だれにおくらん 吾亦紅 ヶィㇲヶ)