今日はいつもよりかなり早めに母のところに行った。夕飯の支度もしなくていいから、と言われたけど、一応野菜がとれるものは必要だし、せっかく解凍した紅鮭もあるし、ということで結局わたしが台所に立った。
その前にしばらく母とおしゃべりをした。野菜の下ごしらえをしてから、風除室で外を見ている母のところに行った。叔母さんがお昼寝していたので、玄関の方でおしゃべりの続きをした。
話は母の母、亡くなった祖母の話だ。祖母はわたしが幼い時から額に鉢巻をしていた。亡くなるまでずっとその鉢巻を取ったところを見た事が無い。その話になった。幼いながらもそのことに触れてはいけないのだろうなと思って、最後まで祖母に鉢巻のことを尋ねることはしなかった。
母が言うには、祖母には額に火傷の跡があったそうだ。でも、隠しておくほどでもなく、前髪で隠れるぐらいのものだったそうだ。それでもある日、誰かに額の鉢巻を取ろうとしたら「そのままつけていてもいいんじゃないか」と言われて、それからずっとほんとにずっとつけていたのだ。年を取ってから母がお風呂に一緒に入って祖母の髪を洗ってあげるときははずすけど、上がるときにはまたつけていたとのこと。
だから、亡くなったとき鉢巻をはずしたらその下は真っ白の肌だったとか。
わたしにとっては祖母というのは鉢巻をつけた人、それが一番の印象。そして寡黙な人だった。静かで皆の話を微笑んで聞いている、それが祖母だった。いつだったか、小さい時に誰かに「どんな人になりたい?」と聞かれたとき「おばあちゃんみたいになりたい!」と言ったことを思い出す。
それを相手はどう受け取ったのかわからない。わたしの中では、物静かでそばにいてくれるだけで嬉しくなるようなそんな人、という意味だった。
母も叔母も祖母のことは大好きだったみたいだ。今も昔のことを二人で話している姿を見ると、そこには両親を本当に好きだという気持ちが見え隠れする。そんな二人を見るのもまたとても嬉しくなる。
そんな祖母の話をたくさんして、今日はお風呂も早めによばれて、いつもより早めにおいとますることにした。母がベッドに座っていたので、ちょっといたずらな気分になって、母に「では今日はこれで帰ります」といって「ハグ、ハグ!」とフワッと抱きしめた。すると母がわたしの脇腹を触って
「もうこれ以上太らないように。食べ過ぎないように!」と言った。
あっちゃー。これは一本とられた! 「もぉ!、いやだなあ、もお!」と笑った。
それを見ていた叔母が
「わたしも太ったって言われるんだよ」と笑っていった。
玄関に見送りに来た叔母にこそっと言った。
「太ったって言う本人が一番気をつけなくちゃね」
叔母が慌てて口に人差し指をつけながら笑った。
そう、三人とも美味しい食欲の秋に負けて太っちょ路線まっしぐらなのよぉ。
その前にしばらく母とおしゃべりをした。野菜の下ごしらえをしてから、風除室で外を見ている母のところに行った。叔母さんがお昼寝していたので、玄関の方でおしゃべりの続きをした。
話は母の母、亡くなった祖母の話だ。祖母はわたしが幼い時から額に鉢巻をしていた。亡くなるまでずっとその鉢巻を取ったところを見た事が無い。その話になった。幼いながらもそのことに触れてはいけないのだろうなと思って、最後まで祖母に鉢巻のことを尋ねることはしなかった。
母が言うには、祖母には額に火傷の跡があったそうだ。でも、隠しておくほどでもなく、前髪で隠れるぐらいのものだったそうだ。それでもある日、誰かに額の鉢巻を取ろうとしたら「そのままつけていてもいいんじゃないか」と言われて、それからずっとほんとにずっとつけていたのだ。年を取ってから母がお風呂に一緒に入って祖母の髪を洗ってあげるときははずすけど、上がるときにはまたつけていたとのこと。
だから、亡くなったとき鉢巻をはずしたらその下は真っ白の肌だったとか。
わたしにとっては祖母というのは鉢巻をつけた人、それが一番の印象。そして寡黙な人だった。静かで皆の話を微笑んで聞いている、それが祖母だった。いつだったか、小さい時に誰かに「どんな人になりたい?」と聞かれたとき「おばあちゃんみたいになりたい!」と言ったことを思い出す。
それを相手はどう受け取ったのかわからない。わたしの中では、物静かでそばにいてくれるだけで嬉しくなるようなそんな人、という意味だった。
母も叔母も祖母のことは大好きだったみたいだ。今も昔のことを二人で話している姿を見ると、そこには両親を本当に好きだという気持ちが見え隠れする。そんな二人を見るのもまたとても嬉しくなる。
そんな祖母の話をたくさんして、今日はお風呂も早めによばれて、いつもより早めにおいとますることにした。母がベッドに座っていたので、ちょっといたずらな気分になって、母に「では今日はこれで帰ります」といって「ハグ、ハグ!」とフワッと抱きしめた。すると母がわたしの脇腹を触って
「もうこれ以上太らないように。食べ過ぎないように!」と言った。
あっちゃー。これは一本とられた! 「もぉ!、いやだなあ、もお!」と笑った。
それを見ていた叔母が
「わたしも太ったって言われるんだよ」と笑っていった。
玄関に見送りに来た叔母にこそっと言った。
「太ったって言う本人が一番気をつけなくちゃね」
叔母が慌てて口に人差し指をつけながら笑った。
そう、三人とも美味しい食欲の秋に負けて太っちょ路線まっしぐらなのよぉ。