ケン坊のこんな感じ。
キーボーディスト、川村ケンのブログです。




長いようで、本当にあっという間の一年。

可愛い可愛い、大好きな息子と、妻と、

お陰様で元気で、今年も、今日という日を迎えることができました。

生まれたとき一歳二歳三歳四歳五歳六歳七歳八歳九歳十歳

綴っておきたいことは沢山なのですが、

今夜は、もう少しお喋りをして、一緒に過ごしたいと思います(もっと早く寝ていたのに(笑))。

また、追記しますね

本当に、ありがとうございます。

皆さまの、おかげなのです。

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僕は10歳の時、5歳から習ったピアノを辞めています。

そもそも、真面目に取り組んだのは、最初の2~3年だけではないでしょうか。

習わせてくれていた親には申し訳ない話ですが、あとはもう、本当に嫌々、惰性でやっていたように覚えているのです。

 

先月の事ですが、息子のピアノの発表会がありました。

僕個人にとって、自分の子どもの頃のピアノの発表会は、先生が選んだ、あまり耳馴染みのない曲を、間違えないで弾くことを課された会でした

今みたいにYoutubeでお手本が簡単に聞けるような環境でもありませんし、先生のお手本を録音して、なんていうこともなく(思いもつかず)、親も弾けるわけではないので、ただ楽譜に書いてる音符を自分で読み解いて弾くものでした。

クラシックも、トルコ行進曲とか、エリーゼのために、などは比較的メロディも覚えやすいですが、子供向けの曲集にあるようなクラシックの練習曲は、なかなか覚えづらいものが多いです。

結果、よく覚えてもいない、知らない曲を弾くのは、練習も楽しくない上に、目標点も見えず、教室では細かなダメ出しをされるものの、何がダメなのかもわからず(笑)。

結局、本番も準備不足でステージに上がるので、とにかく怖くて、楽しくなかったという思い出になってしまっているのです。

実際、途中で頭が真っ白になって、演奏が止まってしまったこともあります。情けない話ですけれども、自分のせいとは言え、ちょっとしたトラウマになりますよね。

 

ですので、息子にはああいう思いはさせたくない、という思いが強くあります。

ですので、曲集も子供向けクラシックの教本(ヨーロッパ系もの)ではなく、今使っているのはアメリカの、

クラシック的なものもありならがも、それだけでなく、例えば曲目に「〇〇のブルース」や「△△ブギー」、リズムの指定にも「ロックのリズムで元気に」などと書いてあるようなものを使わせてもらっています。

そして、お手本も聞いて曲のイメージを掴んだり、僕も弾いてみるようにしています。音符だけの譜面のものには「これはさ、こうなると思うよ」と、僕がコードも振るようにしています。

だって、いつかは僕たちのように、コードを使って音楽をするようになるのかもしれませんからね。少しでも、耳にだけは入れておきたいのです。

 

ということで、とはいっても練習は練習ですから、頑張ってやってもらうのですが、発表会は、・・・これはもう、楽しいのが一番。

練習の成果を披露する場、ではなくて、自分も楽しめて、できれば聴いてくださっている方にも少しでも楽しんでもらえる時間になれば、と思うのです。

子どもであっても、お教室の発表会であっても、お客さんのいる前で、ステージで演奏するということは、どんな時間を作ることなのか、僕なりに息子に伝えたいと思っているのです。

勿論、将来、音楽の道に進んで欲しいと思っているわけではないのです。

自分の道は自分で決めればいいと思います。

でも、「ピアノ、面白かったな」「ステージ、楽しかったな。」そんな思い出になってくれれば、それでも十分なのです。

少なくとも、僕みたいな「発表会はもういいかな・・・」とはならないでくれればと思っているのです(笑)。

 

昨年は、チック・コリアの「スペイン」を連弾で弾きました。

さて、今年はどうしよう、と3月頃から息子とも話をしていました。

発表会は9月でしたが、6月には、もうパンフレットに載せる為に、曲目を決めなければなりませんでしたし、

また連弾で出ようね、とは言っていたものの、一緒に練習をするにしても、僕はHighwayXのツアーがありましたので、土日はほとんど家に居ません。

なかなか曲が決まらなかった、ある日。

発表会の事はさておき、昨年のUNITE#01で僕がLOVE PHANTOMの前奏で弾いたオルガンの話になりまして

「そうそう、練習がてら、弾いてみる?」

と思い出しながら、何度か弾いたのです。

息子も興味を持ったようで、僕に続いて、弾いてみてくれました。

勿論、速弾きの部分などもありましたので、すぐには弾けませんでしたが、僕が「ここは(コードの)DとAを繰り返して上がっていくのね」と説明してみたら、

なんとかやってみようと思ってくれたみたいだったのです。

「むっずかしいなあ(笑)」と言いながらも「まあ、できるんじゃない(笑)」とも。

まあ、パパができたことだからね。できるって信じてやってみよう、みたいな(笑)。

 

しばらく、少しづつですが、あれを練習して、どうにかゆっくり弾けるようになった頃、

ある日、スーパーで一緒に買い物をしながら、

「で、どうするの?あの後は」

と息子。

「うーん、あの後はもうLOVE PHANTOMだからねえ。」

「どうしようかー」

「じゃあさあ」

「うん」

「作りなよ。そこから、何か、自分で。どう?」

「え、自分で作るの!?」

「そう、作れ作れ。いいじゃん、発表会、オリジナル曲っての(笑)」

 

家に帰って、妻に「今年の発表会の曲、決まったよ!パパが海月で弾いた前奏のコピーをやって、あとはオリジナルにします」と(笑)。

教室の先生にも、同じく。

ただし、この段階で、本体になる曲の断片は、まだまったくなく(笑)。

 

取りあえず何かとっかかりを作ろう、と息子とピアノに向かって、

「メロディを考えてごらん」

しばらく悩んだ末に、

「じゃあ」

と弾きだしたメロディに、僕がその場でコードを付けて、まずは4小節程度。

それを「じゃあさ、じゃあさ」と少しずつ二人で広げて、9小節のモチーフができました。

わずか、20秒ほどでしょうか。

 

「よし、あとはこの前後を作っていこう」

「そうだね」

 

と言ったものの、先ほども書きましたが、僕はHighwayXのツアー中で、平日も学校があったりもして、帰りは息子が寝る頃という毎日。

6月に「今年はオリジナル曲を弾きます!」とパンフレットに載せてしまったのはいいものの、前奏部分と、わずか20秒のモチーフのまま、時間が過ぎていきました。

 

ツアーも終盤戦に入った7月も終わりの頃、9月17日の発表会も目の前に見えてきて、

さすがに練習する時間も必要ですからね、家に帰ると、少しでも息子とピアノに向かう日々。

毎日、8小節とか、時には「これは繰り返して、転調とかもありじゃない?」と提案したりもしてどうにか16小節進めて、忘れないように少しづつ譜面を作って。

「ここまで、ちゃんと練習しといてよー」と、また学校やツアーに行って、帰ったらまた続きを作り・・・。

毎週のピアノ教室の先生にも「毎回、譜面が更新されて(笑)。曲が出来ていきますね(笑)」

とはいえ、先生も「オリジナルですからね」と、発表会に関しては「息子くんとお父様にお任せしますね」ということで、先生の前では「こうなりました」と披露するというレッスン。

 

8月、いよいよツアーが最終コーナーに入った頃、実はこの発表会に向けた息子との曲作りも佳境でございました。

そして、「一応、できたかな」となったのが、8月中旬のことでした。

それからは、練習の日々でした。

僕も途中から連弾で参加するので、一緒になってピアノに向かいます。

どうしても色々と気になるところも出てきたりして(笑)、

「ねえ、そこは少しリット(リタルダンド、だんだん遅くすること)したらムード出ると思うなー」とか「そこの音は、もっとピアニッシモにしたら、次が目立ってかっこいいんじゃない?」

こんなのが毎日続きました。

いよいよ9月に入ったころは、僕の部屋のグランドにピアノを移して、まだ「ここ、増やせそうじゃない?」などと、どんどん曲も長くなっていきまして(笑)。

発表会前日の夜にまで、「前奏の前に、ピアノの弦を手で叩くってのはどうかな。内部奏法ってのがあるんだけど」などと提案したりもしまして、「いいね(笑)」と息子。

「もっと溜めてさ(笑)」「おー(笑)」

 

・・・結果。

最終的に、オリジナル曲は8分近くにまでなってしまいました(笑)。

 

本番。

 

どちらかと言えば、息子の方が心臓に毛が生えているタイプで、

僕の方が、緊張してましたね(笑)。

 

でも、お陰様でどうにか弾き終わって、二人でハイタッチ。

 

帰り、まだホールを出たばかりなのに、

「あー、終わっちゃったなー。楽しかったなー。」

 

もう、僕としましては、この言葉だけでいいのです。

 

僕にとっては「・・・もういやだ」だった、発表会。

でも、息子は、こう言ってくれたのです。

「で、来年は?次は何弾こっかな。」

もっと弾きたい、またステージに立ちたい。

そう思ってくれたのなら、僕にとって息子の発表会は、大成功なのです。

 

 

先ほども書きましたが、僕は10歳でピアノを辞めています。

それから5年間、高校生でバンドに出会うまでは一切、鍵盤には触れませんでした。

 

息子は、11歳になりました。

これからは、僕にとっても未知の世界ですね。

 

勿論、ピアノだけが人生ではないですから、色々な世界を見て欲しいです。

でも、

「音楽は楽しい」

「ステージって気持ちいい」

そんな記憶だけは、忘れないで育って貰えたら、僕はとっても嬉しいのです。

 

お腹の中にいる時に、眠っていたかもしれませんが、安全地帯さんの音楽を、玉置さんの歌を聴き、キース・ジャレットのピアノを聴いたはずです。

それからだって、ずっと僕のステージを見て、ピアノを、ハモンドやモーグの音を聞いてきたよね。

来月にも、また凄いライブに触れられるはずです。

実は・・・そんな経験ができる息子が、羨ましいくらいなのです。

 

こうして、一つ一つの音楽との思い出を一緒に作りながら、

いつか一緒に「いいね、やっぱりハモンドは」なんて言いながら、

一緒にライブビデオなんかを観ながらお酒でも飲めたりしたら、最高ですね。

 

・・・あと、9年かな。

全然、楽しみに、待ちますよ(笑)。

 

で、まずは来年は、どうする?何弾く

 

ではー。



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