アウトドアナイフの意味

 

 

最近の「ブーム」では明らか
に見誤っている風潮が蔓延し
ている。

それは、「ブッシュクラフト」
というとナイフのバトニング
で薪を割り、ナイフでフェザー
を作り、メタルファイアで点火

させることが「ブッシュクラフ
ト」だと勘違いしている人たち
が大発生している点が一つ。

もう一つは、アウトドアナイフ
とは、その作業のみのために
あるかのような大きな勘違い
をしている点が一つ。

 

薪割りは本来斧や鉈でやるもの
だ。

ナイフでのバトニング薪割りは、
それは緊急事態等の特殊使用の
一つの方法にしか過ぎない。

ウッドフェザー作りも、数ある
火口利用の中の一つの方法で
しかない。

 

あくまで方法なのだ。

それをあたかも、ナイフで薪割
りをしてフェザーを作ること
こそが本道であるかのような
大きな勘違いをしている人たち
が雨後の筍のように増えている。

この不見識。

 

そもそも、薪割り火熾しがブッ
シュクラフトではない。

ブッシュクラフトは、その名の
通り、野外での活動のために物
を現場でクラフトして設営を
こなすことだ。

ストーブを持って行って、そこ
でラーメン作って単に食うのは
ブッシュクラフトなどではない
し、薪割りバトニングがブッシュ

クラフトでもない。

 

こうした現今蔓延する大きな勘
違いの見誤りについては、2016
年頃から本物の野外活動をする
森人たちから警鐘が発せられ

ていた。

しかし、悪貨は良貨を駆逐する。

本末転倒の紛い物がさも本物で
あるかのように大手を振って
大跋扈するのは世の常なのだが、
遊興的なキャンプブームとや
らの到来で、ブッシュクラ
フトの世界でもニセモノが
大繁盛するようになってし
まった。

 

フェザーを作ることはクラフト
ではない。

それは焚き木に風を吹きかけ
るのと同じ「作業」の域を超
えない。フェザー作りなどは
テント設営でロープを引っぱ
るのと同じなのだ。

ロープを引いたり結んだりする
ことをブッシュクラフトとは呼
ばない。

クラフトワークで物を作り、
それを使って森の中で野営する
ことと、単なる作業は全く別物
である。次元が別物。

目的と手段を逆転させる本
末転倒の根底を揺るがす大
きな勘違いが、「流行」や

「ブーム」によってねつ造
されて来ている。

ゴルフのスイング練習をする
だけで「私はゴルフをやる人
間です」と言うようなもので、
完璧にオカシイことなのだ。

 

その流れの中で、ナイフのマイ
クロベベルを無くしてしまう
ことが無思慮に蔓延してきて
いる。

洞察も考察も薄くて低過ぎて、
話にならない。

 

大衆の迷走の原因は、全て
YouTubeにある。

不確かでテケトンなデタラメ
を発信している者が人気を集
めると、それがあたかも正し
い事をやっているかのような
大衆真理となり、集団妄信を
引き起こす。

動画サイトの再生回数はそれ
が正義でもないし、まっとう
な内容放送であるのかどう
かとは関係がない。

「人気動画＝正しい」とする
大衆心理はとても危険な思想だ。

 

事実、日本刀での試斬におい
ても、ナイフのバトニング流
行にしても、全く本物系の動
画よりも紛い物系のほうが再
生回数が多かったりすること
が多い。

動画は作り方次第でどうにで
も人気を取ることはできる。

目的は広報ではなく、金儲け
だから、金儲けの金言を踏襲
すれば再生回数は上がるし、
その広告料で生活することさ
えも可だ。

 

しかし、なんと嘘ものの多い
事よ。

特に、技術、スキル系では
デタラメさんいらっしゃい、
のような動画ばかりが蔓延っ
ている。

研ぎが出来ないくせに研ぎの
解説をしたり、まだ未使用の
ギアについて高評価をしてみ
たり、観るほうも少し考えれ
ばそれがどれほどのものか分
かりそうなものだが、世の中
それを見抜かぬ人が非常に多

い。

バイクのヤキトリ硬直ガチガ
チ載り蔓延と同じ現象があち
こちの分野で日本では今
発生している。異様な事態
だ。

なんでなんでしょうね。

日本人は、あまりものを深く
掘り下げて考えることは嫌い
で、思考停止が好きなのかも。
特にここ20年程の時代。浅い。

 

刃物系と乗り物系は、ニセの
やり方を本物とかまっとうな
ものと誤認して盲信すると極
めて危険なので、きちんと
本当の事はどうなのかを落
ち着いて冷静に見てほしい
と思います。

 

ナイフってね、薪割りの為に
あるのではないのよね。