今日は少し風がありましたが、空がとっても気持ち良かったので、ちょっと散歩がてら近所で、シャッターを押す練習をば。何事も日々の積み重ねが大切かと(笑)。
「あー、キレイだねー。よく咲いてるね。」
ふと声がして目を上げると、いつのまにか一人のおばあちゃんが立ち止まっていました。
「ええ、そうですねー。」と僕も手を休めて答えました。
「私ね、黄色い花が好きなんだよ。いいよねぇ。」と言うので、
「はい。あ、顔を近づけると、いい香りがしますよ。」
「あら、そう?」
今まで使っていたコンパクトデジカメ(カメラ界では「コンデジ」と言うらしいです。)は、後ろに出る画面を見ながら撮るタイプだったんで、何を撮るにもそんなに近づく必要がありませんでした。何でも手を伸ばせば撮れたんです。
でもデジタル一眼レフ(こちらは「デジイチ」(笑)。)はその構造上、デジタルなのに必ずファインダーを覗く必要があるんで、例えば花の写真をアップで撮るときには、花達のテリトリー内へお邪魔します。なので香りがするくらい、近づくこともあるんですよ。知らなかったことですが、なんだか、いいものですよ。(あ、望遠レンズがあれば別ですけどね。僕はまだ持ってないんで。)
「あら、ほんとね」「あ、こっちの花も、いい香りですよ」
知らないおばあちゃんと一緒に、花の匂いを嗅ぐなんてね。考えてみたら、こんなこと今まで無かったです。カメラ一台持ってるだけで、こういう出会いもあるんだなぁ、などとプチ感動しちゃったりして(笑)。
ふいにおばあちゃんが言いました。
「私、死んだらね、お棺に、黄色い花をいっーぱい入れてもらうの。あ、そうだ。今日帰ったら息子にそう言っておこう。」
笑顔で、そう言うんです。なんだかよく考えると「それ、いいですねー」とは、言い辛いですよね(笑)。
「ヤだなー、縁起でもないこと言わないで下さいよ。黄色い花はいつまでもありますから、おばあちゃんもいつまでも長生きして下さいよー。」
と答えました。すると、また笑顔で、
「ありがとね。そうね、お花はいつまでもあるわね。でも、私達人間には終わりがあるからね。私なんて、もうすぐよ。」
決して悲観しているという感じでもなく、どちらかと言うと達観してらっしゃる感じ。サバサバとした口調でそう言うと、背中のバッグを「よいしょっ。」っと背負いなおし、「じゃあね。」と歩きだしました。
その背中に「でも、ほんと長生きして下さいね。失礼します。」ともう一度声をかけると、僕に背中を向けたまま「はーい、ありがとね。あなたも元気でね。」と後ろ手に小さく手を振りました。そしてふと、もう一度立ち止まって、すっと振り向いてこう言いました。
「でもね、ちゃんとまた生まれ変わるのよ。私達は必ず生まれ変わるの。私、そう信じてるの。次は、その黄色いお花かも知れないけどね。じゃあね。」
・・・。
ほんの2~3分の交じり合いでした。
あのおばあちゃんは、どこで生まれて、今までどんな人生を送ってきたんだろう。そして、これからどんな風に残りの人生を送るんだろう。できることなら、最後まで健康であって欲しいな、などと。
僕の勝手な想像で申し訳ないですけれど、見た感じから想像するに、あのおばあちゃんは、たぶん戦争を知っている最後の年代くらいではないのかな、と思いました。
やっと降った雪を待ちわびていたかのように、なんだか桜があわてて開花を始めたみたいですね。いよいよ春ですね。
ではー。